ページの先頭

ページ内移動用のリンク

ヘッダーメニューへ移動

グローバルナビゲーションへ移動

本文へ移動

フッターメニューへ移動

  • トップページ
  • 「男性育業」促進企業の2つの好事例を紹介 当たり前に育業取得できる環境づくりとは
2023.01.31
「男性育業」促進企業の2つの好事例を紹介 当たり前に育業取得できる環境づくりとは

「男性育業」促進企業の2つの好事例を紹介
当たり前に育業取得できる環境づくりとは

男性の育児休業(育業※)取得率を向上させるには、事業者側のサポートが不可欠です。これを後押しすべく、育児・介護休業法も改正。すでに2022(令和4)年4月から段階的な施行が始まっていますが、法改正よりも前から男性の育業取得を推進している事業者も存在しています。具体的にどのような取り組みを行っているのか、ふたつの企業に話を伺いました。

※育児休業の愛称「育業」について
東京都は、育休を取得しやすい社会の雰囲気づくりのため、育休の「休む」というイメージを一新する愛称を募集し、多数のご応募の中から選ばれた愛称「育業」を発表しました。

パパの育業取得率向上を目指した、育児・介護休業法の改正

今回、改正された育児・介護休業法の中でも、男性の育業取得に関する内容でいち早く施行されたもののひとつが、22年4月からの「育児休業の周知と取得意向確認の義務化」。これは事業者が労働者に対して行うもので、男性育業の制度、申請先、育児休業給付などの説明義務も含まれています。

続く22年10月から施行されたのが、新設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度です。「産後パパ育休」とは、子どもの出生後8週間以内に、4週間(28日)まで育業を取得できるというもの。2回に分割して取得できるほか、労使協定を締結して個別合意ができていれば、期間中に労働時間の制限付きで働くことも可能です。

今回の法改正では育業の分割取得もできるようになったため、「産後パパ育休」を含めると子どもが2歳になるまでに最大6回の育業取得が可能に。従来は女性が産後に1年休んで育児を行うケースも多く見られましたが、これなら夫婦の事情に合わせられます。たとえば、妻が職場復帰するタイミングに夫が育業を取得したり、子どもが保育所に入所できない場合に育業を夫婦交代で取得したりと、柔軟に対応できるのがポイントです。

このほか、有期雇用労働者の育休取得要件緩和や、従業員数1千人超の企業を対象に育休取得状況の公表を義務化(令和5年4月1日施行)といった改正も行われた育児・介護休業法。詳細はこちらの記事でもご紹介していますが、男性の育業取得推進は事業者としてもしっかり取り組むべき事柄です。もちろん、このことにいち早く気付き、すでに高い男性育業取得率を誇る企業も多く存在。東京都ではこうした企業に対し、「TOKYOパパ育業促進企業」の登録を募っています。今回はその中から2社の方々に、男性の育業促進について聞いてみましょう。

ライフ・ワーク・バランスの向上を目指した結果、男性の育業取得率100%を達成 〜株式会社クリエイティブキャスト〜

最初にご紹介するのは、情報サービス業としてシステムの開発支援やエンジニアリングサービス、ネットワークシステム構築などを展開している株式会社クリエイティブキャストです。20周年を迎えた同社の経営企画室 執行役員の山内 翼さんと、同部署の谷内美友加さん、そして実際に育業を取得した同社執行役員の高岡 輝さんにお話を伺いました。

――まずは制度について、山内さんと谷内さんに伺います。御社の場合は、男性の育児休業は、どのくらいの割合で取得されているのでしょうか?

谷内さん:当社従業員85名のうち、男性の育業取得の対象者は過去2年間で2名おりまして、両者とも取得した状況です。平均年齢が33歳と比較的若い年齢の社員が多い会社のため、実績としてはまだまだ少ないのですが、対象者がいれば現場との連携を密にするといった相談しやすい環境づくりのサポートを行っていきたいと考えております。

クリエイティブキャスト 経営企画室の谷内美友加さん
クリエイティブキャスト 経営企画室の谷内美友加さん

山内さん:この2名はリーダー職と執行役員で、どちらも取得期間は3カ月でした。リーダー層、経営層が取得したことで、他の社員が取りやすい雰囲気の醸成にもつながっているのでしょう。お客様先に出向している社員は調整が大変ですが、2名とも営業担当者がお客様との調整をしっかり行って取得しておりました。

谷内さん:当社はキッズスペースを設けるなど、働きながら子育てをする環境づくりも進めていたので、性別を問わず育業取得がしやすい雰囲気があるのではないかと思います。

――そうした環境づくりを行うきっかけは何だったのでしょうか?

