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体験談 Kさん

自身の介護体験を生かして介護者を支援する活動の充実を目指す

【プロフィール】

●性別・年齢:女性・50代
●勤務先の事業内容:外食産業
●従業員規模:489人
●職務:採用人事部
●家族構成:配偶者(同居)
●兄弟姉妹:兄、姉(別居)
●居住地:千葉県 ●介護歴:6年

【要介護者の状況】

●性別・年齢:女性・80代
●労働者本人との続柄:本人の母親
●要介護度:要介護5
●居住地:千葉県
●利用した介護サービス:在宅介護ヘルパー、デイサービス、グループホーム、その後介護老人保健施設

1.介護の状況(属性、要介護者との関係)

 母は70歳になる頃から一人暮らしになりました。月に数回は実家に行き、買い物や病院の送迎の介助をしてきました。自宅から実家までは車で片道2時間半から3時間かかります。私は、次女でしたが、実家で親と同居していた期間が長く、車の運転もできたので、親の身の回りの世話を習慣として行ってきました。一人暮らしになった当初、母はまだ介護を必要とする段階ではありませんでした。10年ほどたち、80歳になる頃から、足腰が弱くなり外出が減り、友達付き合いや近所付き合いが減り、日常的な会話をあまりしなくなったことで、認知症の症状が現れてきました。

2.自身が行っている介護

 その頃勤務先の会社で、自身がグループ会社に出向になり、職場環境が大きく変わりました。新たな業務で残業も多く多忙な日々でした。母親の認知症も少しずつ進行し、就業時間内に母から頻繁に電話が掛かり、同じことを何回も繰り返し話したり、帰った数日後にまた「いつ帰ってくるの」というような電話もありました。それまでは隔週で実家に帰っていましたが、物が無くなる、電気が付かない、お金が無いなどと言うことが頻繁になり、なるべく毎週末帰ることにしました。病気や転倒して怪我をするなどの突発事故が発生した時には、すぐに休みをとり翌日に行くようにしていましたが、仕事が多忙で、平日に休みを取ることは申し訳なく、母親の認知症も進行していたので精神的にも肉体的にも辛い時期でした。
 その頃はまだ介護の知識もあまりなく、介護保険の申請手続なども初めてで、相談や手続きを行うために何度も自宅から実家の市の市役所に行かなくてはならず苦労しました。申請後の介護認定は要介護2となりました。認定後、施設を数件見学して廻り、実家に比較的近い訪問介護事業者に依頼することにしました。施設のケアマネージャーさんと相談しケアプランを作り、まずは週2回の訪問介護をお願いすることになりました。

3.介護サービスの利用状況

 母が80歳代に入り、徐々に認知症の症状が見え始め、日々の買い物などが困難になりはじめたので介護認定の申請をしました。認定後、施設のケアマネージャーさんに相談し、ヘルパーさんの訪問介護を利用するようになりました。
 訪問介護開始当初は火曜と木曜にきてもらいました。時間は午後2時~3時(1時間程度)で主に買い物をお願いしました。その後、回数を増やし月曜、水曜、金曜に曜日を変更しました。しばらくして、自炊や食事の支度を一人で行うことが少しずつ困難になり、デイサービスを利用することにしました。デイサービスを利用し始めた頃は、朝食、昼食まで済ませてから、2時頃に自宅まで帰る途中のコンビニに寄り、夕飯の買物をして帰宅するプランでした。その後、夕飯まで済ませて帰るようになり、家では寝るだけという状態になりました。デイサービスでの、食事代やおやつ代は実費です。自宅での生活が困難になってからは、同じ施設が運営しているグループホームに、ショートステイを経て、入所しました。
 入所に掛かる費用は親の年金の範囲内で収まりました。骨折して入院した時(85歳)は、入院と同時にヘルパーさんの訪問介護を受けることが出来ないため、週に2回病院へ通いました。退院後、また同じホームに入所できるように、入院中もグループホームの支払いをしていました。

4.勤務先の支援体制、利用状況

 育児・介護休業法に基づく社内制度、93日の介護休業制度は整備されていましたが、介護休業の申請は行わず、介護休暇(年5日間)を活用しました。母親の所要で必要な手続きや通院などは、平日に行うため、有給や代休を使い対応しました。介護休暇は、入院、手術日や退院などで2日ほど利用しました。弊社は介護休暇が有給の為、助かりました。
 介護ではないのですが、社内には女性が働きやすい職場環境づくりを考えるプロジェクトがありました。介護は男女関係ないとはいえ、女性が担うことも多いため、そこで自らが抱える問題、「介護」について、介護者(ケアラー)を支援していく活動を提案しました。自身の介護経験で感じた、手続きや申請の煩雑さ、仕事との両立で精神的に負担が掛かることなど、今後社内でも必要性が高まる介護者(ケアラー)に情報提供していきたいと思ました。

5.仕事と介護を両立できた理由(両立のコツ)

 離職しないための介護者支援の活動が正式に社内で認められ、プロジェクトに賛同協力してくれたメンバーと周知活動を行い、その効果が少しずつ現れたことにより、私自身モチベーションが得られ、母の介護を続けることができました。そのことが両立できた大きな理由です。育児・介護休業法では、介護休暇は年5日間、介護休業は93日働く者の権利として与えられていますが、賃金の支払いについては、企業により異なり、無給の場合も多いです。介護休業給付金制度はありますが、休業後手続きが必要です。私の場合は、代休や介護休暇を利用しました。私の会社は、介護休暇が有給であったため、大変助かりました。また、仕事は辞めないという強い決意と夫の協力も両立できた大きな要素でした。

6.仕事と介護の両立の際の苦労

 一人暮らしの母が訪問介護やデイサービスを利用して日常生活を送れている時も、遠距離介護であった為、何かあったらと、心配が絶えませんでした。グループホームに入所し、独居生活で無くなった時、やっと安心して仕事にも打ち込めるようになりました。ホームで母が骨折し、入院した時は、介護サービスから切り離されたため、対応に苦慮しました。病院に衣類や下着など洗濯物を回収しに行き、洗濯後に届けたり、医者との面談や手続きに平日の休みが必要になり、週2回ほど帰るため、自分の時間が全く持てませんでした。

7.介護者へのアドバイス

 一時的な考えで、仕事を辞めることはしないでほしいです。仕事を辞めると収入がなくなりますし、介護だけの限られた環境にいることで閉鎖的な生活になります。できる限り介護の環境と仕事など別の環境を持ちながら両立することをお勧めします。自分がまず幸せであり、自分の気持ちや生活環境がバランスよく保たれてこそ要介護者も幸せな日々を過ごすことができます。
 ケアマネージャーさんには様々な考えの方がいます。これまで培った経験や知識・情報から介護される側のことを第一に考えた介護プランづくりをしますが、それゆえに介護者やその家族が希望を言い出しにくい場合もあるかもしれません。でも、要望をはっきり伝えた上で、介護の最善策を話し合い、介護プランを決めていくことが必要であり、関係者の方との人間関係を良好にしておくことは大事です。

8.仕事と介護の両立の際の苦労

 介護には何かとお金がかかるので、なんらかの形で介護費用の支援があれば良いと思いました。少しでも帰省する交通費の足しになったり、プラスのサービスに利用でき、介護者は助かると思います。介護者が遠方にいる場合には見守りサービスの利用費用の一部を会社が負担することも良いと思います。何らかの仕組みや制度を取り入れていくことで、会社は介護者の存在を知り、介護に関する情報を入手でき支援体制を整えやすくなります。

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