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事例13:ぴあ株式会社

円滑な社内コミュニケーションで育業問題解決

1.企業概要

創業:1972年7月10日(月刊『ぴあ』創刊)
所在地:東京都渋谷区東1-2-20 渋谷ファーストタワー
従業員数:300名(男女比 男性:62% 女性:38% 平均年齢 40.8歳)
育児休業取得率:男性33%、女性100%      
事業内容:音楽・スポーツ・演劇・映画・各種イベント等のチケット販売。コンサートやイベントの企画・制作・運営。

2.取組の背景

当社は企業理念である「ひとりひとりが生き生きと」に基づいて、産前・産後休暇や育児休業などの社内制度を整備してきました。妊娠、出産、育児というライフイベントを体験する従業員が家庭生活と仕事を生き生きと両立するためには、まずは制度整備が必要と考えたのです。加えて、社内では、従業員同士が円滑なコミュニケーションを取り合い、それぞれの状況を周知して、お互いが必要なサポートをして生き生きと働ける環境を作っています。現在では女性の育業取得に加え、男性の産後パパ育休取得者も出ており、分割取得の可能性も視野にいれて体制を整えています。

3.取組内容

現行法では産前休業は6週間ですが、当社では8週間の取得が可能です。また、育業取得可能期間も子供が2歳になる年の年度末までと法令以上の期間を制定しており、安心して保育園を探して入園を決めて、復職することができます。この制度によって今のところ、入園可能な保育園が全く見つからず入園できなかったために離職した従業員は出ていません。その他にも、福利厚生代行会社のサービスを活用したベビーシッターなどの育児関連サービスの割引制度や、現役保育士でもある社外取締役の協力による「子育て相談窓口」も設置するなど、育児と仕事の両立のための制度を整えています。現状では女性従業員が産休、育業を取得することは自然なこととして受け入れられており、男性従業員の育業も今では周知されて、令和4年度には33%、令和5年度には57%(11月時点)が取得しました。育児との両立のために必要な情報は社内ポータルに掲示して周知しています。制度ができたばかりの時には管理職向けの説明会なども行いましたが、現在は特別に行ってはいません。ただ、人事部では従業員の男女ともにお子さんの出生予定があるなどの情報をキャッチして個別に話をするようにしています。社内では、上司であっても、肩書きではなく「さん」で呼称するなど上下の風通しはよく、日常から同僚に趣味や家族、子育てのことを気軽に話せる雰囲気作りがされているので、従業員も安心して産休や育業の申請ができているのではないかと思います。また、上司も過去に自分が育児にどのように向き合ったか、大変だったけれど有意義だったことなどを気軽に話したりすることもあり、それを聞いた男性従業員が育業を取得したり、自分も育児を担うことは当たりまえとの考えが広がったりと、良い社内風土が出来つつあると考えています。

こういった育児関連の制度の整備にあたっては、改めて従業員に調査をしたり、大きな資金の投資を行ったわけではなく、従業員同士、日常的なコミュニケーションの中で、福利厚生についても「こうであればもっと生き生きと仕事ができる」という声が人事部に届くことも大きいと思います。

表1:ぴあ株式会社の育児制度

復職後の働き方や家庭環境を人事部がヒアリングする制度

【ヒアリングのタイミング例】 …ex)4月復帰の場合
・産休開始1ヶ月前 家庭環境や復帰希望時期の状況ヒアリング
・2~3月頃 保育園内定の状況ヒアリング
(保育園内定→復職決定の場合)
・希望する働き方(3コース)の確認
・保育園の慣らし保育期間に配慮した復職日の決定

産前産後休業・産後パパ育休 女性社員:産前8週間(多胎の場合は14週間)・産後8週間の産前産後休業
男性社員:出生後8週間以内に上限4週間、2回まで分割取得可能
育児休業 (男女とも) 子が満2歳の年度末(3月末)まで取得可能です。
育児支援 (男女とも) ベビーシッターなどの育児関連の割引サービスや子の突然の体調不良時に対応したサービスを受けることができます。
また保育士による「子育て相談窓口」を設置しています。
働き方コースの選択 (男女とも) ひとりひとりに合った働き方を選ぶことができ、安心して復職できる実績があります。
  • ・通常勤務
  • ・残業制限(子が小学校3年生まで)
  • ・時短勤務(子が小学校3年生まで)

働き方の制度

在宅勤務制度 ぴあでは在宅勤務と出社の両方を活用した働き方をしています。業務内容によって在宅勤務の日と出社の日を使い分けて効率的に仕事をしています。
時差勤務制度 所定時間からずらして出勤・退勤する時差勤務制度があります。

ジョブリターン制度

配偶者の転勤等の理由で退職する社員が、退職理由が解消し職場復帰する環境が整い、再度ぴあに就職を希望する場合に、人員状況を鑑みながら再雇用するための面接を実施する制度。
【申請】 退職時に、退職理由を人事部がヒアリング。
対象に該当する場合は「ジョブリターン」制度エントリー書類を提出。
※ジョブリターンの有効期限は退職日より5年以内
【雇用形態】 働き方の希望に応じて、正社員、契約社員を案内し、面接の上雇用決定
【対象】 正社員 (男女とも)

4.今後の課題

育業の分割取得については、取得者はまだいません。現状、当社の従業員に夫婦、パートナー交代で育業をしなければならない、あるいはそれを希望する声が出ていない状況です。分割取得によって従業員が抱える問題が解決するようなケースがあれば、提案を試みたいところです。

重要なのは役職にとらわれない円滑なコミュニケーションだと感じています。堅苦しい面談でなく、何気ない会話やタイムリーな情報交換に大きな価値があると感じています。もし社内でお互いの状況や望んでいることを知ることができれば、新たな施策を制定するときにも多くの投資や労力をかけずに、満足度の高い制度を提供することができるのではないでしょうか。

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