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「イクボス研修」などで上司の意識を変革し、育業(育休)が取りやすい職場環境を醸成。

お話を伺った人

経営者・人事側

双日株式会社

サステナビリティ推進室 室長

中原慶子さん

従業員・メインインタビュー

双日株式会社

インフラ・ヘルスケア本部 電力インフラソリューション事業部 第三課

杉本宗一郎さん

従業員・上司

双日株式会社

インフラ・ヘルスケア本部 電力インフラソリューション事業部 第三課 課長

清水卓哉さん

総合商社の双日株式会社は、ニチメンと日商岩井の2社をルーツに持ち、160年以上にわたりエネルギーや農業・食、交通、インフラ、ヘルスケアなど幅広い事業を国内外で展開しています。グループ企業も含めれば従業員は2万人以上。「人が資本」と考える双日では、従業員一人ひとりの成長が企業の成長にもつながるとし、それを支えるための働きやすい環境整備に力を入れています。男性の育業(育休)取得の推進もその一つ。充実した会社独自の育児休暇制度が整っています。

ポイント

  • 1.3年で男性従業員の会社独自の育児休暇取得率が、31.0%から83.3%に。
  • 2.部長・課長クラスを対象に、育業(育休)への理解を深める「イクボス研修」を実施。
  • 3.2022年4月から男女共通の制度「産後育児休暇」を新設。

経営者・管理職インタビュー

経営トップが育業(育休)の取得を推進。

 2021年度、出産・育児のために双日内で定められた育児休暇制度の対象となっている従業員のうち、実際に取得した従業員は女性で100%、男性は83.3%。そのうち男性の取得率は、3年前2018年の統計時では31.0%だったことを考えると、著しく取得率が伸びている。その背景にあるのは、企業トップが示す明確なビジョンが大きいと、サステナビリティ推進室長の中原慶子さんは説明する。
「2017年に代表取締役社長CEOに就任した藤本昌義は、折に触れて『男性も堂々と育休をとってほしい』とメッセージを発信してきました。その背景には、双日の持続的な成長のためには女性活躍推進が必要不可欠で、そのためにジェンダーに関わらず活躍できる風土作りが必要との思いがあります。商社の資本は人。双日は、2030年の目指す姿として『事業や人材を創造し続ける総合商社』を掲げており、2030年代には女性社員比率を半分にすることを目標にしています。変化が激しい事業環境のもとでは、従来とは違う発想、やり方で新しいことに向かって挑戦しつづける組織でなければなりません。その基盤として、多様な人材が活躍できる職場環境の整備が必要であり、育児休暇もその一つです。また、商社は男社会のイメージが強いですが、共働きの家庭も増えており、仕事と家庭の両立は女性だけの問題ではなくなってきています。男性社員も育児に参加することで、両立への理解、育休を通した男性社員自身の気づきにも繋がっていくと思っています。社長の藤本からは、育休取得が進むことで、仕事の進め方や働き方の見直しや、組織の生産性向上につなげて欲しいと、社員に呼び掛けています。」


サステナビリティ推進室 室長 中原 慶子さん

「イクボス研修」で、部課長の意識から変える。

 しかし、「育児休暇を取ろう」と声をかけても、制度や職場の環境が整備されていなければ、なかなか取りにくい。そこで双日では2018年から『ファザーリング・ジャパン』が主催する「イクボス企業同盟」に加入し、「双日イクボス宣言」を公表。翌年には、生後1週間、1回まで認めていた男性の育児休暇(有給)を、生後8週間まで拡大し(有給で分割可)、取りやすい制度に変更した。さらに部長を対象にした「イクボス研修」を実施し、上司の意識改革に取り組んだ。
「『イクボス』とは部下の成長を支援する上司のことです。研修では、さまざまな社員がいる中での多様性への理解と受容、ライフとワークのバランスの大切さ、上司自身が、ワーク以外も楽しもうといったことを話しています。その中で、育児休暇をとった部下がいる部長の体験談も語ってもらったことがありました。当初、育児休暇は認めたけれども、あまり積極的な気持ちにはなれなかったそうです。しかし、育児休暇明けの社員の姿や、会社への感謝を綴った社員の奥様からの手紙を読んで、『(育児休暇の取得を)会社の制度だから仕方ないと思ったそんな自分が恥ずかしい』と感じたそうです」
 人の意識は一朝一夕には変わらない。しかし育児休暇をとる男性が増えれば、確実に変化は訪れる。実際、2018年に31.0%だった男性の育児休暇取得率は、2019年には55.6%と増加。現在、研修の対象は課長にも広がり、オンラインでの研修も行われている。

