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体験談2:Nさん

仕事にウエイトを置きながら6年間の不妊治療で男児を出産

【プロフィール】
性別・年齢:女性・51歳
勤務先の事業内容:パブリック、エンタープライズ、ネットワークサービス、システムプラットフォーム、グローバル
従業員規模:約2万人
職務:マネジャー(現在は早期退職してフリー)
家族構成:配偶者、長男
居住地:東京都

1.不妊治療を始めるまでの経緯

 28歳の時に結婚、30歳で主任になりました。責任があり、自身の裁量で仕事ができるのでやりがいを感じていました。プライベートでは、義理の母の看取り等が続いたため、その頃は子どもを持つなどの家族像が描けませんでした。
家族の問題が一段落した38歳の頃、会社から管理職にならないかという打診がありました。少し悩みましたが、キャリアを作っていく上でせっかくのチャンスを逃すのは残念だと感じ、マネジャー試験にチャレンジして、合格しました。
 前後して夫にがんの疑いがあることが判明しました。「もし、本当にがんだったら、お子さんは望めませんよ」と医師に言われ、すごくショックを受けました。
 幸いにも夫はがんではありませんでしたが、これを機に初めて夫婦で子供を持つことについて話し合い、夫からは「僕は子どもが欲しいと思っているよ」と意思表示がありました。私自身も子どもを持っても良いのではないかと思い、妊活を考えるようになりました。私も夫もその時38歳になっており、簡単に子どもを授かるとは思えなかったため、まず病院で不妊検査を行うことにしました。

2.不妊治療の内容

 不妊治療はタイミング法から始めました。会社に近いクリニックに数回通いましたが、妊娠しなかったため、不妊治療の専門病院に変えて治療を続けることにしました。当時は不妊治療や専門病院の情報は少なく、Webで調べて評判のいい病院を選び、結果的に6か所の病院に通院しました。 
 妊活期間は6年間でした。1年目はタイミング法と人工授精を半年ずつ行いましたが、妊娠しませんでした。妊活から1年半が経っても授からなかったため、友人のアドバイスで夫に男性不妊治療の専門病院を受診してもらったところ、精巣に静脈瘤が見つかり手術をしました。不妊治療に疲れていたので、終わりにしたいと思っていましたが、夫の手術を契機に私も不妊治療を続けることにしました。
 2年~4年目には体外受精と顕微受精で採卵を6回しましたが、うち1年は妊活治療から離れたいと思い治療を休みました。
 5年~6年目の子どもを授かるまでの2年間は2回だけ治療しました。顕微治療でようやく着床しましたが、流産してしまいました。その時はとてもがっかりしましたが、1年後に着床の判定をいただきました。今度は喜ぶのはまだ早いと自分に言い聞かせて通常通りに仕事をする生活を続けていました。ついに44歳の時に子どもを出産することができました。

3.勤務先の支援体制と利用状況

 不妊治療を始めてからも、会社にはそのことを伝えず、これまでの働き方を続けました。営業としての付き合いの場に呼ばれなくなる状況は避けたかったですし、これまでの働き方のスタイルを変えたくないという思いが強くあり、言わない方が良いと判断しました。
通常の通院はフレックスタイムを使いました。管理職だったため、自身のスケジュールはある程度、自由に調整することができましたし、採卵日は有給を使い通院していました。当時は全社的に有給の取得率が低いということで、有給取得が推奨されていたため、有給休暇は取得し易かったです。
 また、会社独自の不妊治療への助成金制度があり、利用しました。1回上限が15万円で、5年間助成が受けられるもので、社内の人事を通さずに直接健保組合に申請できる仕組みになっていたので、会社には治療をしていることを知られず利用できました。国の助成金は世帯の収入の条件をクリアできず使うことができなかったので、会社のこの制度はとても助かりました。

4.不妊治療の悩み

 不妊治療をすればすぐに妊娠するのではないかと思いがちです。期待も大きいため、妊娠できなかった時のショックも大きく、精神的にも疲れます。私自身出来るだけ早くこのような状況から抜け出したいと常に思っていました。クリニックの先生に「もう卵が取れない」とか「もう難しい」とか言われれば諦めもつきますが、幸いにもそのようなことを言われませんでしたし、治療による副作用もあまりありませんでした。しかし長い期間不妊治療を続けることの精神的負担は大きいものでした。

5.両立のコツ

 両立しやすいかどうかは職種に影響されると思います。職場内にいつもいなければならない仕事だと、職場に治療していることを黙っていることはできないと思います。私の場合は特殊で恵まれた環境にありました。一般的には、職場の理解を得て、パートナーとの協力体制をつくることが、両立するコツかもしれません。

6.不妊治療をする労働者へのアドバイス

 100%不妊治療に力を入れたいと思う気持ちも必要かもしれませんが、妊娠できない状況が続くと、途中で気持ちが変わることもあります。仕事を辞めてしまうと、結果が出ない時の反動も大きいです。
また、自身の気持ちをあまりコントロールせず、悲しくなったら泣いてもいいし、仕事や治療以外に自身を解放する場を持つことをお勧めします。
 私の場合、治療がうまくいかなかった日は、仕事で遅くなっても居酒屋で夫と待ち合わせお酒を飲むと決めていました。判定まではお酒を控えているわけですから、お酒を飲んで夫婦で言いたいことを話す時間は大切で、私はいつも治療を止めたいと言い続けていました。家で飲むのではなく、喧噪の中でお酒の力を借りて本音を話せたことは良かったです。趣味でもいいし、旅行に行くのもいいと思います。治療だけではなく、妊活から距離を置く時間があると、自分の中で折り合いがついて、もう少し治療を続けてみようという気になるかもしれません。

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