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体験談8(Nさん)

職場のおかげで、自身の病気を乗り越え、母の介護をしながら働き続けられる

【プロフィール】

●性別・年齢:女性・50代
●勤務先の事業内容:印刷業
●従業員規模:20人
●職務:経理事務
●家族構成:配偶者なし、息子2人
●母(同居)
●兄弟姉妹:なし
●居住地:東京都
●介護歴:7年

【要介護者の状況】

●性別・年齢:女性・90代
●労働者本人との続柄:本人の母親
●要介護度:要介護3
●居住地:東京都
●利用した介護サービス:デイサービス、ショートステイ

1.介護の状況

  • 母が何度も同じことを繰り返し言ったり、当時一緒に住んでいた息子たちが「お祖母ちゃん、料理は作ってくれるんだけど、なんでも卵でとじちゃう」と話していて、料理のレパートリーが減ってきていることに気づきました。それまでは、働いている私を助けてくれて、家事全般をし、料理もよく作ってくれるような母でした。
  • 叔母(母の妹)も、ときどき手伝いに来てくれていたのですが、「お姉さんの様子がおかしい」と言い始めて、叔母が区役所に相談に行ってくれました。そこでケアマネジャーさんを紹介してもらい、要介護1(現在は要介護3)の認定を受けました。認知症の薬はこの時から飲み続けています。
  • 日中は母が1人になってしまうので、デイサービスには週2回通うことから始めました。
  • 現在は認知症の進行が進んできたので、長い時間(9時~19時)預けられるところに移りました。認知症が進むと、一度自分で思いこんだことは訂正できず、人が何を言っても素通りの状態になってしまいます。最初の頃は電話に普通に出て、相手から伝えられたことを忘れてしまい、私に何も言わないので困りましたが、今は電話を使うこともできません。
  • 私の勤務時間は、月曜から金曜の8時半~17時半までで、買い物をして家に着くのは19時頃です。母は夕飯を食べ、週に3回は入浴をして帰ってきます。ただ、食べてきたことを忘れているので、私が夕食を食べる時に、また一緒に食べます。
  • 認知症が進むと、母も自分の感情をおさえることができなくなり、椅子を蹴ったりして暴れることがあります。その際に止めようとして、腕をおさえつけてしまうと、老人のためすぐにアザになってしまいます。ただ弱い力では、大人の身体なので制御できず、困ることがあります。
  • 介護の自己負担額は、デイサービスのみだった頃は月に6~7万円、お泊りを増やしてからは13万円前後払っています。それでも、費用は安い方だと思います。

2.会社の勤務状況と両立支援制度の利用状況

  • 小規模な会社のため、会社としての介護制度は整っていません。ただし、個別でたいへんなときは助けあうという環境があり、昔から半休がとれたり、介護のための急な遅刻や早退にも応じてくださいます。
  • 経理という仕事柄、今日中にやらなくてはいけないことをやってあれば、残ってしまった作業は翌日にまとめてやったりと、仕事量の調整が出来るので助かります。社員、パートの方に限らず、皆さんが手助けしてくださり、ありがたいと思っています。

3.仕事と介護を両立できた理由

  • 会社の会長さんご夫婦もご両親の介護経験があるため、介護のたいへんさを理解してくださっています。午後からお休みをいただいたり、急な対応もお願いしやすい環境にあります。
  • 自分自身も数年前に大きな病気をして5回ほど入退院を繰り返しましたが、その際も「会社として応援しているので、しっかり治してきてね」と言っていただき、仕事を続けることができました。
  • 介護制度がまだ整備されていない小さな会社だからこそ、助けあいの精神で皆さんが力を貸してくださります。そのため、介護のことを会社の方にもすべてオープンにでき、理解し、支えてもらっています。

4.仕事と介護の両立の際の苦労

  • 夜は目が覚めると朝だと思い込み、服を着替えて起きてくるので、夜中に何度も起こされ、寝られないことがよくあります。今はお泊りを増やしたので助かっています。特養老人ホームには申し込んでいますが、入れない状態が続いています。
  • タップがいくつも並んだ節電用のコンセントがオレンジ色になっているのを見ると、「火がついている」と心配して電源を全部抜いてしまいます。なかには、コードを切ってしまう人がいると聞いたので、一人にする時間はつくってはいけないと思っています。
  • 仕事から疲れて帰ってきても、認知症の母と話すと、イライラしてしまうことはあります。そんな様子を知って、ケアマネジャーさんが「お泊りを増やした方がいいんじゃないか?」とアドバイスしてくれ、昨年秋から宿泊を増やしました。おかげで少し休めるようになってきました。

5.介護者へのアドバイス

  • ケアマネジャーさんに対して、「こちらの要望をくんでくれない」「すぐに動いてくれない」など、何か不満や違和感を感じたら、悪くて言いにくいなどと思わず、すぐに伝えて改善してもらったり、担当を替えてもらうことをおすすめします。ケアマネジャーさんは、介護される人だけでなく、家族との相性がいいかどうかも大事なポイントです。
  • デイサービスの場所を決める際には、施設をすみずみまでみて、職員の方といろいろな話をした方がいいと思います。どんな考えで介護者と向き合っているのか、食事についてなど、細かいところまで聞いて、その人に一番合ったところを見つけてあげることが大切です。
  • デイサービスで働いている人や介護を受けている人がどんな表情をしているかも、しっかり見ておいた方がいいと思います。もし介護されている側が暗い顔をしているようなら、もっとみんなが楽しそうに過ごしているところを探した方がいいでしょう。
  • デイサービスの方には、介護される人の性格や普段の習慣などについて詳しく話しておいた方が快適な時間を過ごせます。家族にしかわからない本人の人となりについて伝えておくといいと思います。
  • 認知症になってしまうと、親子の会話ができなくなってしまいます。もし、介護する家族に対して、「昔どうしてあんな態度を自分にとったのか」「なぜ、あんなことを言ったのか」何かわだかまりのようなものがあるなら、早めに聞いて自分の心の整理をしておいた方がいいと思います。認知症になってしまうとそういう話もできなくなり、複雑な気持ちをもったまま介護するということにもなりかねません。そういったものをクリアにしておいた方が、介護する側にとっては気持ちがラクになるかと思います。
  • 介護を家族だけでしようと思ったら、とてもたいへんです。しかも家族は元気な姿を知っているので、余計な感情がいろいろ沸いてきやすいものです。介護はプロにお任せするという気持ちも大事だと思います。

6.あると良かった制度やサービス

  • スプリンクラーを設置していない施設は宿泊ができなくなるということ(平成30年3月末で経過措置終了)で、2月から施設を移ることになりました。うちの場合はケアマネジャーさんのおかげでなんとか次が見つかったので良かったのですが、今後困る人が増えるのではないかと心配です。スプリンクラーを付けていなくても、家族の同意書があれば宿泊できるなど、例外措置などをとってもらえないかと思っています。
  • 毎月の自己負担額の捻出はとても大変です。民間経営ではなく、都や国の低額で利用できる施設を増やして欲しいです。
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