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事例4:株式会社バンダイ
全社員の未来を明るく!「こうのとり休暇・支援金」を含むファミリーフレンドリープランを策定
令和二年度取材
1.企業概要
設立:1950年
所在地:東京都台東区駒形1-4-8
従業員数:851名(2020年6月時点)
事業内容:玩具、カプセルトイ、カード、菓子・食品、アパレル、生活雑貨等の企画・製造・販売
2.取組の背景
当社は、未就学~小学生向けの玩具を中心に多彩な商品やサービスを展開しているメーカーです。お子さまの気持ちに向き合いながら発展を遂げてきた企業として、我々は「お子さまを産み育てていくことに協力的な企業で在りたい」と考えています。
比較的女性社員の割合が高い職場でもあるため、女性社員が活躍しやすい職場を提供することに注力してきました。現時点で、マネージャー職(課長)178人の内24人が女性社員、アシスタントマネージャー職(係長)283人の内80人が女性社員となっています。アシスタントマネージャー職(係長)以上の女性比率は、19%で、結婚または子育て中の女性社員が多く活躍しています。
当社では、不妊治療と仕事の両立支援に限らず、社員に日々いきいきと活力をもって働いてほしいと願っています。最も重要視しているのは、働く社員にとって子育てがしやすく、働きやすい職場環境を用意することで、これまでも「産前・産後休暇」「育児休業」といった一般的な制度の他に、「出産・子育て支援金」、「結婚休暇」、「妻出産休暇」など、独自のライフサポート制度を用意し、さまざまな支援に取り組んできました。
当社では、ここ10年ほどで育児休業を経て職場復帰する女性社員がほぼ100%に達しています。もともと子ども好きな社員が多く、社内に助け合いの文化が根付いていました。そのため、新卒で入社してお子さまを二人出産し、育児休業を経て活躍している女性社員も珍しくなく、「職場復帰が当たり前」と考える社員が年を追うごとに増えてきました。
そして、次の段階として力を入れたのが、不妊治療と仕事の両立支援です。不妊治療に関する両立支援制度については、現状では利用者は少ないのですが、今後はそれを当たり前に利用する時代へと変わっていくと考えています。今の社員だけでなく、10年後の後輩社員のことを想うと、今からさまざまな両立支援を始めることが必要だと感じています。
2021年4月から新たに実施する支援制度「ファミリーフレンドリープラン」については、人事が中心となり、さまざまな社員の声をヒアリングしながら、2020年夏頃から働く人がより利用しやすい制度に近づけていったという経緯があります。
3.取組内容
以前より、育児休業はお子さまが2歳に達するまでは取得可能、また小学校6年生終了まではフレックス制度(時短勤務)が選べるなどの制度を設け、育児がしやすい環境を整えてきました。それに加えて、2018年4月より不妊治療に関する両立支援制度として「こうのとり休暇」を試験導入しました。これにより、結婚や出産を考えている社員に対しても、将来的にどんなことにチャレンジしても、どんな壁に直面したとしても、「会社は自分が働く環境を整えてくれている」という安心感を与えることが出来ると考えています。このような制度整備を行うことで、「誰もが長く活躍できる場が用意されていること」を示すことができ、そのことが社員の働く活力になると考え、プラスした制度です。
「こうのとり休暇」(2018年4月~)
年度内365日を上限に休みが取得できる制度(休職扱い・無給)です。休職して不妊治療に専念したいという方のための制度。1人の社員につき、1人のお子さまが誕生するまでに1回利用可能。2人目以降のお子さまの際にも別途利用可。
今後、不妊治療に関する休業は、直接人事に連絡が可能な申請ルートも用意するなど、より相談しやすい体制を整えていきます。
「こうのとり休暇」の周知については、利用者が限定されていることから現時点では全社的にアピールする段階に至っておらず、どのように周知していくかが課題のひとつとなっています。そこで、2021年4月より結婚休暇、看護・介護休暇などの従来の休暇・支援制度と一括りにし、「ファミリーフレンドリープラン」という名称で運用することを決めました。不妊治療を理由とした休暇というものが、介護や看護よりも周囲に言いづらい方もいらっしゃるかもしれないという懸念もあり、他の休暇と羅列することで一般的な休暇のひとつと捉えてもらえるようにしました。また、さらなる不妊治療・出産・子育て支援の拡充を目的に、新たに次のような支援金の支給と増額を実施することを決めました。
「こうのとり支援金」(2021年4月~)
年間最大20万円(お子さま1人出産につき最大で3年分・合計で60万円まで)の治療費補助。2人目以降のお子さま出産の際も利用可能。
「出産・子育て支援金」(2021年4月改定)
第1子、または第2子が誕生した際に各30万円、第3子以降は300万円を支給
そのほか、不妊治療で通院が必要な人には、次のような別の制度も用意されています。
「ライフサポート休暇」
最大30日間(無給)、不妊治療の通院や子どもの不登校、介護、看護などを含めて、休みを取得できる制度。
不妊治療の通院にはライフサポート休暇以外に、「時短制度」を活用することも可能です。
ファミリーフレンドリープラン | |
---|---|
①結婚休暇 | 本人が結婚するとき5日間上限で取得可能 |
②こうのとり休暇・支援金 | 妊娠を望む社員は、1か月以上最大1年間休暇取得可能 年間20万円を限度に、合計60万円上限で治療費補助 |
③産前・産後休暇 | 出産予定日前6週間・出産後8週間取得可能 |
④出産・子育て支援金 | 第1子、または第2子が誕生した際に各30万円を支給 第3子目以降に誕生した子1人につき300万円を支給 |
⑤配偶者出産休暇 | 配偶者が出産したときに5日間上限で取得可能 |
⑥育児休業 | 子が満2歳に達するまで休業可能 子が小学校6年生に達するまで時短/フレックス勤務可能 |
⑦看護・介護休暇 | 2親等内の家族の看護・介護のために、1年間につき1人当たり8日間上限で取得可能 |
⑧ライフサポート休暇 | 子の不登校等、会社が認める事由がある場合は1事業年度につき30日間上限で取得可能 |
⑨介護休暇 | 最大93日間取得可能 要介護状態の家族がいる場合、時短/フレックス勤務可能 |
4.これまでの効果と今後の課題
① これまでの効果
これまでに、「こうのとり休暇」を1名が利用しています。半年ほど休みを取得し、妊娠・出産し、仕事に復帰しました。
4月から運用開始となる「ファミリーフレンドリープラン」により、「こうのとり休暇・支援金」のさらなる社内浸透を目指し、社員が仕事かプライベートかを天秤にかけて、どちらかをとるという選択をせず、両方を充実させる後押しをし、日々の活力アップにつなげてほしいと考えています。
② 今後の課題
当社は、お子さまからお年寄りまで、さらに国内にとどまらず世界に向けて幅広く商品やサービスを展開しているため、多種多様な人材が必要だと考えています。その場合、子育て経験がある方、お子さまを複数お持ちの方などの視点も、会社にとってはたいへん重要なものとなります。その方達にとってもより働きやすい環境、自分の価値を感じられる会社にしていきたいと思います。
2021年4月に改定する「ファミリーフレンドリープラン」も、これが最終形ではなく、これから、さまざまな価値観や人生設計をもった社員一人ひとりに対して寄り添っていけるものへと進化させていきたいと考えています。
また、当社では先述のサポート制度のさらなる社内浸透を目指し、社内のポータルサイトやメールでの通達、社内報(雑誌、映像)での周知を予定しています。
全社員が仕事でもプライベートでもやりたいことを成し遂げられる環境の実現を目指し、サポートしていきたいと思います。