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事例8:株式会社ジャパンタイムズ

介護休暇の改善、テレワークの推奨で、一人ひとり合った働き方を模索

株式会社ジャパンタイムズ

平成29年度取材

1.企業概要

  • 創立:1897年
  • 所在地:東京都
  • 従業員数:140名
  • 事業内容:日刊英字新聞の発行、英文・和文の書籍・CDの出版他

2.取組の背景

  • 当社は、社員数140名中、30名が外国籍の社員で、女性社員が全体の4割を占めます。平均年齢も40代前半と高くなっていることから、育児さらに介護を経験する社員が増えています。女性であり母である当社会長も、人生のライフステージが変わっても働き続けられる会社にしたいとの想いをもっています。
  • 日刊英字新聞の発行を行っていることから、外国籍の社員や帰国子女も多いため、革新的で自由な社風が根づいています。そのため、個々の状況に合わせて柔軟に対応してほしいとの声が多く聞かれます。当社としても、それに応えるべく、もっと働きやすい会社にしたい、社員の希望を形にしたいと日々改善に努めています。
  • 介護休業への取り組みについて本格的に着手したきっかけは、女性社員が母親の介護を理由に退職したことでした。その社員は、30代前半で入社7年目、まさにこれからの活躍が期待されていた人材。会社としては「本当に退職しか道がなかったのか?」と考えるようになりました。

3.取組内容

①実態把握
  • 社内にてアンケートを実施し、介護、育児はもちろん、それ以外の用途でもテレワークを導入できないかと社員の意見を集めることにしました。その結果、テレワーク実施を全社として制度化したら「ぜひ利用したい」という前向きな答えが全体の7割となりました。アンケートの結果や介護休暇、テレワークの推奨などについては、社内ポータルサイトにて情報共有しています。
  • 実際に社員にヒアリングしてみると、「自分がテレワークをしてもいいのか」「今の業務でテレワークが出来るだろうか」という意見が聞かれました。「信頼して自由にやらせてもらえればうれしい」との社員の声もありました。そういった意見を元にどういった制度が当社に適しているのか、検討することができました。当社では細かい規定までつめてしまうとかえって不自由さを感じてしまうので、大枠を決めてあとは個々の状況に応じて対応していくのがいいのではないか、と考えています。
②制度の設計・見直し
  • 2012年に1日単位だった介護休暇を半日単位でも取得できるようにしました。半日単位であれば、通院に付き添った後に仕事ができたりと、丸一日休暇を消化しなくてもすみます。有給休暇が年間最大で23日と多い当社では、無給となる介護休暇を積極的にとる社員はあまりいませんが、制度があることで少しでも社員の負担が軽減できればと思っています。
  • テレワークについては、これまでも必要に応じて実施していましたが、2017年8月を推奨月間として設定しました。今までテレワークをしたことがない社員もまずはやってみよう、という全社的な試みです。実際に試してみて適していた場合は、それ以降も利用可能としています。育児はもちろん、家族の介護のサポートなどに利用している社員もいます。
  • 2018年の春から、時短制度の拡充を行います。週20時間以上働くという条件で、1日に何時間働くかを自由に決められる制度をつくりました。きっかけは、あと1年で大学院を卒業するという女性社員が入社したため、卒業まで頑張ってほしいとの想いからこの新制度を設定しました。
③事前の情報提供
  • 全社員に対して新たな休暇制度や会社としてテレワークを推奨しているといった情報を通知するとともに、社内のポータルサイトに掲示していることを知らせています。こちらのポータルサイトではいつでも社員が会社の制度について確認することができます。
  • 情報通知後も社員に内容を忘れられないよう定期的に通知し、全社員に浸透するようにしています。合わせてアンケートの実施なども通知し、広く社員の声を集めています。
④介護に直面した従業員への利用支援
  • 営業・管理職の社員(女性/50代)は、3年前に実の母親の介護が始まり、4ヵ月の介護休業を取りました。その後、その母親が亡くなり、ほどなくして夫の母親の介護がスタートしました。今は夫が主体に介護を行っていますが、女性社員もサポートしているため、テレワークを活用しています。週4日は客先に出向・直帰、週1日は会社に出社して会議に出席したり、部下とのミーティングに充てています。大好きな営業の仕事を辞めることなく続けることができています。
  • 他の社員でも、以前は週1日だけ母親の通院に付き添うため、通院後に出社していました。しかし、テレワーク導入後はそのまま自宅で仕事ができるため、たいへん助かっているそうです。
  • 当社社長の考えとして、「必要がなければ会社に来なくても仕事をしてくれればいい」という想いがあります。そのため、介護に直面した社員は上司や経営推進部(人事、総務、広報などを兼ねている部署)へ相談しやすい社風があります。
⑤働き方改革
  • テレワークは、介護のみならず、育児との両立を目指す世代にも広く利用されています。
  • 新聞編集の外国籍社員(男性/30代)は、週1回のテレワークをしています。現在、東京に単身赴任で名古屋に家族(妻、子ども)が住んでいるため、土日に合わせて金曜日に名古屋に戻り、テレワークをしています。そのおかげで、家族と過ごせる時間が増えたと喜んでいます。テレワークを導入するにあたり、社内でしかできない業務、自宅でもできる業務を分けて、調整しています。家族との時間がもてるとの声は、アンケートで他の社員からも多く聞かれました。
  • 現在、育児休暇を取った男性社員の実績はここ8年間ほどで3名。今年も男性社員1人が育児休暇を取得予定です。1歳になった子どもの保育園入園と妻の復職が重なる時期に、育児休暇を3週間取得する準備を進めています。この時は上司から経営推進部に「部下にぜひ育児休暇を取らせてあげたい」という前向きな相談がありました。
  • 愛媛に移住するため退職を考えていた管理職の社員(男性/30代)が、たいへん優秀だったので会社として残念に思っていました。そんな時、新しいプロジェクトが持ち上がり、任せることに。現在は愛媛にて給与面などの待遇はそのままで、自宅や近くのフリースペースを借りて勤務しています。この場合は、本人が新天地を求めての移住でしたが、このような柔軟な働き方は親の介護で地方へ戻らなくてはいけない場合も適用できる可能性があります。

4.これまでの効果と今後の課題

  • さまざまな休暇制度やテレワークなどを導入することで、家族の介護や育児が必要かどうかに関係なく、すべての社員が休暇を取りやすい職場環境が整いつつあります。ただ、それでも無理をして家族が本当にたいへんな状況になるまで休めないという社員がでないよう、理解や認知をさらに促していきたいと考えています。
  • 新聞発行という多忙な業務を進めているため、職種によってはなかなかすぐには休めない状況だったり、テレワークを導入しづらい部署もあります。それでも何とか対応できないか、新しい人材を入れてフォローできないかと検討し、できる限り改善していこうと取り組んでいます。
  • 介護や育児の有無に関わらず、すべての社員が必要なときに必要な分だけ利用できる制度の拡充、定着を目指しています。ただそれには、現場では多くの準備が必要。ひとつずつ形にできるよう、努めていきます。また、経営推進部としても介護、育児など、社員ひとりひとりの立場になって考えることを共通の意識としてもっていたいと思っています。

 

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