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事例11:EY Japan

生産性の高い在宅勤務を推進し、介護離職から従業員を守る

EY Japan

令和二年度取材

1.企業概要

設立:2010年
所在地:東京都千代田区有楽町一丁目1番2号東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー
従業員数:約9,000名(EY Japan全体)
事業内容:アシュアランス、税務、ストラテジー、トランザクションおよびコンサルティング等の業務を提供

2.取組の背景

 当社は従業員の平均年齢が37歳と若いため、以前はまだ介護の支援制度が整っておらず、介護休業を取得した人も過去5年間で数名程度にとどまり、残りは有給でやりくりしている状況でした。
 まだ深刻な介護問題に直面している従業員は少ないと感じる反面、近年では少子高齢化の影響で、20~30代の従業員と40~50代の従業員の親の年齢差があまりないという現実がありました。従業員の平均年齢は30代でも、これから親の介護に直面する人も増えてくるだろうという想定で、それに準じたプログラムの構築を2019年より開始しました。それまでは、育児の制度を整え、女性従業員の職場定着に力を入れてきましたが、育児はある程度制度が整い、現在、育児休業は毎年150名ほどが利用中です。さらなる制度の拡充を考え、介護と仕事の両立にも注力することになりました。
 一方で、2020年のコロナの影響で、これまでよりも家族との関係を考える時間が長くなり、従業員が仕事に集中できない状況もあると考え、会社としてもそういった心配や不安の払拭が必要だと動き出しています。

3.取組内容

① 介護セミナーの実施
 従業員から何かに困っている、どういった支援を必要としている、といった声を拾うために、まずは社内にて「オンライン介護セミナー」を2020年5月に開催しました。時間は90分で参加しやすいようにお昼の時間帯に実施。申し込みが200名程あり、講師の方も驚くほどの参加数となりました。参加者は40代、50代をメインに、20代、30代の方の参加もあり、幅広い年代が集まりました。
 セミナーだけでなくその後の質疑応答の時間が大変活発で、コロナ禍で遠隔地の親御さんと会えずに心配している、介護施設に入っていても会えない状況にあるなど、さまざまな現状がみえてきました。パーソナルな話をその場でシェアしてくれる人が多くいました。
 このセミナーでは、ケアマネージャーとはどういうものなのか、どんな風に依頼するのか等、一般的な介護のお話をしてもらい、介護費用についても説明を行いました。大半の参加者が今すぐ介護に直面しているわけではなく、将来的に不安に思っている人が多かったので、実際に介護でどれぐらいお金がかかるかを明確にしました。
 大変盛況だったため、2020年9月に2回目となる「介護セミナー」を、同じ先生を招いて実施。2回目も200名程が参加し、そのうち3割がリピーターの人達でした。1回目のセミナーのアンケートで費用面についての説明が好評だったので、2回目のセミナーではそこをさらに掘り下げて詳しくお話する形にしました。また、実際に介護に直面した時にどうするのか、遠隔地の親の介護といった具体的な事例を多く上げて、一人で抱え込まずに家族や兄弟、親戚などと協力してやっていく必要があることを伝えました。その内容が具体的でイメージしやすかったという声が多く聞かれました。
 これまで、社内で開催したさまざまな両立支援に関するセミナーの中で、介護セミナーが最も参加者満足度が高く「「きわめて役に立った」「とても役に立った」との回答が95%」という結果になりました。担当してくださった講師の方の介護経験、介護の専門職をされている経験、両面の観点からお話いただきました。

② 40歳になった時にダイレクトメールを送付
 40歳で介護保険がスタートするので、その年齢になった従業員全員にダイレクトメールを送っています。このメールは、そういった制度があるということが改めてわかるのがいいと、社内では好評を得ています。女性従業員は出産や育児に関連する制度など自分の状況によって日頃から人事制度をみている人が多いのですが、男性従業員はまったくみていない人が多く、人事制度そのものを知らない人が多いという現状がありました。ちなみに、当社は公認会計士、税理士などの人材が多いこともあり、従業員の男女比は、男性従業員約70%、女性従業員従業員約30%となっています。

③ 在宅勤務を基本のワークスタイルに
 コロナの前から、当社では自宅での在宅勤務を基本のワークスタイルとすることを進めつつも、お客様との契約が発生する仕事のためオフィスワークも併用していました。しかし、これからは自宅だけでなく、介護によって立ち寄りが必要な親の家での在宅ワークも可能にしようと検討しています。

④ 家族の看護に使える休暇&中抜け制度
 介護に限らず、子どもでも親でも、家族の看護に使える有給の看護休暇を設けており、柔軟にとれる休暇として評価されています。また、無給ではありますが、中抜け制度も設けており、勤務中に育児や介護などの用事を済ませるために数時間仕事を抜けることもできます。