従業員それぞれが、働き方に応じて取れる育児休暇に。

「育児・介護休業法」の改正により、2022年10月から「産後パパ育休制度」が施行された。従来の育児休業とは別に、パパが子どもの出生日から8週間以内に4週間の育児休業が取得できる制度だ。双日ではそれに先んじて、より柔軟な形に社内の制度を改訂した。ポイントは二つあり、一つ目は子どもが1歳になるまでの間、40日間まで分割回数に制限がなく取得できる育児休暇(産後育児休暇・有給)にしたこと。そして二つ目は「男女共通」の制度にしていることだ。
「『配偶者の里帰り後や、仕事の繁忙期を避けて育休を取得したい』という男性社員の声を反映したもので、職場からもチーム内で偶々複数の社員の育休が重なっても休暇の調整が計画的にできると好評です。また、育児に関する制度の成り立ちの違いから男女別の社内制度にしていましたが、育児休暇の意義からも特に分ける必要はないということで、現行制度としました。お子さんが生まれてから、男女とも、新しく制定した40日間の産後育児休暇と法定の育児休業を組み合わせて、それぞれの両立スタイルに合わせて育休が取得できます。」
 当初は「産後育児休暇はできるだけまとめて取得してもらいたい」と、細かく分けての取得に制限をかけようと考えていたそう。ところが、「従業員それぞれの仕事や家庭の状況は異なる。自律性をもって、それぞれが望む形を自分で選択できる柔軟な制度でなければならない」という社長の言葉を受け、日数への制限も定めないことに。そのため、数か月間毎週1日を産後育児休暇に充てている人もいるそうだ。
「制度改定の説明会には『誰でも参加してください』と呼びかけています。それによって職場での育児休暇・育児休業の理解を深めてほしい。今後は、取得を考えている人や職場の参考になる育児休暇の事例を集め、社内で公開、共有したいと考えています」
 中原さん自身が出産したときには、自分が育児休暇を取れることだけで感謝し、夫に手伝ってもらおうという考えには至らなかったという。しかし、時代は確実に変わっている。双日は、2023年度の育児休暇取得率100%を目指す。


従業員インタビュー

産後の状況の変化に、すぐに上司に相談。

 この4月に産後育児休暇を利用したインフラ・ヘルスケア本部の杉本宗一郎さん。実は、取得は急遽決めたことだったという。
「次男出産時のトラブルにより、出産後妻と次男が約1か月程度入院することになってしまいました。長男は小学校に入るタイミングということもあって上司の清水に相談したところ、産後育児休暇を取ってはどうかと提案されました。仕事面で穴を開けてしまうのではという不安、そして家庭では以前より風呂掃除や皿洗い、子どもとの外遊びなどはやっていたものの、すべての家事・育児をこなせるのかという不安と、その両方がありました」
 産後育児休暇の取得を勧めた清水卓哉さんも、子どもはいるが自分自身は育児休暇を取ったことはなく、部下が取った経験もなかった。「会社が男性の育児休暇を推奨していることは知っていましたので、杉本の状況では取ったほうがいいとすぐに提案できました」。


インフラ・ヘルスケア本部 電力インフラソリューション事業部 第三課 課長 清水 卓哉さん(左)/杉本 宗一郎さん(右)

社内のサポートを受けて、短期間で育児休暇を取る体制が整う。

 しかし、なにぶん二人ともに育児休暇の経験がない。そこですぐにサステナビリティ推進室に相談した。「そもそも、こんなに急に育児休暇を申請できるのかどうかもわかりませんでした」と清水さんは振り返る。それに対してサステナビリティ推進室は素早く対応、すぐに育児休暇を取得することができた。また部署の中心的な人材だった杉本さんの仕事も、ほかの部署からの応援を得たり、同僚に引き継いだりして、なんとか杉本さんが休んでも大丈夫な体制が短期間で整えられた。
「休暇中、個人的に同僚らと連絡を取り合うことはありましたが、基本的に業務関連のやり取りはありませんでした。専業主夫として活動する中で、今まで妻がやってきてくれていた家事・育児の大変さは身にしみましたし、妻が家に戻ってもしっかりと休めるようにしなければと、強く意識するようになりました」と杉本さん。「育児休暇前、『料理は茹で卵と茹でブロッコリーならできる』と杉本から聞いていたので心配したのですが、『便利な料理キットを見つけた』なんて言うようになったので、変わったなーと感じました」と清水さんは微笑む。

男性も育児休暇は「取得するもの」と考える。

 杉本さんの育児休暇期間は規定の40日と土・日曜や祝日を含めた62日間。約2か月だ。それだけ職場から離れていた、復帰への不安はなかったのだろうか。「それよりもまず僕が仕事に戻って、家事が回るのかという不安がありました(笑)。復帰直後は、週に数回を在宅勤務にしてもらい、家事と仕事の両立ができたのも助かりました」。育児休暇制度を十分に活用できたという思いが杉本さんには強い。
 いっぽう清水さんは、上司としてもう少し準備できていれば、という反省があると話す。「これからは男性も配偶者の出産後は育児休暇を取る、という前提で考えなければいけないと思いました。そうすれば、残ったメンバーの負担をどう解消するのか、どんな人員配置にするのかを余裕を持って対応できたのではと思います」。とはいえ、プロジェクトの柱として活躍していた杉本さんでも2か月という育児休暇を取り、職場も大きな問題なく回すことができたのは、杉本さんにとっても、また会社にとってもよい経験になった。
「杉本に『仕事に穴を開けるのでは』という意識を持たせてしまったのは申し訳なかったなと。ただ、育児休暇を取りそうだからと重要な仕事を任せない、というのは違うなとも思います。柱になる人でも安心して育児休暇が取れ、仕事面でも問題がない、そんな体制を整えられるようにしたいと思います」
 こうした一人ひとりの取組の積み重ねが、育児休暇が普通に取れる職場環境を育んでいく。


photographs by Yusuke Abe
text by Reiko Hisashima

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