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体験談14:Y.Kさん
子連れ出勤制度を活用して、子どものそばで働く事を実現する
【プロフィール】
性別・年齢:女性・30代
勤務先の事業内容:託児付ワーキングスペースの運営・展開、BPO事業、FC事業、保育、託児施設の運営、マーケティングサービス
従業員規模:約1,200名
職務:一般職
家族構成:配偶者・子ども1人
居住地:神奈川県
1.経験された育児と、子連れ出勤をしたいと希望した背景
私はもともと幼稚園教諭として働いていましたが、結婚を機に退職しました。まだ子どもがいない時期から、キッズスペース専任の見守りスタッフとして入社し、その後リーダー職、マネージャー職とキャリアを積んできました。職場で子どものそばで働くことに魅力を感じる一方で、いつか自分自身の子どもが生まれたら「子連れ勤務」を実際に経験し、母親の立場からその実情を知りたいと考えていました。そして2020年に息子が誕生し、1年4か月の育業期間を経て、現職で職場復帰。子連れ勤務をしながら、育児と仕事の両立をしてきました。息子は現在4歳になり、昨年4月から幼稚園に通っています。
私が子連れ勤務を選択したのは、育児をしながらも自身のキャリアアップについても考えていたからです。もちろん、仕事の幅を広げるために保育園を利用するという選択肢もありました。しかし、第二子を流産し、第一子のそばで成長を見守っていたい、との願いも強く持つようになりました。そのことによって、これまでもメリットと考えていた「子どもと一緒にいられる働き方」への意識がさらに高まり、より大きな魅力として捉えるようになり、積極的に子連れ勤務を選択したいという気持ちが強くなりました。また、現在の職場は「育児により仕事の時間が限られたとしても、従業員の挑戦を後押しする」という企業風土が根付いています。その環境に支えられ、息子が幼稚園に入園するまでの約2年半、子連れ勤務を続けることを決意しました。仕事と育児を両立しながら、子どもの成長を間近で見守れることに喜びを感じながら、日々働いています。
2.利用した子連れ出勤制度の詳細
私は週に2日は在宅ワーク、週3日はオフィスへの出社という働き方を選択しています。子連れ出勤制度は、出社時の業務時間に利用できる仕組みとなっており、柔軟な働き方を支える大きなサポートになっています。
制度を利用する際には、まず上司に子連れ出勤を希望する旨を相談し、承認を得る必要があります。また、1歳を過ぎ、歩行が安定したのち、無料で社内託児所を利用することが可能になります。職場にはキッズスペースが併設されており、ガラス越しに子どもの様子を確認しながら業務に取り組むことができます。さらに、ベビーカー通勤をする従業員のためにベビーカー置き場もあり、育児をしながら通勤する際の負担も軽減されています。キッズスペースには、専任のキッズサポートスタッフが常駐しており、子どもたちは季節の製作や体を使った遊び、年齢に合わせた玩具遊びなどを楽しむことができます。親が仕事をしている間も、子どもが安全かつ楽しく過ごせる環境が整っているため、安心して業務に集中できます。ただし、食事やおむつ替えなどの基本的なお世話は親が担当する決まりとなっており、仕事の合間に子どもと触れ合う時間を持てることも、この制度の特徴の一つです。今、振り返ってみても、3歳までの時期として、隣に母がいる安心感を抱きながら、少人数のなかで大人やお友達と深い関わりができ、丁寧な対応をしてもらえたことは、我が子にとってもとても良かったと思っています。
現在、私の子どもは幼稚園に通っているため、定期的に子連れ出勤をする必要はなくなりました。しかし、夏休みや幼稚園の行事による振替休日など、通常の保育が利用できないタイミングでは、引き続きこの制度を活用しています。そのおかげで、育児と仕事のバランスを柔軟に調整できるため、非常に助かっています。
3.どのように周りの方(家族・同僚・上司など)からのサポートがありますか。
私の職場には、同じくらいの年齢の子どもを持つ同僚のママたちが子連れ出勤をしており、子育ての楽しさや苦労を分かち合いながら働くことができます。日々の育児の悩みを相談したり、ちょっとした成長の変化を喜び合ったりすることで、精神的な支えにもなっています。また、子育てに役立つ情報を互いに共有し合える点も、非常に心強いと感じています。さらに、職場には未就園児から社会人まで、幅広い年齢層の子どもを持つ先輩ママも多く在籍しています。そのため、子育てへの理解が深く、働きやすい環境が整っています。子どもが小さいうちは予期せぬ体調不良で急に仕事を休まざるを得ないこともありますが、周囲の理解があることで、必要以上に気を遣うことなく対応できるので本当に助かっています。
職場では当然ながら仕事が最優先されますが、休憩時間やちょっとした合間に、子どもが通いやすい小児科の情報や、幼稚園・小学校の行事についての情報交換をすることができています。育児と仕事を両立するうえでのリアルなアドバイスを受けられる環境があることは、私にとって大きな安心材料です。
4.子連れ出勤をする面で、なにか悩みはありましたか。
保育園や幼稚園に通うお子さんを持つ親なら、多くの方が同じような経験をされているかもしれませんが、私の場合、特に「子どもを連れての通勤」が大変でした。通勤ルートは、最寄り駅まで徒歩10分、その後に電車通勤というものです。しかし、大人の足で10分の道のりも、子どもの足では30分かかることもあります。特に、子どもの体力がつく前はベビーカー通勤をしていましたが、一人での通勤とは勝手がまったく違いました。駅構内ではエレベーターを探す必要があり、混雑した車内では周囲に気を配りながら移動しなければなりません。他の方の迷惑にならないように気を遣いながら出勤する事がこんなにも大変だとは思いませんでした。
