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事例5:株式会社エムティーアイ

早くから不妊治療休職を導入。テレワークや「スーパーフレックス制度」も取り入れ、より働きやすい環境へ

令和三年度取材

1.企業概要

設立:1996年
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー35F
従業員数:1,295名(グループ全体・2021年9月30日現在)
事業内容:事業内容:コンテンツ事業、ヘルスケア事業
URL:https://www.mti.co.jp/

2.取組の背景

 当社は、音楽動画配信・ヘルスケア・生活情報など、生活者の暮らしを豊かで便利なものに彩る個人向けサービスと、ICTを活用した新たな価値提供を行う法人・官公庁向けサービスを事業の大きな柱としています。
 当社では、従業員にとって働きやすい環境を整えることで、従業員それぞれが自身の生活を大切にしながら活き活きと働き続け、生産性の向上にもつなげていくため、ワークライフバランス支援、ダイバーシティ支援、女性活躍推進など、さまざまな施策を実行しています。
 ワークライフバランス支援では、法定通りの育児・介護休業、短時間勤務等の制度は実施してきましたが、ヒアリングやアンケートによって集まった従業員の声を反映し、さらに手厚い制度を整えてきました。
 その後、不妊治療を行っている執行役員から、「治療と仕事の両立が難しい。休職制度があるならキャリアを継続したいが、無理なら退職せざるを得ない」という相談があったことをきっかけとして、2013年に「不妊治療休職(チャイルドプラン)」制度をつくりました。

3.取組内容

⑴不妊治療休職制度
 休職期間は、当初1年間と定めましたが、不妊治療は人によって治療内容も期間も大きく異なることから、施行1年後に人事部で再検討し、経営者にも相談した結果、現行制度の最大2年間に見直しました。
 導入当初は、社員の平均年齢が比較的若かったため、利用率は高くはありませんでした。現在も利用者は2名で、決して多くはありません。しかし、このような制度があること自体が従業員の安心感につながっていると感じています。
 せっかく制度を作っても利用されなければ意味がありません。不妊治療はセンシティブな情報なので大々的な告知はしていませんが、制度が必要な人に情報が届かないということがないよう、社内ポータルなどでわかりやすく紹介しています。

⑵全従業員を対象としたテレワーク制度
 当社には、育児・介護事由で、月10日間在宅勤務をすることが可能な在宅勤務制度がありました。育児事由の場合は、利用期間を小学校4年生の始期に達するまでとしていましたが、「小3の壁」とも言われる学童保育の年齢制限や、高学年に上がるにつれ、精神的なサポートが必要になってくるなどの問題から、小学校に上がってからの育児支援を求める声が多かったことを受けて、利用期間を小学校卒業までに延長しました。
 その後コロナ禍の影響で、暫定措置として全従業員を対象に、自宅を含むあらゆる場所での勤務が可能なテレワークを行えるようにしました。当初はやむを得ずの措置でしたが、実施してみるとテレワーク後も生産性は低下しないことがわかったため、暫定措置ではなく、また育児・介護などの事由や期間も限定せず、全従業員を対象とした制度としてテレワークを導入することが決まりました。
 また、テレワークの発展形として、通勤圏外に転居してテレワークをすることも認めています。親の介護のために実家に転居した従業員などがこの制度を活用し、介護と仕事を両立させています。

⑶スーパーフレックス制度の導入
 従来からあった育児短時間勤務制度に加え、子どもの通院や学校行事等のために、時間単位の有給休暇が欲しいという従業員の声がありました。そこで、完全な解決策とは言えませんが、テレワークと同時にコアタイムなしの「スーパーフレックス制度」も導入し、より柔軟な働き方を実現する制度の一つとして気軽に活用されるようになりました。
 月あたりの定められた労働時間を満たしていれば、日ごとに異なる勤務時間を設定することや、勤務と勤務の合間に数時間抜けることができるため、育児や介護、また自分が病気やけがをした時、そして不妊治療などと仕事の両立が可能になりました。

