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事例4:株式会社赤ちゃんとママ社

両立支援の制度づくりは本業で培ったもの

平成30年度取材

1.企業概要

創立:1965年
所在地:東京都新宿区四谷本塩町14-1 第2田中ビル2F
従業員数:26名(女性14名・男性12名)
事業内容:育児雑誌の刊行、書籍の企画・刊行、保健指導用パンフレットの企画・制作、育児相談事業、マーケティング・リサーチ事業、イベント・シンポジウム・セミナー等の企画・運営、子育てと仕事の両立支援(情報誌 セミナー):育休中・復職後 女性活躍推進

2.取組の背景

 日本で一番歴史のある出産・育児の専門雑誌『月刊赤ちゃんとママ』そしてその姉妹誌『季刊1・2・3歳』の出版社で、創立以来、子どもが幸せになることを第一に考える社会、より多くの人が人生の充実感、幸福感を味わえる社会を目指して情報発信をしています。
 社長は、お客さまにとって価値ある商品やサービスを創造していくためにも、原動力である社員やその家族の健康・幸せを真に願って行動することを大切にすること、職場においては、“互いの立場を思いやる”、“尊重する”という意識を高めていくことが最も大事で、社員のそれぞれ異なる個性(多様性)をプラスに転じていくことが重要だと考えています。
 もともと男女差別がない職場で、職種も待遇も男女平等でした。女性社員は半数以上で、女性の取締役もいますし、過去には女性が社長に就任したこともありました。
 育児に関するシンポジウムの開催や幼稚園・保育園支援事業の実施、企業に役立つ次世代育成サポートのウェブを立ち上げて、常に子どもを中心とした取組を社会に向けて行動、発信してきました。このような価値を創造していくためには、社内の育児と仕事の両立支援の整備は当然のこととして取り組んできました。取り立てて特別なことをしている意識はありませんでしたが、くるみん取得、新宿区ワーク・ライフ・バランス認定企業・推進優良企業、経産省ダイバーシティ100選促進企業表彰、東京都ライフ・ワーク・バランス認定企業等々に認定、表彰されることで、ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ推進に優れた企業であると社会的に高い評価を受けてきました。

3.取組内容

① 実態把握
  社員の主体的活動や垣根を超えた交流、コミュニケーションを良好にする面談を通して、社員一人ひとりの働き方や子育てと仕事を両立している社員の状況や要望を把握しています。

●多様な働き方の理解と仕事を尊重しあう風土づくり
  当社で働くことが幸せにつながるように、定期的に社員の声をひろい、各世代に寄り添った制度や就業規則を設けています。パパ・ママ育児休暇や時短勤務、介護休暇やパートナー社員制度などを導入し、多様な働き方の理解と互いの仕事を尊重しあう風土づくりを推進しています。
・社員の主体性…ワークライフバランスプロジェクト、社友会
・垣根を超えた交流…社員旅行、社内ランチ交流会

●面談でコミュニケーションをはかる
 社員の状況や要望を把握するために、社員とのコミュニケーションを良好にする面談を重視しています。社員の要望も把握できますし、育休から復帰後の働き方の支援も行えます。産休に入る時に本人の予定や希望を聞き、復職後の働き方を考えます。これには、直属の上司や総務担当者が参加します。子育て中に限らず、働く人との意思疎通には面談が役に立つと考えています。
テレワークの要望もありますが、テレワークに向く職種と向かない職種があるため、見極めが大事です。

 

② 制度の設計・見直し
 働く人の多様性を生かすダイバーシティマネジメントの実現に向け、社内の支援制度は次世代支援育成法、育児・介護休業法に則して整備してきました。働きながら子育てしやすい環境は、子育て支援と働き方改革により整備されていくと考えています。社員の声を出来るだけ支援制度に反映し見直しも行っています。

チャート図1

●次世代育成支援対策推進法に基づく従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」の策定
 計画期間は平成27年2月9日から平成31年1月31日までの4年間、目標を2つ掲げています。
 第一に、子を養育する場合の短時間勤務について、子の対象年齢の拡充を図ること、第二に産前産後休暇、育児休業、育児休業給付、育児中の社会保険の取り扱いなど社内制度の周知や情報の提供を行うことです。

