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体験談4:Tさん

不妊治療が進むほど、治療内容も増え仕事との調整が求められる

【プロフィール】
性別・年齢:女性・34歳
勤務先の事業内容:リハビリ・診療所
従業員規模:70人
職務:リハビリのサポート
家族構成:配偶者
居住地:京都府

1.不妊治療を始めるまでの経緯

 32歳に結婚し、もともと子どもが欲しかったのですが、半年ほど経ってもなかなか授かりませんでした。何か原因があるのなら調べてもらった方がいいと、病院に行って診てもらうことにしました。最初は、不妊治療も診てもらえるような婦人科へ行きました。そこの先生がハッキリとものをおっしゃるタイプで余計に気持ちが落ちてしまい、転院しました。

2.不妊治療の内容

 2つ目の病院は、高度医療に至らない不妊治療が受けられる一般的な産婦人科でした。そこで、半年余りタイミング法を行いましたが、授かることができませんでした。
 そこで、卵管検査をすると、卵管狭窄と卵管閉塞が見つかりました。先生からは「手術した方がいいだろう」とのことでしたが、その病院では出来ない手術だったため、3つ目の病院に転院することになりました。33歳からは、その病院に通っていて、今も通っています。2020年1月に卵管を広げる手術をし、成功しました。手術自体はそれほど難しいものではなく、手術の翌日から仕事ができる位にすぐ回復しました。その後、タイミング法に4~5回挑戦しましたが、妊娠しませんでした。卵管を広げる手術をしても、半年ほどしたら元に戻るそうなので、もし妊娠できるとしたら手術後、半年ぐらいの間だろうと言われていました。それでも授からなかったので、少しでも早く妊娠したいという思いから、そこから体外受精に切り替えることにしました。
 そこで、人工授精という選択もあったのですが、私の場合、卵管の狭窄があるため、人工授精でも授かれないのではないかと思い、体外受精を選択しました。夫も不妊の検査を受けましたが、異常は見当たりませんでした。
 2020年初夏には、体外受精による治療をスタート。仕事をしながらの治療になるので、通院日を調整できるよう、排卵日をホルモン剤(注射、飲み薬、貼り薬)でコントロールし、時間を調整できる方法を選択しました。注射に関しては自己注射という手段もありましたが、コロナの影響で自己注射の教室が開かれなかったため、2回目に通っていた病院で、採卵の前の1週間、卵子を育てる注射を毎日打ってもらっていました。これまで、採卵を2回し、顕微授精をしました。男性側の問題はないと言われていましたが、やるなら確実に妊娠したいと、最初から顕微授精を選びました。凍結できるまで良い状態に育った卵(胚盤胞)が2回の採卵で各2個できました。それを1個ずつ3回移植しましたが結果に結びつかず、今4回目の移植の周期を待っている状態です。1度目の移植後の判定日に陽性が出たのですが、その後陰性になってしまいました。「どうして着床しないのか」はっきりとした理由はわからないまま、今の段階では移植に挑戦し続けている状態です。

3.勤務先の支援体制と利用状況

 女性が多い職場で、上司も女性だったため、不妊治療の話も比較的しやすかったです。職場としても「出来る限りフォローします」と言っていただけ、ありがたかったです。不妊治療のための特定の休暇制度はないのですが、数時間切り上げて帰ることも選択できる「時間休」、病院の通院にも使える「病休」が年5日(時間休としての使用もOK)あったので、これらの制度を活用させてもらいました。1回目の採卵後、気持ち悪くなった時も、こういう理由でと上司に相談し、時間休で休ませてもらいました。
 会社としても、今後不妊治療と仕事の両立で使えるような制度を導入した方がいいと、検討していると聞いています。

4.協力者との関係

 直属の上司と課の上司、その上の上司がいて、一番状況を知ってくださっているのが、直属の上司になります。1回目の採卵をする前に、不妊治療をやっていくことを直属の上司に報告しました。不妊治療では「体調が悪くなることもある」と病院から聞いていたので、急にお休みをいただくこともある、病院に行くために早く帰らせていただくこともあると伝えていました。
 仕事柄、自分がリハビリを担当している利用者さんがいるので、自分が急に休むことになったら、他の社員に代わってやってもらうか、利用者さんに予約を変更してもらう必要があるため、いろいろなケースを想定して上司に伝える必要がありました。職場にも、不妊治療をしている方もいるようで、皆が協力的で仲間として気遣ってくれているのを感じます。
 採卵で気分が悪くなることが多かった時には、夫が病院まで送り迎えをしてくれたり、家事をやってくれたりと協力してくれています。私が薬を飲み忘れないように「飲んだ?」と聞いてくれるといったフォローもしてくれます。

5.両立の悩み

 自分の体調がよめないことが、一番大変です。薬の影響もあり、朝起きたら急に気分が悪くなったりすることもあります。また、採卵や排卵など身体の状態で、病院から急に「明日、来てください」「1週間後の〇時に来てください」と言われることもあります。1ヵ月先の予定なら、仕事のスケジュールを調整して休みをとれますが、近々だと調整が難しくなります。どうしても上司や同僚に頼んだりして、自分の担当の利用者さんのサポートをお願いするので、かなり気を遣いますし、助けてもらっています。みんなの負担になっているんじゃないかと罪悪感を感じることもあります。
 子宮フローラという治療で、移植をする前に子宮をきれいにする治療をしたのですが、それは「生理の〇日後に来てください」と言われるため、採卵や移植以外にも時間をとられます。治療の回数を重ねるほど、処理や治療の種類も増えるため、休まないといけない日が増えるので、職場の人達にも大変心苦しいです。
 また、体外受精を始めてから経済的な負担もかなり大きいです。共働きのため、助成の対象にならないため、すべて自己負担です。採卵や移植のみでなく、できた卵を凍結保存するためのお金や注射や薬なども自己負担のため、金額的にはかなり大きくなります。

6.両立のコツは

 「先に備えること」だと思います。いきなり休みをもらわなくてはいけなくて、その日にやるべきことが滞って、溜まっていってしまうので、出勤できている時には出来る限り、仕事を片付けておくようにしています。念のために、まだ先の仕事だけどやっておこう、他の人に頼んでおくべき仕事も早く頼んでおこうと。
 一方で、休みの日には存分に家で寛いだり、近所をお散歩したり、お買い物をしたりして、治療にだけ集中しないようにも心がけています。

7.不妊治療で得たもの、学んだこと

 不妊治療を始めて1年半、子どもがほしいと思うことで命の大切さをより感じるようになりました。児童虐待のニュースをみると、自分は得られていない子どもがすでにいるのに、どうしてそんなことをしまうんだろうと感じ、自分の子どもだけでなくて、すべての子たちが幸せになってほしいという気持ちが強くなってきました。子ども達を助ける団体の活動に自分も協力し、貢献できたらと思うようになりました。

8.不妊治療をする労働者へのアドバイス

 私は今まさに不妊治療の真っ最中です。これから不妊治療をしようと思っている方がいたら、不妊治療は早ければ早いに越したことはないとお伝えしたいです。今は仕事に専念したいという気持ちが強い人もいると思いますが、お子さんがほしい場合は早く病院に行って、最初に検査をしていろいろ調べてみることが大切だと思います。そういうことがもっと一般的になったらいいなと思います。すでに不妊治療をされながら仕事と両立している方には、「一緒にがんばりましょう」という気持ちでいっぱいです。気分が落ち込むことが多いので、気分転換を忘れないように進んでいけたらと思います。

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