⑤ 「EYフレックス&リモート」施策において従業員の移住要望にも対応
 コロナの影響を受けて、リモートでより柔軟に働ける環境をつくって、生産性を上げていこうという「EYフレックス&リモートプログラム」を立ち上げました。その一環として、もっと環境のいいところで子育てをしたい、地元に戻って介護に備えたいといった要望があるので、希望者の引越し代を会社が負担して移住を支援するプログラムを試験的に開始しました。80名余りの応募があり、選ばれた28名がこの制度を利用中です。さらに、最も効果的なリモートワークの働き方を探るべく、さまざまケースの人に実際にリモートで働いてもらって、どうしたら生産的に効率よく働けるか、会社には何日来たらいいのか等をモニタリングしているところです。

4.これまでの効果と今後の課題

 福利厚生全体をグループ会社で統一しようと改定を進めています。2020年10月までに第一弾の改定を行い、2021年2月までに第二弾、4月に残りといった形で、徐々に改定を行っています。育児だけ、介護だけと限定せず、いろいろな人が気兼ねなく使える制度にしたいと見直しています。

介護制度図

① これまでの効果
2回実施した介護セミナーの事後アンケートによって、従業員が求めているものや、どういったサービスがほしいか、介護制度のニーズについて探る手立てにしています。今は、そのアンケート結果を分析し、どういった制度を作り上げていくか検討に入っているところです。介護セミナーについては、好評だったので今後は認知症等、テーマをしぼって行っていきたいと思っています。コロナ禍でオンライン開催となり、全国の多くの従業員が参加できるので、可能であれば各自治体別の情報発信もしていきたいと考えています。

② 今後の課題

  • 介護コンシェルジュや介護カフェの検討
     育児に関する制度だと、子どもが何歳までカバーすれば大丈夫といった区切りが見えますが、介護の場合は個々で違うのが難しいところです。介護そのものというよりは、「働き方の柔軟性を上げることで、何かあった時の従業員の不安を払拭しよう」と考えています。 柔軟に対応できる制度で、生活や仕事のやりくりが出来るものが求められているのではないか、また気軽に相談できる仕組みがあればいいと考えています。
     育児に関しては、育児コンシェルジェという人が週に3回常駐し、日中に育児の悩みを相談できるようにしています。これは外注しているサービスになり、現在はコロナ禍のため、オンラインで対応中です。介護でも同じように「介護コンシェルジェ」というサービスを取り入れられないかと検討しています。介護では費用の話など、周囲に気軽に相談できない内容が多いのではないかと思い、個々でプロフェッショナルの方に相談できるのがいいと考えています。または、介護コンシェルジェまでいかなくても「介護カフェ」を設けて、実際に介護をしている人や経験者などで、情報を共有できる場があってもいいのではないかとも考えており、社内のニーズを探りながら、段階的に導入していけるといいと考えています。
     まだ平均年齢が若い当社では、介護休業というのは介護のために休むというよりも介護体制を整えてもらうための準備時間であること、介護問題に直面しても離職しないで両立ができる社内制度があるかどうか確認しよう、といった啓蒙活動が必要な段階だと思っています。
  • 在宅勤務の範囲を広げる
     今はどの職種の人も在宅勤務は自宅のみとなっていますが、介護と仕事の両立を図るため、親の家での勤務を認めるかなど、どこまで柔軟にできるかが鍵になります。職種や条件、セキュリティーを確認した上で、実施できたらと思います。
  • LGBT+従業員の同性パートナーへの対応
     LGBT+従業員の同性パートナーを配偶者と同等に対応する制度は2018年から導入していましたが、今後はほぼすべての福利厚生制度(介護支援制度を含む)で事実婚や同性パートナー、養子など、さまざまな家族の状況に対応できるようにするための改定を進めているところです。
  • ダイバーシティマネージメントの難しさ
     ダイバーシティが進むほど、個人の方の価値観が多様になってくるので、会社としては出来るだけ選択肢を多く用意し、従業員に自分のキャリアプラン、ライフプランによって選んでもらう形にしないと、なかなか難しいと感じています。ここ数年のダイバーシティの課題は、世代間の価値観や経験値が違うこと。今の時代に合わない制度もあるので見直していかないといけない。プロフェッショナルが成果を出しやすい制度にすること、働く場所が限られてアウトプットがしにくい点をなくしていく等が重要になると考えます。それはコロナに後押しされた形で加速しましたが、当社としてはこのワークスタイル(在宅勤務)をコロナが終息しても続けたいと考えています。これは女性が働きやすくなるだけでなく、介護の問題を口に出来なかった男性従業員にもメリットが大きいはず。合わせて従業員の不安を軽減し、励ましていくプログラムの構築も進めていく予定です。
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