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事例7:株式会社浅野製版所

スポーツ施策を取り入れた健康経営で会社の100歳を目指す

株式会社浅野製版所

1.企業概要

創業年:1937年
所在地:東京都中央区築地3-14-2
従業員数:39名(男女比  6:4  平均年齢 42.7歳)
事業内容:新聞・雑誌広告・OOH・商業印刷類の企画、デザイン、レタッチ、DTP、製造の各種業務

2.取組の背景

当社の従事している広告事業は一般的に、勤務時間が長く、深夜業務も発生するため、以前は過酷な勤務形態のために体調を崩したり、当日欠勤したりする従業員が後を絶ちませんでした。その結果、離職率が高くなり人手不足が顕著になってしまいました。そこで2014年にワークライフバランス推進を目標として掲げ、事業を継続していくために従業員が長く勤務を続けることのできる組織作りを開始しました。

2016年には働き方改革を意識した取り組みが始まりましたが、仕事量は変わらない中で勤務時間だけを縮小する事は至難の業でした。そのような中で、必要のない作業がないか徹底的に見直すと同時に、社内システム化の推進や多能工化などに取り組み、勤務時間の改善を行っていきました。このころから健康経営を軸とした従業員の健康維持に注意を向けた施策を始めることとなりました。

3.取組内容

健康経営を推進するために、当初は経営企画部の2名で取り組みを行っていました。世間でも働き方改革が始まったばかりで、中小企業の推進事例もほとんどなかったため、まずは健康づくりを意識してもらう取組みを日常に取り入れ、お金をかけず、できることからスタートしました。しばらくは経営企画部での旗振りが続きましたが、2022年には健康推進チームを発足させ、現在は6名の社員が健康経営関連の資格を取得し、社内の健康づくりの推進を行っています。

特にスポーツ施策、運動施策はデスクワークの多い当社にとっては有効な施策となっています。たとえば、健康経営推進チームのメンバーが全国ラジオ体操連盟の講習を受け「2級ラジオ体操指導士」の資格を取得し、社内で効果的にラジオ体操ができるように運動のポイントなどを伝えています。ラジオ体操第一は3回行えば、一日に必要な運動量を賄うことができるため、実際に体操している様子を動画で撮影したものを、社内のオンライン掲示板に掲示し、従業員が、いつでも効果的な運動を行うことができるようにしました。

また、当社では従業員各自の働き方を考慮し、朝7時から午後2時までの時間を始業時間とした7つの出勤時間を制定しています。全従業員の6割が在宅ワークを併用していますが、午後2時にはすべての従業員が出社している状態となるので、2016年ごろから毎週水曜日にラジオ体操やストレッチなどを実施しています。参加を促すために2回体操に参加すると全国の自販機で飲料が購入できるドリンクチケットをプレゼントして従業員の参加の動機付けを行っています。 さらに、希望した従業員全員にスマートウォッチを配布し、健康アプリを導入しています。在宅ワークをしている従業員も一日の歩数が確認できるため、運動不足を気にしてお昼時間などにウォーキングをする社員も増えています。秋にはアプリ上で歩数を競うウォーキング大会も実施しました。

4.これまでの効果と、今後の課題

当社では10年以上にわたり毎年3月に全従業員対象とした面談を設けており、その機会を利用して従業員の健康に対する意識や会社として支援できる要望を聞いています。社会で実生活を送り、世の中の情報をよく知っている従業員からの情報は健康経営を行う際に有益なものとなっており、要望を聞いて実施した施策の数は10年で100を超えました。

当社が健康経営をテーマとして活動を始めた初期の頃は通常業務の整理ができていない状態だったので、業務量が膨大で、勤務時間を調整したり、様々な施策を打ち出したりすることに違和感を覚える従業員もいたようです。しかし、従業員の声を聴きながらコツコツと施策を推進し、活動していくことで成果が出てくるようになりました。2018年に経済産業省の健康経営優良法人2018中小規模法人部門の代表に選出されるなどの実績を皮切りに、様々なところで当社事例を発表していくことで、社内でも協力者が増えていきました。さらに経営陣が目先の利益ではなく、従業員の健康の方が重要であると明言してくれたおかげで、社内の雰囲気も少しずつ変わり、今では楽しく健康の取組みを推進できるようになりました。

現在では従業員各人の健康に対する意識が変わってきていることを実感しています。会社が配布したスマートウォッチの歩数を見て、運動の必要性を自覚したと感想を述べている従業員がいます。また、社内でも健康の事が話題になる事が多く、体調のすぐれない従業員に対して、気遣いの言葉をかけ合うなどの雰囲気が見られます。これらは従業員の勤務時間や健康などを度外視した利益優先の考え方ではなく、事業継続を目指し、健康で働きやすい職場づくりを掲げたので得られたものだと感じています。

以前は長時間労働による体調不良を訴えて離職した従業員も多くいました。その結果、会社は人手不足に常に悩まされていましたが、従業員の健康を第一に考えた結果、現在離職率は大幅に下がり、人手不足に悩まされることもなくなりました。体調不良での入院や、出産を経験した従業員も治療後、育業後に復職を果たしています。

健康推進チームは現在10名体制となり、会社全体として健康に対する関心が高くなっています。会社全体として行われるイベントでも、フィットネストレーナーを呼んでストレッチの方法を学んだり、イベントでの副賞として健康に関連する食品やグッズなどの商品をプレゼントして必ず健康に関連する活動を取り入れるようにしています。近年では「健康経営優良法人ブライト500」に選出され、他のブライト500に選出された法人様とも意見交換、アイデア交換もしています。その中には自分たちは考えてもいなかった施策などもあり、視野が広がっています。

当社の目標は事業継続です。もし健康経営に舵を切らず以前の体制のままだったら従業員の健康が損なわれ、目標を達成する事は出来なかったと感じています。しかし、経営陣がしっかりと健康経営へと指針を定め、健康経営推進チームが施策を準備し、各従業員が協力することで、社内の健康経営は達成されています。当社は創立が1937年ですが、事業継続100周年を目標としています。従業員が健康を享受しているように、会社も健康な従業員達の働きにより100歳を迎えられるように、これからも健康経営を続けていきたいと思います。

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