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事例10:株式会社白川プロ

社員は宝、社員が介護に直面しても転ばぬ先の杖を

株式会社白川プロ

令和元年度取材

1.企業概要

設立:1962年
所在地:東京都渋谷区宇田川町10-2-5F
従業員数:290名(従業員の男女比 男性201人、女性89人)
事業内容:テレビニュースやドキュメンタリー番組の映像編集・音響効果、及びその関連業務

2.取組の背景

 当社は、「世界をこの目に、この耳に、私たちは「本物」を伝えるプロ集団です。」を経営理念としています。その理念を受けた行動指針の一つが、「世界を提供する仕事」をする者として、「本物」のプロフェッショナルな仕事に携わる者として、「その考えは“本物の想い”の上に成り立っているのか」という問いを、常に自分自身に持ち続けられるか、というものです。社員の誰もが未来に羽ばたける舞台と働きやすい環境を提供し、一人一人が「なりたい自分」になるために夢の実現を会社として応援することを使命にしています。
 介護と仕事が両立できず離職する人がいることは、企業にとっては貴重な人材を失うことになり、離職者にとっても厳しい状況に追い込まれる状況になります。当社は、このような状態を未然に防ぐために、社員が介護と仕事を両立しながら働き続けられるように、社内制度の整備を行ってきました。
介護と仕事の両立に関する取組は、相談役、監査役である弁護士が提示した、「大量介護離職時代がやってくる」という内容の雑誌の記事がきっかけでした。当社としては、介護への取組はまだまだ先のことだと考えていましたが、実際に社員の年齢を階層別に見みると、そんなに先のことではないなと改めて実感し、制度づくりの検討を始めました。1982年にハイビジョン放送が始まった年に人材を大量に採用し、その年齢層が50歳代になり始めています。新卒社員を毎年20人ほど採用しているため、社員全体の平均年齢は34歳と若いのですが、50歳代、60歳代の社員も相当増えてきており、介護に直面する可能性が高い社員が増えている状況です。介護を行う社員が増える前に準備しようということになり、まず社員の状況把握から始めました。

3.取組内容

① 社員の介護状況の把握
 2016年に全社員を対象に介護に関するアンケート調査を実施しました。その結果、介護のリスクがあると回答した社員は6割を占めていました。実際、これまで親の介護を理由に退職した社員もいました。アンケート調査の結果は社内外に公表するとともに、制度導入の参考にしました。2019年に2回目のアンケート調査をしました。現在集計中ですが、会社の介護支援制度の利用者も増えている状況なので、介護と仕事に関する社員の具体的な現状把握ができ、分析を行うことで社員にニーズに応える支援制度となるよう、現在の制度を見直すための参考にできると思っています。

② 介護のパンフレットを作成
 介護は十人十色であるため正解はありません。介護と仕事を両立するために社員にとって最もよいと考えられる方法をまとめた『仕事と介護の両立 事前の心構え』というパンフレットを作成しました。介護と仕事を両立するための3つのポイントに加え、介護生活を支えるしくみをとりまとめた介護と仕事を両立する地域の介護支援体制図を掲載しています。
 両立のための3つのポイントは以下の内容になります。

  • 介護は定年までにほぼ全員が直面する課題です。そのため事前の心構えが大切です。
  • 仕事と介護の両立は大変ですが、仕事を辞めて介護に専念するとさらに大変です。仕事と介護の両立は、事前の心構えと相談で乗り切ると決意することが大切です。
  • 介護の課題に直面したら、まずは専門家に相談しましょう。ひとりで抱え込まないことが大切です。

このパンフレットは基本的に社員が40歳の誕生日を迎えた時点で手渡しています。希望があればそれ以外の社員にも配布しています。

パンフレット表紙

③ 社内向けセミナーの開催
 職場内で年1回(2年前には2回開催)外部から専門講師を招いて介護セミナーを開催しています。開催当初は主に介護に直面したときの心構えの内容が中心でしたが、最近は介護予防の内容も加えています。セミナー開催後には専門講師との個別相談会も行なわれています。毎回、数名が相談に応じてもらっています。セミナーの参加者はあまり多くはありませんが、セミナーを開催しているということだけでも社員に知ってもらい、転ばぬ先の杖ということで、いざ自身が介護に直面した時に思い出してもらえればいいと思っています。