③ 事前の情報提供
 育児の専門雑誌を扱っているので、育児関連の情報は蓄積がありますし、新しい情報もすぐに入手できます。社内の支援制度や現在検討されている内容は会議の議事録をイントラネットにアップしているので誰でもいつでも見ることができます。これは、育児休業中でも確認できるので休業者が会社から取り残されている感じが薄れるという効果もあると思います。

④ 育児に直面した従業員への利用支援
 子育てと仕事を両立している社員の要望を反映した制度設計や見直しをこれまで進めてきました。イントラネットで関連情報を得ることができるため、会社として特別に利用を促すことはほとんどありません。子育てしながら仕事を続ける先輩や同僚が近くにいるので、両立はあたりまえのことで、些細なことでも相談できる職場環境です。

●女性の多様な働き方を支援する制度
 育児・介護休業法の改正が行われた2009年頃から女性の多様な働き方を支援する制度の整備に着手しました。育休パパ・ママプラスの創設、所定外労働の免除、看護休暇の付与日数の変更等が行われた時です。そのころ当社では、産休・育休制度の運用はもちろん、出産時には20万円の祝い金を支給、職場復帰後の勤務時間短縮も実現しました。しかも勤務時間短縮は子どもが小学校卒業まで利用できます。勤務時間短縮の社員は現在3名、現在育児休業中の社員は1名います。
 子どもが病気になった時には、午前、午後いずれかで半休を取れる看護休暇があります。1年で5日、有給で取得できます。子どもが小さいと突然熱を出したり、具合が悪くなって急に保育園から呼び出しがかかることが頻繁にありますから、この制度の利用者は多いです。

●パパ休暇制度(男性社員対象の制度)
 妻が出産する時に、出産予定日の前後1ヶ月以内に5日の有給が取得できる「パパ休暇制度」を立ち上げました。最近、パパ休暇制度に加えて、5日間ですが育児休業を取得した男性社員がいます

●法定の制度に少しプラスした制度
 当社が特別なことをやっているとは思いません。法律で決まっている制度内容を少しだけ上回る社内制度を整備しているだけです。地道に社員の声を聴きながらそれに応えられるように制度にちょっとだけプラスした内容を運用していくことが良いと思っています。

●人員の補充
 産休に入った人を補充するのは、その時々で異なりますが、最近の例では新卒の女性を採用しました。新卒女性も将来は育児と仕事の両立をしてくれると思います。先輩のロールモデルが多い職場なので、心強いのではないかと思います。

⑤ 働き方改革
 当社の人事労務および経理全般等を担当する総務部がリーダーシップをとり進めています。当社の理念である「ひとりひとりをもっと幸せに」の実現のため、社員おのおのが達成感をもち、力を発揮できる働きやすい環境づくりを目指しています。

●働きやすい労働時間
 編集や出版の仕事は、時間が不規則で残業が多いというイメージがありますが、当社は健康保険組合や共済組合など職域団体と提携して、その被保険者やその家族が出産した際に配布される定期刊行物(月刊「赤ちゃんとママ」)を主に出版しているため、書店で販売する雑誌の製作とは異なります。年間スケジュールも決まっておりほぼ就業時間内で働くことができます。編集業務でも残業はほとんどありません。育児中の人も働きやすい労働環境です。

4.これまでの効果と今後の課題

 季刊誌『1・2・3歳』、胎児の様子やママの体の変化を毎日配信する「赤ママきずなメール」、離乳食やおやつの実用書や絵本なども刊行しています。その他、企業人事や労働組合が取り組んでいるダイバーシティ推進のためのハンドブックを制作しています。「子育て」をキーワードにした事業を拡大していますので、社員の育児経験は直接仕事に反映できます。
 ダイバーシティ・両立支援マネジメントを行うことによって、働きやすい会社の実現、企業文化の再構築、従業員とその家族の健康増進の実現が期待できます。働きながら子育てしやすい環境を、子育て支援と働き方改革によって進めています。
人手不足の時代と言われていますが、子育てに理解がある会社というイメージが応募者にとっても好印象となり、採用活動においてプラスとなっています。

チャート図2

 テレワークの導入については、物理的な環境の整備や、設備の問題をどう解決していくかが課題です。それと労働時間の管理は、人事考課を時間管理ではなく成果管理にしないとテレワークの導入は適切に運用できないと思っています。また時差通勤も社員から要望がありましたので両方とも導入できるかどうか試験的運用を実施する予定です。今後も働きやすい環境づくりに向けて取り組んでいきます。

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