さらに、子どもが「イヤイヤ期」を迎えた時期には、駅までどうやってスムーズに連れて行くか、試行錯誤の連続でした。歩くのを嫌がったり、途中で立ち止まったりすることも多く、時間通りに動くことが難しくなりました。そのため、私は子どもとの道中を少しでも楽しくするために、いくつかの工夫を取り入れることにしました。
例えば、自作のスタンプラリーを用意し、特定のポイントまで歩くとシールを貼れるようにしました。また、歩きながら簡単なクイズやゲームを取り入れ、子どもに声をかけることで、自然と歩くモチベーションを上げるようにしました。子どもが楽しめる工夫をすることで、少しずつスムーズに移動できるようになりました。
5.育児と仕事を両立させるコツなどはありますか。
親子ともに健康を保つための体調管理の徹底は、仕事と育児の両立において非常に重要です。しかし、それと同じくらい、子どもの体調が優れないときには無理をせず、上司や同僚に相談できる環境があることも大切だと感じています。私の職場では、上司が子育てに理解を示してくれており、子どもの体調不良による早退が認められています。また、すぐ隣にキッズスペースが併設されているため、見守りスタッフと連携をとることができるのも大きなポイントでした。たとえば、発熱はしていないものの、いつもと様子が違うと感じるときなど、休憩時などに見守りスタッフが知らせてくれます。その時点で上司にも共有し、業務量を調整することができたため、無理をすることなく仕事と育児を両立できました。
もし、職場の理解がなければ、このような相談は難しく、ストレスの要因になってしまうかもしれません。しかし、私の職場には同じ境遇にある、または過去に同じ経験をした同僚が多く、互いに理解し合える環境が整っています。そのおかげで、安心して働くことができています。実際に、こうした社内の取り組みを知って私の職場に転職を決めた方も多いようです。他の同僚の話を聞くことで、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と気持ちが楽になったことも大きかったです。仕事と育児の両立は大変なこともありますが、環境や周囲の理解があれば、乗り越えられるのだと実感しました。
現在の私は子連れ勤務を卒業していますが、振り返ってみると、子どもが「ママの会社ってこんなところ」と理解してくれていることで、子ども自身が母親の仕事に対する自分なりの考えを持つようになり、在宅勤務であっても母親の私が仕事をしているときには理解を示すようにもなりました。これらの事は、母親として私が仕事と育児の両立のコツをつかむ一助になったと感じています。
6.育児と仕事の両立について何かアドバイス
仕事と育児を両立するためには、自分なりの生活リズムを確立することが欠かせないと感じています。それで、1週間という単位で予定を立てるようにしています。1週間のスケジュールによって無理なく、調整もしやすい日程を組むことができます。職場のママたちと話していると、家事の進め方にもさまざまなタイプがあることが分かりました。たとえば 「土日にまとめて家事を片づける派」、 「平日に全振りし、休日はしっかり休む派」、 「家事は外注する派」、 「自分ですべてやらないと気が済まない派」などです。どの方法が正解というわけではなく、自分の家庭に合ったスタイルを見つけることが大切なのだと感じました。もし可能であれば、育業中から少しずつ心構えをし、実際に練習をしておくと、仕事復帰後の負担が軽減されると感じました。
また、前述のとおり、さまざまな家庭のやり方を知ることも、心の余裕を持つうえで大きな助けになるのではないでしょうか。そのためにも他のママの経験談を聞き、自分の悩みを話すようにしています。そうすることで、「こんなやり方もあるのか!」と新たな発見があったり、「みんな同じように悩んでいるんだな」と気持ちが軽くなったりすることがありました。
私は、育児と仕事の両立は大変なことも多いと感じますが、子どもと過ごす時間を楽しむことも忘れたくないと感じています。子どもの成長はあっという間です。大変だと感じることがあっても、少しの余裕をもって、一呼吸おきながら 「かわいいなぁ」と感じる瞬間を大切にし、子どもの成長を喜ぶようにしたいと考えています。実際に私も、子連れ出勤をしているときに職場の先輩ママが私の息子の事を「○○くん、かわいいね」「こんなこともできるようになったんだね!」と日常的に言葉をかけくれる姿を見て、ハッとすることが多くありました。育児に対し、いっぱいいっぱいになっていた私にとって、その言葉のおかげで、一呼吸おいて、子どもと向き合うことの大切さを学ぶこともありました。
最後に、上司や同僚との「こまめな相談・報告」が安心感につながるという点も、忘れたくありません。特に子連れ勤務や育児と仕事の両立をスムーズに進めるためには、上司や同僚とのこまめなコミュニケーションが欠かせません。ささいなことでも日頃から相談・報告する、自分だけで抱え込まず、周囲のサポートを活用したいと思います。このような積み重ねが、職場の理解を得るうえでも重要なのではないでしょうか。
これらの事を心にとめ、無理なく続けられる自分なりのペースを大切にしながら、仕事と育児を楽しんでいきたいと思っています。