山内さん:ライフ・ワーク・バランス自体に力を入れるようになったのは、2017年ごろのことですね。当社の場合、開発支援を行うエンジニアはお客様の会社に常駐するため、帰属意識が高くなく、結果として退職につながることも多かったんです。また、ライフステージが変化すると退職の道を選ぶ女性社員も多かったので、これは何とかしなければと考えました。東京都でもライフ・ワーク・バランス認定企業を募集していたので、まずはその取得を目指して環境を整えていったんです。そのうち、社内にもライフ・ワーク・バランスを大切にしている気運が高まり、社員自身もそれが自社の強みと認識していく中で、男性の育業も当たり前のように取得していく流れができましたね。

経営企画室 執行役員の山内翼さん
クリエイティブキャスト 経営企画室 執行役員の山内翼さん

――退職される方は、実際にどのくらい減ったのでしょうか?

山内さん:IT企業は離職者が10%を切れば低い方だと言われますが、当社は昨年8%と、14%だった2017年から、だいぶ低下できました。このほかにも、自身や家族の誕生日や記念日などに取れるアニバーサリー休暇を設けたり、残業が増えてきたときに周りがサポートできるようにチャットツールなどで情報共有が素早く行える体勢を整えたりと、複合的な取り組みで実現したのだと思います。

――キッズスペースを設置している企業はあまりないかと思いますが、どのように使われているのでしょうか?

山内さん:以前は常勤で、入れ替わり立ち替わりで使っていた女性社員が3名おりました。コロナ禍以降はテレワークが増えましたし、子どもを連れての通勤となると感染リスクもあるため、常勤利用は減りました。ただ、急遽面倒を見ることになった男性社員がお子様を連れて出勤し、キッズスペースで遊ばせながら仕事をするなど、単発で活用しているケースはあります。

――実際に利用された社員の方々からは、「キッズスペースがあるおかげで、安心して仕事できた」「オフィスでは昼休みなどの期間が決まっていて、そこに合わせて子どものコンディションを整えようと思うので、家で仕事するよりも時間を確保する気持ちが強まった」といった声も聞かれたそうですね。

谷内さん:キッズスペースの設置は、社員の要望を受けて実現したものです。子どもをどこかに預けるのではなく、成長を見守りながら働きたいという声が挙がり、トップダウンで作りました。社員の声が挙がりやすく、実現しやすい環境かなと思いますね。

山内さん:経営陣と社員の距離が近いのも、当社の特徴だと思っています。私たちも差し出がましくも社長に意見することもありますが、そういった普段からの流れの中でキッズスペース設置の声も挙がってきました。もともとは技術者の勉強スペースだったんですが、パソコン機材を片付けて、赤ちゃんがハイハイしやすいよう床にマットを敷いたり、壁に柔らかいクッションを貼ったりと、2カ月ほどかけて社員が手作りで完成させたものです。絵本やおもちゃも、社員から寄贈してもらいましたね。

――「TOKYOパパ育業促進企業」に登録されて、社内外に変化はありましたか?

谷内さん:まだ取得したばかりなので見えてこないのですが、「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」に認定されたときは、社員自身が会社の強みと自覚できたのに加え、採用活動にも変化がありました。子育てで仕事をお休みしていた優秀な女性の採用にもつながりましたし、新卒の方も「安心して働けそう」というイメージを持っていただけていると思います。

山内さん:新規の取引会社さんの役員層の方が来られたときに感じたのは、当社の技術的な面だけでなく、企業としてどうあるのかも着目されているということでした。ライフ・ワーク・バランスの推進や、子育て社員を応援する気風なども含めて、会社全体の価値を判断されているとよく思います。キッズスペースをご覧になっていく方も多いですよ。

家事や育児への意識が変わった——。育業取得した男性の声

――続いては、実際に育児休業を取得した高岡さんにお話を伺います。高岡さんはいつごろ、育業取得をされたのでしょうか?