⑷法を上回る育児休業制度と早期復職手当
 当社では、法定以上の育児休業制度があり、最大で子どもが3歳を迎える前日まで取得が可能です。女性の育休取得率・育休後の復帰率とも、長らく100%をキープしてきました。
 また、中には早めに復帰してキャリアを続けたいと思う従業員もいます。会社としては、こうした従業員に対しても支援したいという想いから、子どもが1歳半を迎える前に復職した場合、1歳半を迎える月まで早期復職手当を支給しています。

⑸その他の両立支援制度
 他にも、以下のような制度があります。

  • 子育て休暇 :子どもが病気やけがの場合だけでなく、子どもの行事への参加にも利用が可能な有給休暇です。年間で最大5日まで取得できます。
  • 一時保育補助:月30時間まで一時保育料の補助があります。
  • 延長保育補助:月5,000円まで延長保育料の補助があります。

⑹社員の健康支援
 自社がヘルスケアを事業の柱にしていることから、長時間労働の削減など、従業員が健康で働きやすいと感じられる環境づくりには力を入れています。
 たとえば、従業員に対し、「時間で働くのではなく成果を出す働き方をするように」とのアナウンスを行い、効率的に業務を推進し生産性を高める意識の向上を促しているほか、人事制度についても、成果を重視した評価が行われるよう改正を行っています。また、長時間労働が続いた従業員には、産業医からの健康指導を適宜実施しています。
 このほか、女性社員に向けた福利厚生制度の一つとして、当社のグループ会社が提供するツールによる、生理痛やPMS(月経前症候群)に関する相談や、低用量ピルの服用支援などを行っています。また、女性だけでなく男性社員にも女性特有の不調などについて理解を深めてもらうために、セミナーを開催しています。

4.制度設計における工夫

 様々な制度を人事部で企画し、経営層の承認を経て制度を作ってきましたが、経営者に納得してもらうためには根拠を示さなければなりません。また、従業員満足だけにフォーカスするのではなく、生産性向上も実現しなければ制度改革の意味がありません。
 そのため、定期的なアンケートやヒアリングによって従業員のニーズを把握し、一方で生産性の自己評価をはかるアンケートを年1回実施しています。これらのデータを可視化し、従業員満足度の向上と生産性の向上を両立できる制度を企画したうえで、経営者への提案を行ってきました。テレワークの全面導入についても、暫定導入前後の生産性を可視化し、生産性が下がらないことを証明できたことが経営者の意思決定につながりました。

5.これまでの効果と今後の課題

⑴制度の導入による効果
 テレワークやスーパーフレックス制度など、を導入することで、働き方が大きく変わり、不妊治療や育児など、様々な事情を抱える従業員が、仕事との両立を果たしています。
 このほか、テレワークにより通勤時間が不要になったことで増えた自由な時間を、リフレッシュや学びの時間に活用する従業員も増えています。また、リモート営業の日常化により移動時間が削減された分、商談数が増えたという声もあります。
 また、スーパーフレックス制度を利用したことで、少し具合が悪い時でも、中抜けや早めの退勤ができたことで通院しやすい環境となり、そのための有休申請の必要もなくなったため、こまめに受診し体調の悪化を予防するなど、日ごろの体調管理もしやすくなったという従業員の声も上がっています。また、この制度を利用して子どものお迎えに行ける男性社員が増えるなど、男性の育児参加の機会も増えているようです。
 これらの制度によってワークライフバランスが向上することで、従業員の満足度が上がり、そのことが生産性の向上にもつながっています。

⑵今後の課題
 不妊治療休職制度はメディアにも取り上げられ、注目された試みではあり、制度として定着してきましたが、当社では、全ての従業員が働きやすく、かつ活き活きと活躍できる環境を目指して制度設計を行っています。
 テレワークとスーパーフレックス制度を導入したことに対しては、従業員の満足度が大変高いですが、それでも働くのが難しいという従業員がいれば、支援をしていく必要があると考えています。今後も従業員の声を集め、経営層と密にコミュニケーションを取りながら、より働きやすい環境整備に努めていきたいと考えています。

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