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体験談13:T.Tさん
育児期間中でも目標を明確化してスキルアップを成功させる
【プロフィール】
性別・年齢:女性・30代
勤務先の事業内容:データ活用領域、ITシステム運用管理領域のパッケージソフトウェア開発・販売・サポートおよびソリューション、コンサルティングサービスを提供しています。
従業員規模:単体約300名 連結約670名
職務:マーケティング部ブランディンググループ
家族構成:配偶者・子ども2人(年長・年少)
居住地:東京都練馬区
1.経験した育児期間中のスキルアップとその恩恵
現在、私は正社員としてフルタイムで働いており、子どもたちは保育園に通っています。私が勤務する会社ではハイブリッドワークが常態化されており、在宅勤務も行える環境です。そのため、育児と仕事の両立が可能となり大変助かっています。さらに、配偶者(夫)も同じくハイブリッドワークを実践しており、家事や育児をお互いに協力しながら日々の生活を送っています。特に小さな子どもを育てている今、この柔軟な働き方の恩恵を実感しています。
以前は夕方以降も業務がある職場で働いており、仕事と育児の両立に大きな課題を抱えていました。さらに、その後の職場でも出社が前提の就業環境だったため、働き方の柔軟性が確保しづらく、育児との両立に苦労していました。しかし、育業期間中にスキルアップに励んだことで、希望の職場環境が整った企業へ転職することができ、フルフレックス制度やリモートワークが可能になりました。この環境により、家族との時間を大切にしながら、効率的に業務を進めることができるようになりました。
2.育業中にスキルアップを、と考えた背景と実際に行ったスキルアップ
私はこれまで2度の出産を経て育業を経験しました。その中で気づいたのは、育業中の時間が「子育てに集中できる特別な期間」であると同時に、「自分自身と向き合える貴重な時間」であるという事です。これまで、ずっと忙しさを感じながら仕事をしてきましたが、結婚や出産という機会を迎えたときには、この限られた期間を、自分自身も成長できる時間にしたいと思いました。育児は想像以上に大変でしたが、「育業中はブランクの期間ではない!」「以前よりもっと自信を持てる自分になる」という想いが、スキルアップへの原動力になりました。
1人目の子どもの育業期間中には自主的に始めたママブログの作成を通してマーケティングスキルの習得を目指しました。既存のブログサービスを利用するのではなく、自分でサーバーを契約し、サイト制作専用のサービスを使ってママブログを開設し、ブログ開設のための手順や必要な情報も自分で収集しました。育児をしていると、赤ちゃんと一緒の外出がこんなにもハードルが高く、制限が多いものだという事を実感しました。ベビーカーでは通れない場所や、オムツ替えスペースがない施設、授乳室の有無など確認しながら行動しないといけないという経験を踏まえ、普段のお出かけなどもそのような情報を発信するためのコンテンツ調査を考えました。
そうする事で、「きっと他のママたちも同じ悩みを抱えているに違いない」という感覚が身につきSNSでの情報発信を始めました。ブログやSNSで培ったマーケティングスキルは、現在の業務でも活かされています。
転職後、2人目の子どもを出産した育業期間は運転免許取得と動画編集スキルの習得を目指しました。運転免許の取得は私が社会人になった後にずっと先送りしていた目標だったので、やっと挑戦する事ができました。自動車学校を決めたものの、「上の子どもの保育園のお迎えに間に合うか?」や「下の子どもの預け先はどうするか?」という心配が次々と湧いてきました。しかし、地域のファミリーサポート事業や一時預かり事業をフル活用し、スケジュールを綿密に組み立てることで、乗り越えることができました。
2歳年の離れた2人の子どもの育児は非常に忙しくありました。運転免許試験の勉強は朝早く起きて動画配信サイトの試験対策チャンネルなどを利用して取り組みました。結果、仮免試験・本免試験ともに一発合格することができ、達成感で胸がいっぱいになりました。
運転免許取得後は、こちらも以前から習得したかった動画編集スキルにも挑戦しました。空いた時間を利用して情報収集をして、動画配信サイトで学び、時にはオンラインコミュニティに参加して勉強を続けました。身に着けたスキルは、後に仕事としてのチャンスにもつながり、育業中の努力がしっかりと形となったと感じています。
3.ご家族やその他の方からどのように支えられましたか。
両親は遠方に住んでおり、育業中も今も頼れるのは家族内ではパートナーだけでした。彼は私が育業中に挑戦したいことを全面的に応援してくれました。運転免許の取得に励んでいるときに、子どもが体調を崩してしまい地域のファミリーサポート事業や一時預かり事業を利用できない事がありましたが、子どもの面倒を喜んでみてくれました。