高岡さん:わが家は長男、次男とおりまして、育業取得は2回ですね。長男は2019年4月に生まれたのですが、業務との兼ね合いですぐには取得できず、2019年12月から1月にかけて3週間ほど取得しました。次男は昨年の12月に生まれたので、12月の半ばから今年の3月まで3カ月弱、取得しています。

クリエイティブキャスト 執行役員の高岡輝さん
クリエイティブキャスト 執行役員の高岡輝さん

――2番目の息子さんのときは長めに取られていますが、何か理由はあるのでしょうか?

高岡さん:2人目だから、というのが大きな理由ですね。1人目のとき、妻と長男は和気あいあいと過ごせてそこまで大変じゃなかったという話は聞いていましたが、2人目を身ごもったときは「確実に取ってほしい」と言われました。確実に、しかもできるだけ長く取って欲しいということで、どのくらい取れるのか、どのタイミングで取るのがいいか、などを、労務管理を行っている社員としっかり相談してから取得したんです。

――実際に取得してみて、いかがでしたか?

高岡さん:長男のときは、あっという間に終わったなというのが正直な感想でした。次男のときは、長男と長く一緒に過ごせたのが印象的です。2人目が生まれる前にいろいろ調べたところ、産後は上の子が寂しがって赤ちゃん返りしてしまうこともあると知ったので、長男との時間を作ってサポートするようにしていました。ここのキッズスペースに来ておもちゃで遊んだり、新幹線が好きなので品川から東京までの1駅だけ新幹線に乗ったり。そういう時間をじっくり作れたのは良かったと思います。

――奥様は何とおっしゃっていますか?

高岡さん:「だいぶ助かった」「やってくれることが増えたよね」と言っています。正直な話、私は家事をあまりしなかったんですよ。一人暮らしの期間があるので一通りできるんですが、結婚して数年経つと感覚が麻痺してきて、「仕事してお金入れます」という意識になってしまっていたんです。でも、育業を取得して、何をどうしようかといった役割分担の話をしていく中で、自然と家事もするようになりました。今では流しに残っていた食器を洗うといったことも、意識せずにしていますね。

――育業を取得することは、お父さんにとっては意識改革にもつながると?

高岡さん:そうだと思います。私は「育休」っていう言葉にも違和感を抱くようになりました。育「休」って言っても、実際に取得すると「全然休みじゃないよな」って。むしろ、自分が思うようにコントロールできる仕事の方が、よっぽどラクなんですよね。息子や家事はコントロールできない部分も多いんで、仕事よりも精神面が鍛えられます。そういう意味だと、「イクメン」という言葉にも違和感がありますよね。「当たり前のように育児をしている女性は何と呼ぶの?」と思うようになりました。私自身、「イクメンだね」って独身の同級生に言われるんですが、結婚していてお子さんがいる人には言われません。育児は私たちにとっては普通のことなので。

――では、育業を取得して、苦労したことはありますか?

高岡さん:やはり現場復帰が一番大変でしたね。私は開発プロジェクトを回していくマネージャーの立場なので、開発の現在の状況や課題、トラブル、障害といった諸々を把握しておかなくてはならないんです。でも、3カ月休むとなると、状況は2転3転、4転くらいしちゃう。その状況把握が大変でした。

だからこそ、今後、育児休業を取得する同僚には、育業中でも現場の状況を確認しておくことをおすすめしたいと思っています。隔週に一度でもいいので現状を確認して、現場復帰へ向けた確認のサイクルを回しておくことが良いです。業務をしている側は育業中の人へ連絡が取りづらいので、育業を取得した側が意識して動くべきですね。私も実際に復帰するときは、1週間くらい前から「どこから把握しておけば良かったかな」と考えていました。その時点で現場に確認を取ってもいいんですが、やはり定期的に把握できていた方が安心できると思います。

丁寧な説明を地道に続け、男性社員の育業取得を当たり前のものに 〜株式会社アドバンテッジリスクマネジメント〜

続いては、メンタルヘルス対策や就業障がい者支援など、先進的な人事ソリューションを提供する株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの取り組みをご紹介しましょう。お話を伺ったのは、人事部部長 兼 健康管理室室長を務める小山美佳さんと、同部署の滝口沙都子さんです。

――御社では、どのくらいの男性社員が育児休業を取得しているのでしょうか?