④ 介護制度
 会社の支援として、育児・介護休業法に規定されている介護休業、法定時間外労働の制限、深夜業務の制限に加え独自の制度を整備しています。

  • 介護休暇
    介護その他の世話(通院の付き添いなど)のために、1日単位で仕事を休むことができます。対象家族が1人の場合は年10日、2人以上であれば年20日です。1日につき基本給の8割および通勤手当、住宅手当、扶養手当等が会社から支給されます。
    家族の介護は先の見通しが立ちにくい事もあり、介護休暇制度を利用した社員からも「法定日数では不十分だ」という声がありました。働きながら介護をする立場にしてみれば、介護休暇を充実させた方が社員にとってより地に足の着いた使いやすい制度になると判断し、法定日数より多い休暇日数にしました。
  • 短時間勤務制度
    介護を行うために1日の所定労働時間を6時間に短縮することができます。要介護状態の対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日までです。基本給から時間時短分を減額し会社から支給されます。
  • 有給休暇の繰越し
    年次有給休暇の未消化分を、介護休暇としても利用できます。積算して40日分までで、有給です。

⑤ 相談体制の充実
 会社として、介護相談員を社内に常駐させ、随時相談できる体制を整備しています。それに加え、地域の介護に関する相談窓口やその他の相談先の紹介も行っています。

⑥ 働き続けられる労働環境の整備
 介護と仕事を両立しなければならない立場になった時には、部署間で調整し両立しやすい部署に異動したり、シフトを工夫して働き続けられる環境が整備されつつあります。

4.これまでの効果と今後の課題

 仕事と介護の取組は2017年にライフワークバランスフェスタ東京2017で小池都知事より「仕事と介護の両立部門」認定企業として表彰されました。
 会社としての取組を通じて職場ではまだ介護をする立場でない社員にも、介護と仕事について少しでも関心を持ってもらえるきっかけになっていると思います。

① 取組の効果

  • 社員の意識の変化
    介護と仕事の両立支援制度を取り入れて、職場の雰囲気が変わりました。これまでは介護はプライベートな問題で会社に相談するようなことではないと社員は思っていましたが、現在は介護の問題に直面することになったら、社内の介護相談員や上司に相談できるという安心感が醸成されつつあります。
  • 介護について会社が社内制度を整備し、社員に様々な形で発信していると、若い社員が育児支援も本格的に取組で欲しいという要望が積極的に出るようになりました。その結果、育児と仕事の両立支援の制度も充実し、社員にとってより働きやすい環境になりました。
    介護休暇の利用者は、これまで8名程です。時短勤務は介護で1名、育児で3名が利用しています。
  • このような取組を行ってきた効果として、介護、育児を理由とした離職はゼロになりました。
  • 採用にも良い影響が出ています。採用面接の時に志望動機を聞くと介護、育児と仕事の両立を支援する取組をしている企業であることを理由に挙げた人が何人もいました。長く安心して働ける職場だということが認知されつつあると思います。

② 今後の課題
 介護と仕事を両立している社員が同じ部署内にいる場合は、各部署でシフトを工夫するなどして対応しています。発注元の依頼で映像や音声データの編集などを行っているため、在宅勤務の導入には発注元の許可、セキュリティの確保が必要になります。これまで社員から在宅勤務の要望がないため、会社として在宅勤務の仕組みは導入していませんが、今後に備え導入の準備は進めています。
 また、介護と仕事の両立に関わる制度導入後の介護離職者はいませんが、万が一介護を理由に退職した場合でも、希望があれば復職できる道筋をつけておきたいと考えています。社員が要の仕事なので社員は宝です。特に専門技能人材は会社にとってなくてはならない存在です。

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