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体験談2:Sさん

職場の理解とフォローしあえる体制のおかげで、闘病しながら仕事ができる

【プロフィール】
性別・年齢:女性・40代
勤務先の事業内容:人事・会計の業務システムの提供
従業員規模:90人
職務:会計・事務
家族構成:配偶者
居住地:東京都

1.治療内容

 30歳代半ばの時に会社の健康診断で指摘され、再検査のため病院に行きました。診察の結果、急性白血病と診断されました。すぐに入院するように言われ、2008年8月に入院、翌年の3月に骨髄移植を受けました。退院後病、病気は回復し、週2日勤務で復職しましたが、直後にまた再発してしまい、2011年2月に再入院となりました。幸い3か月後の5月に骨髄移植が受けられ、順調に回復、11月に退院することができました。現在は月1回通院し、薬をもらっています。
 最初の入院では、筋肉が落ちてしまうといけないと思い、手術後、回復に合わせて廊下を行き来し、出来るだけ歩くよう心掛け筋力維持を図りましたが、体重は10キロも痩せてしまいました。2回目の退院後には普通に体重が増えました。医師からは適度な運動を勧められたので出来るだけ散歩するよう心がけていたのですが、今度は股関節を骨折してしまいました。白内障になってしまったのも薬の副作用からです。白血病は2回の手術で回復しましたが、薬の副作用から生じたいろいろな病気とは、うまく付き合っていくしかないかなと思っています。

2.勤務先の支援体制、利用状況

 入院中は会社の休職制度を利用しました。休職するときも「気にしないでしっかり治して帰ってきて欲しい」と言われました。休職中は月1回ほど会社にメールし回復状況を報告していました。退院後、最初のうちは通院のため週2日の勤務にしてもらい、現在は10時半から16時半の時短勤務と在宅勤務を行っています。フレックスタイムの制度が整備されていたり、社員の自由を尊重する社風のおかげで、治療と仕事を両立できています。
 在宅勤務を行うことを選択したとき、会社からパソコンが支給されましたが、長時間座ってパソコンに向かい作業していると腰が痛くなり耐えらなくなりました。在宅勤務の際に自宅で使用するオフィス用の椅子が欲しいと上司に申し出たところ、快く椅子を整えてもらうことができました。

3.協力者との関係

 夫が献身的に協力してくれました。入院時は、平日1日と週末に病院に来てくれて、洗濯物を持ち帰り洗濯してきてくれました。治療後は食事制限がありましたが、病状が回復し白血球が増えてくるといろいろなものを食べてよいと許可が出るので、その時食べたいものを夫に頼んで買ってきてもらうこともありました。退院後も夫は協力的で、体力が戻るまでは家事を一手に引き受けてくれました。
 友人は近くには住んでいないため頼ることはできず、兄弟は弟なのであまり頼れません。これまでは夫に頼りきりでした。最近、猫を飼うようになり癒されています。

4.両立のコツ

 家事はしなくていい、できる限り手を抜いてもかまわないと夫に言われているので、家で無理はしていません。
 仕事は優先順位をつけて進めるようにしています。同じ部署の同僚に迷惑がかからないよう、仕事を振り分けて進め、どうしても支援が必要になった時だけお願いしています。これまでは部署の人数が少なかったので自分しかわからない仕事もありましたが、現在は人数も増え、自身で行っていた一部の仕事は担当してもらえるようになりました。自身の経験から突然仕事が出来なくなることも想定して、同じ部署内であればだれであっても対処できる仕組みを日頃からつくっておくようにしています。お互いにフォローしあえる体制があれば病気、育児、介護などどのような状態になっても、仕事との両立ができます。

5.治療中・復職後の悩み

 入院中は、社会から取り残されたような疎外感がありました。治療を受けるために入院しているので、ほぼ1日中ベッドに寝て過ごすことになります。時間を持て余してしまい社会との接点がなくなるため、会社に行きたいと切実に思いました。同室に入院していた人は資格取得のための勉強をしていました。
 病気になり2度の入院を繰り返す中で夫に「迷惑をかけるから、離婚してもいいよ」と言ったことがありますが、夫には「支え合うのはあたりまえだ」と怒られました。身近な人に迷惑をかけるのが嫌でした。
 また、免疫力と体力が減退して職場にも迷惑をかけるので、退職しようかと悩んだこともありましたが、会社の休職制度や柔軟な働き方が選択できるよう配慮してもらったおかげでこれまで仕事を続けることができました。
 体力がなくなってしまったので満員電車に乗っての通勤は本当に辛いですが、少しずつ体力と自信をつけて無理せず仕事を続けていこうと思います。2019年より会社として在宅勤務制度が本格導入されたので、体調とのバランスを見極めながら、活用してきたいです。

6.病気治療をする労働者へのアドバイス

 まずは無理をしないことです。仕事も日常生活も優先順位をつけて進めることが大事です。自身の仕事を同じ部署の同僚で共有できるように、標準化しておくことも重要だと思っています。働いていてよかったと思うのは、自分の収入から高額な病院代や薬代を支払えることです。友人の話では病気で休職後、復職できなかったり、自主退社を勧められたという話を聞くこともあります。私は職場の理解があり幸運だと思います。
 支援してくれた会社や職場の上司、同僚に感謝の気持ちをきちんと仕事で返すつもりで、毎日仕事に向き合って欲しいと思います。
 入院しているときにお医者さんから「できるだけ笑っているといい」と言われました。笑うとがん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞が増えるそうです。つくり笑いでも効果があるということですからお勧めです。

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