地域のファミリーサポートの方、一時預かり事業の方々の支援にも感謝しています。皆さんが温かく見守ってくださり、私の挑戦を支えていただいたおかげで、安心して目標に向かうことができたと感じています。
4.育業中のスキルアップに関する悩みはありましたか。
私自身は育児に大きな悩みを抱えることは少なかったですが、自分の目標を明確にし、置かれた状況の中でできることを見極め、状況に応じて一歩ずつ解決に向かって進めました。もちろん、体調が優れない日や、子育ての負担を強く感じる時期もありました。そんなときには訪問マッサージなどのサービスを利用し、自分自身をリフレッシュさせることで心身のバランスを保つよう努めました。このような小さなリフレッシュの積み重ねが、長期的には大きな助けとなったと感じています。
また、近くに両親が住んでいれば子どもを気軽に預けられ、育児の負担を軽減できたのではないかと考えることもありました。しかし、それが難しい状況である以上、無理な期待を抱くよりも、自分の目標やスキルアップをいかに進めていくかに意識を集中させました。悩んだときは、立ち止まらずに解決策を考え、実行に移すことを心掛けていました。
5.育業とスキルアップを両立させるコツなどはありますか。
育業中のスキルアップに関する体験談から得た大切なポイントを二つ挙げたいと思います。
1つ目は、育業中でも成長し続ける意識を持つことが大切です。育業中だからこそ「この期間をどう過ごしたいか」を考えることが重要だと感じました。私自身、「育業中はブランク期間ではない」と自分に言い聞かせながら、限られた時間で少しずつ前に進むことを意識していました。育児に追われる日々でも、自分の時間を見つけては、その時間で「今できること」に取り組む。この積み重ねが、育業とスキルアップを両立させるコツだと感じています。
2つ目は、プロに頼る勇気を持つことです。育児は一人で抱え込まず、保育のプロや地域のサポート、会社の育児支援制度を上手に活用することです。私も、1人目の育業中はなかなか他の人や外部サービスに子どもを預けることができませんでした。しかし、2人目の育業で、プロに頼る勇気を持ったことで、プロから育児の知恵や経験を学ぶことができました。プロに任せることで安心感が生まれ、その分、自分の時間に集中することができました。
さらに、早い段階で子どもを短時間でも預けることで「お母さんは必ず迎えに来る」という体験が、親子の信頼関係を構築し、保育園へ入園の際もすぐに慣れることができたのではないかと感じます。たくさんの人からお世話をしてもらい、可愛がってもらった私の子どもは他者への信頼感を育むことができたと思います。また、幼い時から視野を広げ新しい体験を積み、大きく成長することができたのではないかと感じています。
地域や民間には多くの育児サポートのためのサービスがありますので、日々情報を収集しておくことも重要だと感じます。悩みを自分一人で抱え込まず、プロのサポートを活用することで、育業期間をより実りあるものにできるのではないでしょうか。
6.育業中のスキルアップに興味を持つ方へのアドバイス
私自身も育児とスキルアップの両立は決して簡単なことではない事を実感する一方で、育業期間中を「ブランク」とは考えず、スキルアップに力を入れました。そこには努力が求められましたが、新しい未来を切り開く原動力となったと実感しています。育業中にスキルアップを図ったことで自分に自信を持つことができ、スキルアップして、復帰後に元の職場でさらに活躍することもできます。現在は子どもがいても柔軟で働きやすい環境が整った職場で、やりがいを感じながら仕事に取り組んでいます。現在の職場では、従業員が利用できる以下のような制度が整備されており、私もそれらを利用する事で、育児と仕事の両立が可能となっていると感じます。
- フルフレックス制度:総労働時間を満たせば設定された就業時間の中で働く時間を自由に決められるため、フレキシブルな働き方が可能。
- ハイブリッドワーク:出社とリモートを組み合わせた働き方により、業務内容や生活スタイルに応じて柔軟に環境を選択できる。
- 資格奨励金制度:従業員の自己研鑽を支援するため、資格取得に関する支援が充実。資格取得一時金や受験料の支給などが含まれる。
- 有休休暇奨励日:年間を通じて計画的な有給休暇の取得を促進するために奨励日を設定。部署内でも早めに調整が可能で、従業員のリフレッシュと業務の両立を支援。
このような育児と仕事の両立が可能な職場に出会えたのは、育業中の経験と挑戦があったからこそだと思います。育業中のスキルアップによって、柔軟な働き方ができる職場を選べるようになることは、長期的なキャリア形成においても大きな助けになると感じます。振り返ってみて強く感じるのは、自分の可能性を信じることの大切さです。自分自身を信じて行動する。それが、育業中のスキルアップを成功させ、人生の新たな扉を開く鍵になるのだと思います。