ページの先頭

ページ内移動用のリンク

ヘッダーメニューへ移動

グローバルナビゲーションへ移動

本文へ移動

フッターメニューへ移動

事例16:株式会社フーディソン

従業員が生き生きとオフィスで働くために「子連れ出勤制度」を採用する。

1.企業概要

設立年 :2013年
所在地 :東京都中央区勝どき3-3-7 ケンメディアビル5階
従業員数 :267名(男女比51:49平均年齢39歳)※グループ会社を含む
事業内容 :飲食店向けの食品Eコマースサービス『魚ポチ』の運営、個人向け鮮魚セレクトショップ『sakana bacca』の運営、食品事業者向け人材紹介サービス『フード人材バンク』の運営

2.取組の背景

当社は数年前からDEIを積極的に推進しており、その一環として子育て世代が生き生きと働ける環境づくりを目指してきました。リモートワークを推進しており、従業員は在宅でも仕事をすることが可能です。また、小学校就学の始期まで利用可能な育児時短勤務制度や、ベビーシッター補助制度としてベビーシッター代の一部補助も行っています。そんな中、当社にはオフィスに出社しないとできない業務もあり、子どもが在宅している従業員にとっては悩みの種となっていました。特に学校の夏休み期間中や、運動会などの振替休日など、子どもの休みが仕事をしている親の休日とは異なる場合は、親である従業員は仕事の予定を調整するか、子どもの預け先を探さなければならない状況でした。そこで当社では、一定の前提条件を満たした従業員が利用できる子連れ出勤制度を採用しました。

3.取組内容

勝どきのオフィスに出社している全従業員が当社の子連れ出勤制度の利用対象者となります。子連れ出勤の予定日よりも3日前に利用予定者は利用するための前提条件を確認します。そして、条件を満たしていることを自身で確認した後に上長に連絡し、承認を得ます。上長は前提条件に利用者が該当しているかを確認し、子どもを連れてきてもらってまでオフィスで業務をすることが合理的である場合に、子連れ出勤を承認します。前提条件には「長期休暇や休校などの事由により休まざるを得ずかつ預け先がないこと」、「リモートワークではできない業務があること」などの事情に関する条件もありますが、「滞在中はお子さんが何をやるか考えてくること」などの、子連れ出勤時に子どもの監督に関する条件も含まれています。上長の承認後、利用者は、チャットツールを使用してオフィスに出社している従業員に対し、子連れ出勤日や子どもの名前などを事前に周知します。そうすることで従業員の受入体制を事前に整えることができます。

当日は、子どもを滞在させる専用スペースを設けずにオフィスの中で子どもたちに過ごしてもらっています。そうする事で専用スペースのための人材を追加で確保する事などが必要無く、子どもも親の監督下で過ごすことができます。

2023年7月に子連れ出勤制度を開始しましたが、その前にテスト運用を行いました。小学校就学児童2名を持つ従業員が導入予定の前提条件などを加味して子どもをオフィスに連れて出勤しました。当初は親である従業員もその子どもたちも緊張していました。しかし、出社前に親が子どもたちとその日に行うことを話し合い、徹底させたおかげで、子どもたちは問題なくオフィスで過ごすことができました。そのような経緯があり、制度を始めることへの不安は軽減されました。

4.これまでの効果と、今後の課題

これまでに子連れ出勤制度を4名の親の立場の従業員が利用し、6名の子どもがオフィスに来ました。利用者からは「これまでは子どもを預ける人がいなかったため、仕事の優先順位を替えなくてはならない不安感があったがそれがなくなった」などの感想を得ています。当社には商品の棚卸など、決められた日付にオフィスに来て行わなければならない業務があります。しかし、これまではその日に子どもの学校が休みになったなどの理由で、決められた日に出社できない従業員もいました。その場合は棚卸の日を調整したりするのですが、当該従業員は他者に負担をかけてしまっているかもしれないなどの申し訳ない気持ちを抱いていました。しかし、制度を利用してからは、その決められた日が子供の休みの日と重なっていても自分の業務を果たすことができるようになり、精神的な負担が軽くなったと語っています。

また、もし制度が無く、子供を家に残しながら親である従業員がオフィスに出社する場合には、出社前に子どものお昼ごはんの準備や、その日にやることを言って聞かせるなど、普段の朝より多忙感を味わっていました。しかし制度を導入した後は子供をオフィスに連れていけるようになり、出社前の準備の負担が軽減されたり、就業時間後に帰路で子どもの行きたい場所に一緒に寄り道ができたりするなど、時間の使い方を変えることができて良かったと語る従業員もいました。

一方で、子どもたちの集中力には限界があるという点も見過ごすわけにはいきません。子連れ出勤の際にも時間が経つにつれオフィスのフリースペース以外に出てしまったり、他の従業員に話しかけたり、ということがたびたび見られます。しかし、当社はもともと家庭的な雰囲気づくりを重視しており、他の従業員もそのようなことに神経質になることなく業務を行うことができています。もちろん親である従業員は自分の子どもをしっかり監督していますので、大きな声で騒ぐ、会社の備品を破損させる、などということは起こっていません。

しかし、子連れ出勤制度をより良いものとするために改善する事はまだまだあると感じています。これまでに子連れ出勤でオフィスに来た子どもたちは小学生以上の児童です。これは社内の子連れ出勤に伴う前提条件でも規定されています。しかし、従業員の中には小学生未満の児童を持つ親も多数おり、将来的に制度対象児童の年齢を検討しなければならないかもしれません。子連れ出勤の交通手段に関しては、通勤ラッシュ時に子どもを同伴するのは難しいと感じるといった意見も出ています。また、職場に連れてきた子供を良かれと思い、自分のデスクの横に座らせ課題を行わせていた従業員からは、自分の子どもが話しかけてくる事が多く、集中できなかったなどの具体的な意見も聞かれています。さらに、子連れ出勤の際には親である従業員にその日に子どもに行わせる課題などを準備して出勤するように促しているのですが、子どもたちの課題を準備するのは親である従業員にとっても負担の様です。特に複数人の子どもを連れて出勤しようとする従業員は年齢の違うそれぞれの子どもの課題を準備しなければならず、かなりの労力を必要としています。

このように当社の子連れ出勤制度には今後も改善の余地がありますが、子どもを持つ親にとっても、その子ども自身にとっても良い制度だと感じています。親である従業員は子どもを目の届く範囲におきながら自分の仕事を決められた期日に行うことができます。また子供にとっても親がどのような仕事をしているのか観察する事が出来ます。当社は昼食用のフリースペースがあり、ランチタイムに子どもがいると和やかな雰囲気を味わうことができると述べた従業員もいます。これからも育児を行っている従業員が仕事との両立を行うために、子連れ出勤制度のみならず、社内でできることを積極的に行ってまいりたいと思っております。

ここからフッターメニューです