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事例7:株式会社メルカリ

妊活でもPro意識を持ち、仕事との両立を達成する

1.企業概要

設立年:2013年
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
従業員数:2035名(男女比67.1%:32.9% 平均年齢35.6歳)
事業内容:フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用

2.取組の背景

当社は2013年の創立時からグローバルテックカンパニーを目指し、人事制度でも世界的企業をベンチマークといたしました。2016年からは社内の人事制度を、従業員から親しまれるように「merci box(メルシーボックス)」と名付け、運用しています。merci boxには従業員とその家族のための支援として、産休、育業支援の拡充、介護休業の補助があり、妊活の支援も含まれています。従業員のための取り組みを形骸化させないために、社内チャットで従業員個人がいつでも、妊活についての情報や制度についての問い合わせをすることができるようになっています。そのために当社では社内制度についての従業員の正直な意見も得ることができていると考えています。

ロゴ

図1 merci boxのロゴ

3.取組内容

当社では従業員一人ひとりがプロフェッショナルとして自らを高め、責任を持って行動を促すために「Be a Pro」というバリューを掲げています。妊活支援制度を申し込む際も、従業員にはこのBe a Proの精神を持って申請いただいています。当社では従業員やその配偶者、またパートナーが高額な費用が発生する不妊治療を行う場合、所得や年齢の制限なく、その費用の一部を会社が負担します。さらに保険適用外の治療であっても、実質本人負担額は治療費の3割とする制度もあります。もし、従業員がこの制度を利用したい場合は、上長に相談する必要もなくオンラインで申請することができます。申請後は人事部が必要な手続きを行い、必要に応じて本人に連絡します。

このように上長を経由しなくても制度利用を申請できる仕組みは、従業員一人ひとりをProとして信用してのものです。妊活支援制度の申請をするかどうかの決定も、従業員はProとして判断しています。さらに当社は性善説の考え方を基に、日々の業務と同じように妊活のような重要な決定事項も、従業員は様々な要素や自分の良心に基づいて決定できると確信しています。

しかし、従業員が一人で課題を抱え込むのではなく、上長であるマネジャーは定期的に行われる「1on1」と呼ばれる個別ミーティングによって従業員の支援を行います。1on1内では従業員が妊活をしていると報告した場合や、不妊治療のために休暇を申請するといった場合でも、マネジャーは従業員の決定を否決するのではなく、承認します。そして、どうしたら妊活をしながら仕事を両立できるか、妊活のために有給休暇を使用する場合に、どのように引継ぎを行えるか、社内でさらに利用できる制度がないかどうかを共に考えるようにします。マネジャーに対しては従業員の良い相談相手となるためのトレーニングが定期的に行われています。

従業員の妊活から育業、職場復帰まで社内チャットを使って細かなコミュニケーションが図られています。このようにすることで、妊活中の従業員に対して他の従業員達が柔軟なサポートをするように調整し、制度の形骸化が起こらないようにしています。

4.これまでの効果と、今後の課題

(1)これまでの効果

当社ではGo Boldと銘打ち、大胆に業務を行うという精神を従業員の間で共有しています。そのために現在まで多くの挑戦をしてきました。merci boxとしてもダウンサイドケア、つまり誰もが人生の特定のタイミング等で直面する可能性があるもので、個人の負担で乗り切るには精神的にも経済的にも負担が大きく解決策も限られ、また仕事へのパフォーマンスに影響を及ぼす事柄には、積極的に対処する姿勢を持ってきました。そのために2016年から妊活の支援を行ってきました。さらに、2021年より卵子凍結支援制度として、妊活サポートの一環として200万円/子を上限とした補助も行っています。卵子凍結支援制度を導入した背景としては、不妊治療と同じく、まだ国からのサポートを受けられず、負担が大きいこと、また卵子凍結制度自体は、海外の大手IT企業を中心に導入され、注目されていたこともあります。そういった企業を参考に制度設計していきました。この制度を導入して、従業員からは「卵子凍結は“興味がある“程度で踏み切れない金額のため、補助があることで選択肢が広がった」「卵子凍結をはじめとした制度を社内で活用されている方の様子や体験談を見て、かえって家庭と仕事を両立するイメージを育てることができた」という声をいただいています。卵子凍結に関する社内のチャットツールでのコミュニケーション場もあり、それぞれが情報共有をおこなっています。妊活の支援は、その対象を全従業員とその配偶者、またはパートナーも対象としています。従業員のパートナーが当社の従業員ではなくても制度を利用できます。

従業員が働き続けられる環境を作るという考えから、病児保育費も支援しています。これらの妊活、育児に関する制度を制定するときには全社アンケートを行うのではなく、社内チャットでの従業員からの声がきっかけとなる事が多いです。そうすることで、スピーディに仕組みを作ることができています。

何か新しい制度を制定した後にも、人事部は特別な発表やアンケートを取るわけではありません。それでも社内チャットで妊娠の報告や育業の報告を感謝と共に送ってくれる従業員達がいます。それらの報告を見るたびに会社として大きな達成感を味わうことができています。

(2)今後の課題

当社はグローバルカンパニーを目指して日々アップデートし続けています。今後も、制度を導入したら終わり、ではなく社会の変化と会社のニーズに合わせながら、形骸化させないようmerciboxのアップデートも定期的に必要であると考えています。社内チャットを使用した従業員との気軽なコミュニケーションも実現していますので、妊活制度について詳細の問い合わせを各人から受けることができます。部署内の上長を介する必要のない直接の意見交換となるために、多くの情報と向き合っています。これからも従業員一人ひとりがGo Boldに働ける環境を整えるべく人事制度を考えて実行し続けたいと考えています。そうすることで、従業員全てがBe a Proの精神に基づいた妊活と仕事の両立を達成できると確信しています。

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