どこに相談する?(介護の相談先)
介護は一人で抱え込まず、まず相談することが大切です。ここでは、本人(働く方)が使える相談先と、会社(人事担当者)が整えておく相談体制を、あわせて紹介します。
地域包括支援センター
介護に関する地域の総合的な相談窓口は、区市町村が設置する「地域包括支援センター」です。区市町村によっては、高齢者相談センターや高齢者支援総合センターなどの名称の場合もあります。また、社会福祉法人等に運営を委託している場合もあります。
地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置され、それぞれの専門性を活かしつつ、相互連携しながら相談支援業務を行っています。相談支援業務のほか、成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応、ケアマネジャーの指導、要支援者(軽度者)の介護予防プラン作成やサービス事業者との連絡調整なども行っています。
親の介護についての相談先は、介護が必要な人(=親)の居住地の地域包括支援センターです。全国の地域包括支援センターの所在地・連絡先は、専用のサイトで確認することができます。

地域包括ケアシステム
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/#hid1
成年後見制度…認知症などのために判断能力が著しく低下した人は、財産の管理や契約の締結を自分で行うことが難しくなります。このような人を保護するのが成年後見制度です。親族等からの申立てを受けて家庭裁判所が親族または弁護士等の専門家を成年後見人に選任します。法定後見制度のほか、任意後見制度もあります。
ケアマネジャーへの相談
要介護認定を受けた後、具体的な介護サービスを受けるためには、ケアプランを作成する必要があります。利用者本人や家族の希望を聞きつつ、利用者の状態を判断して、どのようなサービスを組み合わせれば適切かを考えてケアプランを作成することがケアマネジャーの役割です。ケアマネジャーに、自分の勤務スタイル(例:月1回程度出張がある)、健康状態(例:腰痛がある)、今後の同居の可能性などを伝えましょう。ケアマネジャーの決定・変更については、地域包括支援センターに相談してみましょう。
ケアマネジャーは介護サービス開始後も少なくとも月1回利用者宅を訪問し、必要があればケアプランの見直しなども行ってくれます。何か困ったことや疑問に感じることがあった場合には、まずケアマネジャーに相談してみましょう。相談のために休暇を取得する場合は、介護休暇を活用するとよいでしょう。
民間の支援団体
民間企業やNPO法人の中にも仕事と介護の両立を支援する団体があります。これらの支援団体は、Web上での情報提供や介護セミナーの開催、介護相談などを実施しています。サービスには有料のものと無料のものとがありますが、これらを有効活用することも一案です。
社内相談窓口の設置
家族介護に直面した社員からの相談を受け、的確なアドバイスを行う手段として、社内相談窓口の設置があります。介護の必要性を予測することは難しく、急な介護が必要となった場合に備えて、専用の相談窓口を設置しておくことは社員の事情を早めに察知するのに有効ですし、社員の安心感にもつながります。一方、介護に直面していない社員にとっては今一つ存在感の薄いものとなりがちですので、日頃から社員へ周知・PRすることも必要になってきます。窓口を設置したらそれで終わり、とするのではなく、継続的に社内でPRするとともに、相談内容を集計・分析し、会社の支援制度の向上策の検討などに活用するなどの工夫も重要です。
ただし、社内に相談窓口を設置するには、介護や育児・介護休業法に関する適切なアドバイスができる知識を有した相談担当者を配置する必要があります。そういった専門知識をもつ相談員を配置することが難しい場合は、社外に委託をすることも可能です。

両立社員の心身のサポート
家族介護で相談にきた社員は、すでに心身に疲労が蓄積していたり、不安を募らせていたりする可能性があります。別居の親の介護のために夜間や休日を使って世話をしている場合や、認知症を発症している親と同居している場合など、介護の状況だけでなく、社員自身の心身の状態も聞くことによって、精神面でのサポートの必要性が把握できる場合もあります。あらかじめ相談窓口を定めておき、必要な場合には外部のカウンセラーなども利用して、社員のサポートができる体制を準備しましょう。
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専門は産業・労働社会学、労働政策、人的資源管理。介護と仕事の両立に関する論文や著書を多数発表。
主著『介護離職の構造――育児・介護休業法と両立支援ニーズ』(労働政策研究・研修機構、2023年)は労働研究の最高殊勲である労働関係図書優秀賞を受賞。厚生労働省の研究会委員や国会の参考人意見陳述を通じて育児・介護休業法の改正にも関わっている。


