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体験談3:Iさん

染色体相互転座であることがわかり、高度な不妊治療が不可欠に

【プロフィール】
性別・年齢:女性・34歳
勤務先の事業内容:金融
従業員規模:500人
職務:事務
家族構成:配偶者
居住地:神奈川県

1.不妊治療を始めるまでの経緯

 結婚する際に、もし異常があったら早く知った方がいいとブライダルチェックを夫婦で受けました。すぐに子どもが欲しかったことと、周囲に不妊治療をしている人が多かったことから不安もあり、何事も早い方がいいと思っていました。ブライダル検査で異常がなかったことから「半年ほど妊活しても上手くいかなければ病院に行った方がいい」とそこの先生にアドバイスされました。その後、妊娠する兆候が見られなかったため、病院で診てもらおうと通うようになったのが、不妊治療の始まりです。

2.不妊治療の内容

 まずは、会社に一番近い不妊治療も行っている婦人科の病院を選び、詳しい検査をしました。そこでも、特に異常はみつかりませんでした。排卵検査薬を用いて自分でタイミングをとっても妊娠に至らなかったため、人工授精を選択しました。友人が体外受精までやっていたので、治療への抵抗感はなく進められました。32歳の時です。
 夫とも、人工授精を3回やってダメなら体外受精に進もうと決めていました。人工授精の治療するなかで、夫の精子の運動率がやや下がってきたため、治療を先に進めた方がいいという話になりました。
 そのタイミングで不妊治療専門の病院へ転院しました。都内の会社まで自宅から1時間半と遠いので、その通勤途中に通える病院を選びました。まずは採卵から始めたのですが、この病院と相性が合わず、再び転院を考えました。転院の理由は、AMHという身体の中にどれぐらい卵子が残っているかわかる検査では十分に卵子があるはずなのに、その病院では卵が少ししか採れなかったためです。注射をして排卵を促進して採卵する治療法でしたが、採卵した卵に空胞が多いことが2回続いたので転院に至りました。
 次の病院も通勤圏内にあり、採卵でつまずいてしまったことから採卵後の培養技術に定評のあるところを選びました。ちょうど、33歳の時です。注射による刺激が強くなり、採卵のたびに採血をするところが、前回の病院とは違っていました。卵がかなり採れるようになって、空胞もなくなったので、転院して良かったと思いました。何度か移植もしたのですが、うまくいかなかったので詳しい血液検査すると染色体相互転座(ある遺伝子が逆転している状態)が見つかりました。私が生きていく上では問題はないのですが、不妊の原因となるものだったのです。実は、染色体転座は400人に1人の割合であるそうですが、自分がそういう状態だと知った時は、大変ショックで初めて病院で泣きました。けれど、今は原因不明で悩んでいるよりは、原因がわかったので、お金はかかりますが自分に合う治療法がわかって良かったと思います。
 凍結している胚があったのですが、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)をして異常があったことから移植できませんでした。その後、2回採卵し、1回目の採卵で胚盤胞が9個もできて、PGT-Aにかけたら1個正常胚があり、移植できることになりました。その前に着床の窓を特定するERA検査(着床の時期のズレを特定できる)を待っているところです。

3.勤務先の支援体制と利用状況

 不妊治療のための特定の制度はないのですが、有給休暇や半休を取りやすい会社なので、それを駆使して治療と両立しています。病院に夕方5時までに入らなければいけない時などには、職場で「この日は病院なので早めに帰らせてください」と伝えると「いいよ」と快諾してくださるので、治療を続けられています。
 不妊治療に入る時に職場には、これからは早く帰らせていただくこともありますと報告し、了承いただきました。

4.協力者との関係

 今の部長(男性)が不妊治療でお子さんを授かった方なので、治療に対して大変理解してくださっていて、ありがたいです。不妊治療の報告の際も「いいよ」という感じで、快諾してくださいました。上司には何でも話すのはもちろん、親しい人にも治療していることを伝えています。その方が、周囲からのサポートも受けやすく協力してもらえています。なるべく周りに正直に治療のことを話した方が仕事もスムーズに進められると思います。

5.両立の悩み

 治療のためにどうしても休まないといけない、早く帰らないといけない日が会社の繁忙日とあたってしまう時があり、大変申し訳ないと思うことがあります。どうしても罪悪感を持ってしまいます。
 共働きのため、助成金がもらえない対象だったので、経済的な負担はかなりのものです。しかし、所得制限も撤廃されたようなので、ありがたいです。

6.両立のコツは

 例えば、会社の休みの年末に人手がいる時に、自分から「やります!」と手を挙げて出社するなど、自分が出来ることやその範囲内で会社の役に立てるよう心がけています。ギブアンドテイクではないですが、自分が出来ることはなるべくやるようにし、自分も周囲に協力してもらえる環境をつくるようにしています。

7.不妊治療で得たもの、学んだこと

 夫が協力的なので、そういった夫婦の絆を強く感じられました。もし、子どもを授からなかったとして、この人となら幸せに暮らしていけると思っています。
 これはいいことがわかりませんが、いろいろと知識が増えました。最初に転院した時に、自分から治療についても勉強しないとダメだとわかったので、それ以来、知識を得られるように自分でいろいろと調べたりしています。情報収集については、インターネットのサイトや本の他、Twitterで同じように不妊治療をしている人の情報が得られることが大きいです。染色体相互転座をもっているとわかってからは、同じような治療をしている人を探して知識を得ています。

8.不妊治療をする労働者へのアドバイス

 不妊治療を続けるなら仕事は辞めない方がいいと思っています。私は染色体転座があるので、PGT-A検査をしないといけないのですが、その検査料が卵1つに対して約10万円(クリニックによって異なります)かかります。それプラス、採卵や移植なども費用もかかるので、1年間の医療費は大変な金額になりました。今後、不妊治療も保険で出来る範囲が広がると思いますが、それでもお金はかなりかかると思います。出来るだけ会社から協力体制を得て、上司に相談しながら仕事を続けるのがいいと考えています。助成金が出たとしても、採卵や移植にも適用されても、PGT-A検査にまで効くかは各自治体次第なので、全額助成対象になるかはまだわかりません。しっかりとした経済基盤を持っておくことも、不妊治療を続ける上では不可欠なことだと思います。
 もし、流産を繰り返す、着床しにくいといった場合は、染色体相互転座が原因の可能性があるということを知っていただきたいです。血液検査で調べることが出来ます。昔は染色体相互転座があるとわかったとしても、検査できるまで非常に時間がかかりました。今はPGT-Aで比較的スムーズに正常胚を探すことが可能です。希望が持てます。
 また、辛い時はとにかく泣いてスッキリして、美味しいものを食べに行ったり、旅行をするようにしています。ただ、このコロナ禍でなかなか旅行に行けなかったのは、気持ちを立て直す面でも辛かったです。将来、子どもを授かったら、結婚式を挙げたホテルで子どものお食い初めを出来たら嬉しいなと願いながら、これからも夫婦で頑張っていきたいと思っています。

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