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体験談7(Kさん)
レビー小体型認知症や介護制度について日々学びながら、家族の介護を続ける
【プロフィール】
●性別・年齢:女性・40代 |
【要介護者の状況】
●性別・年齢:80代 |
1.介護の状況
- 母は5年ほど前から、物忘れがひどくなって洗濯が出来なくなったり、お味噌汁しか作れなくなってきました。家事の順番がわからなくなっているという印象でした。
- 病院へ連れて行きたかったのですが、母の場合は激しい介護拒否と医療拒否があり、最初は連れていくことができませんでした。
- 当時は父(昨年死去)の介護も並行して行っていたので、担当のケアマネジャーさんに相談して区で委託した医師が自宅を訪問してくれる医療サポートを利用しました。母には「健康診断」だと嘘をついて診断を受けると、要介護2、認知症と診断されました。
- 要介護認定後は介護サービスを受けるのが一般的な流れですが、母はデイサービスに行くのを拒否。しかも母は、当時の父のケアマネジャーさんに対して嫉妬心があったのか、嫌がっていました。そこで、個人で営業しているケアマネジャーさんを探すことにしました。
- ケアマネジャーさんが毎日家に来て母と話すようになってから約2ヵ月位すると、母はケアマネジャーさんに心を開くようになり、デイサービスに行くことを承知してくれました。
- 母の場合は、通常の認知症ではなく、レビー小体型認知症(レビー小体という神経細胞に出来る特殊なたんぱく質の増加が原因の病気)で、妄想と幻覚が見られます。今は薬の調整をしてもらっていますが、激しい状態になると静まるのを待つしか方法はありません。
- デイサービスには月曜から金曜(10時~17時45分)まで行き、夕食を食べて帰ってきます。月に1~2回は土曜も利用しています。ひと月に22日位で介護保険の利用分を超えてしまうので、それ以上の利用については、1日1万円、自費で負担しています。
2.会社の勤務状況と両立支援制度の利用状況
- 会社には、月曜から金曜まで8時半~17時15分まで勤務しています。残業もたまにすることもあります。
- 半日単位の有給休暇を取得し、通院などに利用しています。これまでは、介護休暇は無給のため、あまり利用してこなかったのですが、今後さらに母の症状が進んでまとめて休まなくてはいけなくなった時のために、年次有給休暇はなるべく残しておきたいと考えています。勤務先には、積み立て保存休暇制度があり、病気や介護などで使うことができるのですが、私の場合、10年前に病気をした際にかなり使ってしまったので、積み立て休暇があまりありません。そのためにも、有給休暇はなるべく貯めておきたいと考えています。
3.仕事と介護を両立できた理由
- 今、自分が置かれている介護状況について、会社にすべて報告しました。こんな状態のなかで部署の移動などは難しいので、今の部署にしばらくはいさせてほしいとお願いし、了承していただけました。上司のご家族も遠方で在宅介護が必要な状態なので、介護についての理解はかなり深いです。
- 育休をとる人が多い会社のため、介護についても理解してもらいやすい環境です。母が夜起きだしてしまうことがあり、寝不足になって朝起きられず、遅刻してしまった時なども、職場の方が寛大に受け止めてくださいます。
- 会社の対応はもちろん、母が気に入ってくれたデイサービスがあったこと、平日以外でも連絡がとれるケアマネジャーさんがいてくれたこと、自分自身が元気で働けること、これらの条件がすべて揃ったからこそ、今のように介護をしながら仕事を続けることができるのだと感謝しています。
4.仕事と介護の両立の際の苦労
- 平日フルタイムで働いて帰ってきてから、家のこと、翌日デイサービスに送りだすための準備(着替えや連絡ノートを書く等)をして、お風呂に入ったら、夜12時近くなることがあります。夜中に母が起きることもあるので、朝まで眠ることもできない日もあり、寝不足状態が習慣化しています。
- 土日はお休みですが、母が1日中いたら、まったく身体を休めることができないため、ときどきデイサービスに行ってもらい、日中に眠ることがあります。
5.介護者へのアドバイス
- 母が気に入ってくれるデイサービスを探すため、毎日ネットで下調べをし、そのうち4~5軒に足を運び、施設を見たり、働いている職員の方とお話ししてから、今のところに決めました。その人に合ったデイサービスを見つけてあげることが大事です。
- 仕事をしながら介護する人は、平日しか連絡できないところ、電話でしか連絡できないところは、難しいと思います。メールやLineなどで土日などでも連絡がとれないと、会社勤めをしながらの介護は難しいです。
- 介護される家族にとってどんなことが好きだったのか、知っておくといいと思います。母の場合はおしゃれが好きで、介護パンツを履くことを本人が受け入れられなかったので、白いパンツではなく、最初はピンクや黄色などを選んで慣れてもらいました。
- 自分一人だけで悩まず、介護カフェや認知症の勉強会などに参加してみると、同じような悩みを抱えた方とつながりがもて、励みになります。私自身も介護を始めたばかりの頃はそんなところへ行く気力さえありませんでしたが、思いきって行ってみたら、学びもあり、悩みも聞いてもらえ、本当に良かったです。
6.あると良かった制度やサービス
- 母は90歳近くになった今も、タバコを吸い、自分の気に入ったバッグをもつような自由な人なので、施設に通うだけではなく、外へ出かけるようなサービスがあったらと思います。認知症とはいえ、杖もつかずに歩けるほど身体は元気なので、旅行に連れていってもらえるようなサービスもあると嬉しいです。
- 職員の方にとっては負担になるかもしれませんが、夜9時まで預かってもらえるなどトワイライトタイムのサービスがあると、介護する家族はもう少し休息できるのではないかと思います。
- スプリンクラーを付けられないと、宿泊できないという制度のスタート(平成30年3月末で経過措置終了)によって、運営できない施設が多くでてくると聞きました。もちろんスプリンクラーは安全上必要だと思いますが、それで宿泊サービスをやめる施設が多くなってくると、介護する側としてたいへん心配です。何か改善策があればいいと願っています。
- 地域包括支援センターの情報や医療、介護の知識、地域独自の支援制度(地域見守りサービス)などの情報が、それぞれ別々に発信されているため、調べるのがとてもたいへんでした。どんなに優秀なケアマネジャーさんでも、医療については素人なので、母の病気や使える制度(精神介護手帳)などについては、自分で調べる必要がありました。介護が必要となった場合、ひとつのところでさまざまな情報を得られる仕組みがあれば、どんなにラクかと思います。要介護や認知症の症状が進んでいくなかで、次に使える制度にはどんなものがあるのか、今は自分で日々勉強し続ける必要があります。