小山さん:2021年度は8割が取得しておりますが、ここまでの取得率は珍しい方だと思っています。それも長期での取得が多いのが特徴で、1年や半年、3カ月ほど取る社員と、ご家庭の状況によってそれぞれですね。平均すると6週間くらいです。

アドバンテッジリスクマネジメント 人事部部長 兼 健康管理室室長の小山美佳さん
アドバンテッジリスクマネジメント 人事部部長 兼 健康管理室室長の小山美佳さん

――かなり高い割合ですね。育児休業の取得を推進するようになったきっかけはあるのでしょうか?

小山さん:当社はもともと団体長期障害所得補償保険(GLTD)の取り扱いから始まっています。これは、病気やケガで働けなくなった社員の所得を補償する保険で、企業の福利厚生として導入していただくものなんですが、その事業の中で働けなくなる理由の大きな要因がメンタル疾患にあるとわかってきたんです。

そこで予防もしていかなくては、ということでメンタルヘルスケア事業をスタートし、やがてフィジカルな健康支援も行うようになりました。このような事業を展開しているのだから、私たちもきちんとしていなくては、との考えからメンタルヘルス、フィジカルヘルスだけでなく、病気やケガと仕事の両立、育児や介護との両立も支援する制度を少しずつ整備していった形ですね。現在は健康経営、さらにはウェルビーイングを軸とした事業展開を進めていますが、自社の社員に向けた活動も強化しています。

特に育児というテーマで言うと、代表の鳥越が外資系コンサルティング会社の出身であることも影響していると思います。代表自身の経験から、性別関係なく働く職場が当たり前だという考えもあり、当社も1995年の創業当時から多くの女性社員が活躍していました。その人たちが出産後も働きやすい環境を整備していく中で、そのうち女性のためという感覚もなくなっていき、ここ数年で男性社員の育業取得もものすごく増えた状況ですね。

当社では「女性活躍」ではなく「全員活躍」を掲げていますが、これを体現するひとつの形かと思います。男性も女性も同じように、家庭と仕事を両立していきいきと働ける。そんな企業であることは、「うちは働きやすいです」と言うより「男性の育業取得率が8割です」と言った方がシンプルに伝わります。このことは、会社のプレゼンス(存在感)向上はもちろん、従業員の満足度アップにもつながっていると思いますね。

――男性の育業取得率を高めるために、何か特別な後押しなどはされているのでしょうか?

小山さん:最初のころは、お子さんが産まれるとわかった男性社員に対し、産休・育休者復職ガイドブックを渡し、育児給付金の制度など、金銭面での説明を加えながら育業取得をおすすめしていました。それを一人ひとり丁寧にやっていくうちに取得実績が広がり、周囲も「ああ、取れるんだ」という空気に自然と変わっていったんです。そのうちに長期で取得する人も出てきて、彼らが「取って良かった」という話をしてくれたことで、ますます広まっていって。最近は何もしなくても、みんな自主的に取り始めています。周りを見て「自分も取ってみようかな」と思い、上司に相談したら「準備するから大丈夫だよ」と言ってもらえて……という流れですね。

――金銭面の説明は、やはり大事ですよね。収入がなくなるのは不安ですから。

小山さん:そうですよね。だから育児給付金などのお話に加えて、希望すれば育児休業中でも80時間以内なら働くことができ、時給換算されるといった説明もすると、みんな安心します。それでも最近は、「きっちり休んで育児に専念したいから」という理由で、働かない選択をする男性が圧倒的に多いですね。

――実際に育業取得した男性社員からは、どのような声が聞かれますか?

滝口さん:「家族と将来のことなどに、ちゃんと向き合う時間が作れた」とか、「奥様のご家族との関係性がすごく良くなった」といった声もありますね。あとは、仕事への姿勢が変わったというお話も聞きます。「より限られた時間の中でパフォーマンスを上げたい」「今まで以上に家庭のことも大事にしながら働きたい」という思いから、ご自身でうまく調整しているようです。実際に見ていても、ご家庭のことも人生の一部と考えてらっしゃる印象なので、育業取得は良い面しかないと思いますね。

アドバンテッジリスクマネジメント 人事部 兼 健康管理室の滝口沙都子さん
アドバンテッジリスクマネジメント 人事部 兼 健康管理室の滝口沙都子さん

――「TOKYOパパ育業促進企業」に登録されていますが、きっかけは何でしょうか?

