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事例2:株式会社サイバーエージェント

妊活支援を軸にした出産前後のサポート

令和元年度取材

1.企業概要

設立:1998年
所在地:東京都渋谷区宇田川町40-1 Abema Towers
従業員数:2,500名(20代・30代が8割以上)
事業内容:メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業

2.取組の背景

 当社は設立して20年の企業です。社員の平均年齢31歳と若く、20歳代、30歳代で8割以上を占めています。です。男女比は男性が7で女性が3の割合です。以前は若い独身の社員が多かったのですが、家族を持つ社員が徐々に増えていきたことで、会社の雰囲気も変化してきました。
 これまでは社員のニーズを体系的に把握し制度を整備していくというよりも、社員一人ひとりの困っていることに個別に対応するカルチャーや風土づくりを重視してきたため、女性社員向けの支援制度は産休・育休の法定通りの運用に留まっていました。
 2014年に「明日会議」という会社の未来・経営課題に関わる提案を社員が社長に直接プレゼンできる場ができました。「明日会議」は社外に場所を移して一日中行われ、新規事業や社内の制度について提案できます。議決されれば、翌日からその事案の運用方法や実施方法の計画づくりのフェーズに移行し実施に向けて本格的に取組が動き出します。
その「明日会議」の場で、女性社員を支援しようという案がいくつか提案されました。社内のママ社員がちょうど100名程になり、社会的にも女性の活躍が注目されていたタイミングでした。
 女性支援に関する社内制度は、ありきたりのものではなく、社内外にインパクトがあるサイバーエージェントらしいもの、例えば、妊活を支援するくらいインパクトがあるものがよいと、社長が提示してくれ、「妊活」をキーワードにした制度の設計を早急に人事部で進めることになりました。妊活を成功させるにためには何があったらいいだろうかということを相当考えましたが、検討期間はわずか2か月と非常にスピード感を持って行いました。2014年2月の明日会議で議決されてから3か月後の5月に、女性社員の出産前後をサポートする制度としてmacalon(マカロン)制度が誕生しました。

 

3.取組内容

macalon(ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く)制度
 マカロン制度は妊活を軸に整備した制度ですが、会社が出産を奨励するものではありません。女性社員の中には産まないことを選択している女性もいます。Mission Statement の中に「有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現する」会社の方針として進められています。

  • 妊活休暇
    不妊治療中の女性社員が治療のために通院すること等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇です。不妊治療中は急に通院が必要になることがあります。体調等への配慮も必要になるため、当日の取得も可能としています。本休暇を取得する際は、エフ休という言葉を使用し上司の許可を得ることとしているため周囲に具体的にどのような目的で休むのかを知られることなく取得することが可能です。
  • 妊活コンシェル
    妊活に興味がある社員や、将来の妊娠に不安がある社員が、専門医、保健師による専門家の個別カウンセリングを受けられることができる制度です。カウンセリングは月3枠、1枠30分です。カウンセリングの日程を社内に告知し、カウンセリングを希望する社員は事前に予約します。昼休みの時間帯を活用して会議室で実施しているため、周囲に知られることなくカウンセリングが受けられます。女性社員だけでなく男性社員がパートナーと一緒に相談することもできます。最近は入社して数年の20歳代の若い女性社員が将来のことを考えて、今何をしておくべきかを知りたいためにカウンセリングを受けるケースが増えています。
  • エフ休(Female休暇)
    女性特有の体調不良などの際に、月1回取得できる特別休暇です。通常の有給休暇も含め、女性社員が取得する休暇の名称を「エフ休」にすることで、利用目的がわからないようにするだけでなく、取得理由の言いづらさや、取得づらさにも配慮した制度です。
  • 上記制度と、育児と仕事の両立を支援する以下の制度を合わせて、macalon制度としています。
  • キッズ在宅勤務
    子どもが急に具合悪くなった時の看護や通院に使える制度です。急な発病や登園禁止期間など、子どもを自宅で看護しながら在宅勤務が行えます。男性女性社員ともに利用できます。
  • キッズデイ休暇
    子どもの入園・入学式や親子遠足、参観日といった学校の行事や誕生日などの記念日に取得できる特別休暇です。年に半日休暇2回の取得が可能です。男性女性社員ともに利用でき、利用頻度が高い制度です。
  • おちか区ランチ
    居住している市区町村によって保活情報や育児に関する情報は異なっています。ママ社員同士で情報交換や相談ができるように、同じ市区町村に住むママ社員同士が集まるランチ代を会社が補助する制度です。同じ市区町村に住むママ社員が4人以上集まれば実施できます。4か月に1回、一人当たり3,000円のランチ代を会社が負担しています。ランチの時間を使い保活や育児について同じ立場の社員で気軽に情報交換ができるということでママ社員には好評です。
  • 認可外補助制度
    認可保育園・認証保育園に入れないために仕事復帰ができない社員を対象に、認可保育園と認可外保育園の保育料の差額を会社が負担することで社員の復職を促進する制度です。
  • ママ向け社内報「mama:HO」
    ママ向けの社会報です。育児と仕事を両立するママ社員の体験談や経験談や会社の最新情報を掲載し、ママ社員への情報提供と産休・育休中の社員にも自宅へ郵送することで、会社と社員をつなぐことを目指しています。

