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事例2:ティーペック株式会社

社員健康促進制度の実施により、社員および家族の健康づくりをサポート

令和元年度取材

1.企業概要

設立:1989年
所在地:東京都台東区上野5-6-10 HF上野ビルディング
従業員数:260名 契約専門職約200名
事業内容:電話による健康相談、医療関連サービス及びEAP(従業員支援プログラム)関連

2.取組の背景

 当社は、健康・医療に関する様々な問題を解決する「日本の新しい健康インフラ」づくりを目指し、「からだの不安についての相談」、「こころの不安」についてのカウンセリング、メンタル不調者の休職対応アドバイスなどを行う「人事・労務ホットライン」や「ハラスメント受付・相談」などのサービスの提供を行っています。
 「顧客の健康を預かるためには、まず社員が健康であるべき」との考えから2013年に健康経営宣言を行い、社員の健康促進制度として、顧客に対して提供するサービスを社員も利用できるようにしました。健康経営のための取組はお金はかかりますが、社員に対する投資であると位置づけ、トップダウンで実施されています。
 2011年頃に社員の一人にがんが発見されました。手術は成功し職場復帰はしたものの、定期的な通院が必要でした。通院には有給休暇を利用していましたが、有給休暇消化後は欠勤扱いで通院することになり、経済的な負担が生じてしまいました。このような経験から、がんに羅患した社員が安心して治療をうけながら仕事が続けられるような環境整備の必要性を認識しました。

3.取組内容

①社員健康促進制度

  • 健康診断休暇
    健康診断の受診のために、受診日の特別休暇を設けています。法定健康診断の受診率は100%です。
  • ウォークシリーズ(歩数)表彰
    社員に歩数計を配布して、平均8,000歩/日を目標にしたウォーキングを推奨しています。ウォークシリーズの参加者には、半年ごとの歩数に応じて図書カードや賞金を支給しています。
    参加者のうち、目標を達成した社員は65%になりました。
  • 禁煙対策
    事業所内は完全禁煙です。喫煙者が禁煙に成功した場合は、一時金として、健康促進祝金を支給し、非喫煙者には毎月健康促進手当を支給しています。2017年には社員の喫煙者はゼロになり、現在に至るまで喫煙者ゼロは維持されています。

②がん治療と仕事の両立支援

  • 治療休暇制度
    がん治療は退院後も抗がん剤治療や放射線治療、検査などで、1~2年間は週1回程度通院する必要があります。そのため、通常の有給休暇以外に治療休暇を月2日まで、半日単位で取得できる制度を新設しました。がんと闘いながら仕事をしている社員を1日も早く支援したいと、制度創設を決めてから約1か月で導入することができました。前述の社員は復職して来年で10年になりますが、現在も元気に働いています。
  • 時差出勤、職場の配置転換
    治療中の体には満員電車の通勤は負担であることがあります。本人から申出があり、会社が承認した場合には、時差出勤や体への負担が少ない部署への異動ができるようにしています。
  • 治療方法に関する情報提供
    自社のサービスである医師・看護師・保健師等による電話相談であるハロー健康相談24や、医学会の専門分野を代表する先生によるセカンドオピニオンサービスを利用することができます。
  • 病気の予防、早期発見、重症化予防の促進
    がんへの対策は、早期発見・早期治療が重要になるため、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの受診を会社として推奨しています。がん検診の受診は任意ではありますが、検診の費用は会社で負担しています。会社としては5つのがん検診の受診率80%を目標にしており、受診率向上に向けて、検診や疾病について学ぶ研修・勉強会の開催、定期健康診断と一緒に受診できるようにするなどの取組を継続的に実施しています。
  • メンタルヘルス対策
    がんの告知を受けた人は精神的にショックを受けるので、自社で提供している電話相談であるハロー健康相談24や、臨床心理士、精神保健福祉士等による対面でカウンセリングが受けられるこころのサポートシステムを利用できるようにしています。
  • 就労相談窓口の設置
    治療と仕事の両立のための相談窓口を人事部門に設置しています。個人情報などの秘密を厳守したうえで、人事総務部と人事課主任以上が相談に対応しています。

③がん以外の病気にも支援を拡大
2019年9月から、がん以外の継続的な治療が必要な病気を抱えている社員も、②で挙げた制度を利用できるようにしました。利用対象者の拡大にあたっては、産業保健スタッフから、この病気だったらこういう治療になるので、こういった支援が必要です、休みはこれくらいが妥当です、というように具体的なアドバイスを提供してもらいました。

表

※特別福利厚生制度とは、役員、社員及び配偶者ならびに一親等・二親等の人が、 自社のサービスを利用できる制度
※サービスの種類及び対象者は表のとおり。

4.これまでの効果と今後の課題

①これまでの効果
 この制度を導入した当初は、使い易い制度になっているかどうか不安がありました。社員が制度を利用することに躊躇するのではないか、利用している社員への偏見は生じないだろうか、使いやすい環境になっているだろうかなどです。
 現在、がんは2人に1人がなる可能性がある病気です。がんに限らず病はストレスが原因で発症することもあります。社員には自身もがんなどの病気になる可能性があることを認識してください、その時には会社として社員向けに整備した制度なので必要があれば堂々と使ってください、と伝えています。
 実際にがん治療と仕事の両立支援制度を利用した社員は5人おり、離職者は一人もいませんので、取組の効果が出ているのだと思います。

②今後の課題
 がん以外の病気と仕事との両立支援制度を整備はしましたが、まだがん以外の病気を理由に制度を利用した社員はいません。病気の種類によって治療方法は異なるため、今後そうした社員が出てきた場合、本人の病気の状況と希望を聞き、現場の上司と人事部門が連携を取りながら病気治療中の社員を支援していくことが大切だと考えています。
 自身の病気のことはなかなか周りの人には言いづらいと思います。会社としても病気の当事者には慎重に対応する必要があります。また、病気治療と仕事を両立するうえで、現場の上司の理解は欠かせません。管理職も病気への理解を深め両立支援のために何ができるのかを学習する管理職向けの研修が今後必要になるかもしれません。
 今後、社員向けの実態調査を実施して制度に関する様々な意見を聞くことも重要だと思っています。


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