滝口さん:ある社員から情報をもらいました。東京都のHPで見たそうで、「うちも申請してみたら?」と。内容を確認すると、条件はクリアしていたので申請しないともったいないと思いまして。他部署の社員からこうした情報をもらうのも、当社ならではかもしれませんね。

小山さん:いろいろな取り組みはしていますが、外に発信するのが上手ではないので、ちょうど良かったですね。このように行政が推進していると「登録されるようにがんばろう」というひとつの目標になるのではないでしょうか。私たちも登録企業として掲載されると、それを見た企業さんから取材を受けて記事になることも多かったので、会社のバリューアップにも知名度アップにもつながるし、採用の手助けにもなってくると思います。

育業期間を過ぎても、育児と仕事を両立できる体制作り

――育児と仕事の両立を支援する制度としては、どのようなものがあるのでしょうか?

滝口さん:配偶者の出産時に取得できる出産休暇、不妊治療のための休業、休暇、お子さんが病気の時に取得できる看護休暇の有給付与などさまざまですが、喜ばれているもののひとつに有休を時間単位で取得できる制度があります。丸一日ではなく1時間ごとに取得できるので、お迎えや学校行事などで1時間早く帰りたい、というときに使われていますね。働き方としては、テレワークや時差勤務の制度があるので、うまく活用しながらそれぞれのライフスタイルに合わせて柔軟に働いている方が多いと思います。

このほか、人事部では年に一回、仕事と子育ての両立に関するセミナーを実施しています。両立期を乗り越えるノウハウをシェアする内容もありましたし、昨年は当社のコンテンツのひとつ、EQ(※)を子育てに活かすセミナーも開催しました。これは、感情マネジメント力であるEQを利用して、子どもとの向き合い方を学べるもので、「イライラする気持ちを少しでも切り替えられるかも!と嬉しくなった」と好評でしたね。セミナーの振り返りとしてランチ会を行うこともあります。コロナ禍の今はオンラインでの開催になっていますが。

ランチ会は育児に関わらずいろいろなテーマで行われていて、人事主体のものだけでなく、有志のメンバーが社内プロジェクトの一環として開催することもあります。パパ、ママを集めて、育児に関するお困りごとをシェアし合うのもそのひとつ。参加者同士で使わなくなった子どもグッズを譲り合ったりもしていますね。

※EQ(Emotional Intelligence Quotient):「自分の感情をマネジメントする知能」のことで、ビジネスシーンだけでなく、プライベートでも活用できる概念。アドバンテッジリスクマネジメントでは、EQソリューションの第一人者として、研修や資格制度の運営を通じて企業のウェルビーイング向上に貢献している。

小山さん:制度ではないのですが、育児と仕事が両立しやすいもともとの要因には、労働時間が長すぎないということがあると思いますね。みんなが長時間労働していると、定時で帰るなんて……、という空気にもなりますが、当社は基本的に長時間労働を是としていないんです。もちろん、求められる仕事のクオリティは高いですが、それをできるだけ定時内でやることを推奨していて、残業前提にはしていません。残業は少ないほどいいという考えなので、定時の18時になればみんな当然のように帰りますし、時短で17時に帰るのも当たり前という感じですね。

滝口さん、小山さん

――それがしたくてもできない企業は多いと思うのですが、どうやって実現できるのでしょうか?

小山さん:これはもう、みんなの知恵と工夫の積み重ねですね。たとえば受付の電話は終業後に留守電にするとか、休んでも他の人がカバーできるようにお客様を2人で担当したり、メールをすべて共有したり。業務のマニュアル化といった工夫も、あちこちでやっていますね。あとはお互い様の感覚。「自分が助けてもらったので、次は自分が助ける」という考え方はうまく循環していると思います。

会社がパパを応援する「TOKYOパパ育業促進企業」

上記でも触れた「TOKYOパパ育業促進企業」とは、東京都内の男性従業員の育児休業取得率を向上させるために、東京都が行っている登録制度です。取得率が高い企業を「TOKYOパパ育業促進企業」として登録し、取得率に応じた登録マークを付与。さらに専用ホームページ上で企業情報なども公表され、企業のイメージアップや人材確保にも役立ちます。

今年度の申請期間は2023年3月10日まで。東京都の中小企業制度融資を利用できるといったメリットもあるので、気になる企業の方はまず登録を検討してみませんか?

TOKYOパパ育業促進企業 登録申請はこちら