マカロンパッケージの制度
サイバーエージェントのマカロンパッケージの制度を紹介するホームページ

4.これまでの効果と今後の課題

①これまでの効果
 妊活支援を導入するまでは、どの程度ニーズがあるのか、分かりませんでしたが、例えば妊活コンシェルは相談しやすい窓口として、多くの社員に利用されているだけでなく、ニーズを掘り起こすきっかけにもなっています。また、妊活休暇をとった社員も20人ほどいます。休暇を利用した女性社員の約2割がその後産休を取得しています。妊娠を望んでいる社員が制度を利用して妊娠に至っているという意味では成功と言えます。その後育休を取得して職場復帰している女性社員の復職率は100%です。
 会社とともに社員も年を重ねていくタイミングでこのような制度を打ち出すことで、会社は仕事するだけの場ではなく、プライベートの部分も応援してくれるというメッセージを社員に伝えることができました。社内制度を整える時には、社員には「挑戦と安心はセットで」あることを伝えています。仕事に挑戦していく一方でこの制度があってよかったと社員の安心につながる支援は重要です。
 マカロンパッケージはトップが社外リリースを行いました。トップリリースと経営陣のブログ発信により、大多数の社員が制度の目的や内容を理解することにつながりました。社内では社員向けにメールで伝達した上で、説明会を何回かに分けて行いました。説明会では、女性向け、上司向けというように対象を分けて目的、使い方をレクチャーしました。女性社員にとっては使いやすい制度の導入になりましたが、悪用しようと思えばできるところがあります。使い方が好ましくないようであれば、制度自体がなくなってしまいます、責任を持って使ってください、と伝えています。上司には、実際に困っている人を会社が応援する制度だから理解してほしい、おかしな使い方をする人がいるならいつでも人事部に言ってください、と言っています。

②今後の課題
 制度は定着していると感じていますが、社員のニーズに沿う制度になっているかどうかは常にチェックしていかなければなりません。
 妊活については、社内でオープンに話す環境にはなっていませんが、妊活休暇を取る社員には、上司に伝える必要があることから、本人から話すか、それとも人事から伝えるかを本人に選んでもらっています。必ず本人の希望を聞くようにしています。
 社内に新しい制度を導入するには時間がかかると思っています。妊活で休むことを理解してもらえない企業もまだまだ多い中、当社ではマカロンパッケージの制度はスピーディに整備し導入することができました。見直しが必要になった時もスピーディに行いたいと思っています。


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