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体験談9:Tさん

今しかできない子育てを楽しむために両立を図っています

【プロフィール】
性別・年齢:男性・40代
勤務先の事業内容:通信事業
従業員規模:8000名
職務:システムエンジニア
家族構成:妻、息子(9歳・6歳)、娘(3歳)
居住地:埼玉県

1.自身が行っている育児

 現在、9歳、6歳、3歳と3人の子どもがいます。妻が出産するタイミングで計3回育休を取得しました。一番上の子のときは2週間の育児休業、2人目、3人目のときは6週間ずつ育児休業を取り、産前産後のサポートをしていました。
 また、2016年からテレワークを行うようになり、現在も平日の夜や土曜・日曜はなるべく妻と分担し、子育てにかかわるようにしています。仕事が IT 関連ということもあり、自宅にいながら業務上の調整を行える環境が整っていて助かっています。
 妻は個人事業主として活動しています。 家事や育児は基本的に分担していますが、私が月曜から金曜までフルタイムで働いていることもあり、平日は妻の負担が大きいかと思います。休日の分担は半々くらいですが、妻が仕事の日は私が家事育児を担当しています。

2.勤務先の支援体制、制度等の利用状況

 新卒の頃から今の会社に在籍し、普段はシステムエンジニアとしてさまざまなサービス開発に携わっています。育児と仕事を両立させるために職場で利用した制度は、育児休業とテレワークです。
 9年前、1人目の子を妊娠していた妻が切迫流産で入院したため、私は仕事帰りに病院に通っていました。働きながらの看護の大変さを実感する中、子どもが生まれた後のことを想像し、「これでは、仕事を休まないと成り立たない」と感じました。そこで、2週間の育児休業を取得しようと決めたのです。
 会社には「ダイバーシティ推進室」という部署があり、育児休業申請をするにあたってどの段階で何をすべきかがまとまっているToDoリストやガイドラインが提供されています。当時は男性が育休を取得した事例を聞いたことがなく、上司に相談しながら手続きを進めました。
 そして1人目が生まれ、妻は1週間入院しました。私は妻が退院した日から2週間育児休業を取りました。9月半ばでしたので、夏休みも合わせて10月1日から復職しましたが、このときの育児休業は少し短かったと感じています。
 2人目は11月中旬が出産予定日だったので、11月に入ってから有給休暇で休みを取りました。生まれてから6週間育児休業を取得し、自宅で過ごしました。その後、兵庫県にある妻の実家に家族を送り、私は自宅に帰って1月に復職しました。妻と子どもは2月中旬まで実家で過ごしてから自宅に戻っています。
 3人目の出産予定日は6月末だったので、1週間前から有給休暇を取り、生まれた6月末から8月まで6週間を育児休業にしました。2人目のときと同様、育児休業が終わったら妻と子どもたちを実家に送って復職しています。
 最近になって、ダイバーシティ推進室では両立支援のためのワーキンググループが立ち上げられ、パパママ従業員のためのコミュニティが生まれたことで、経験者に気軽に相談できる環境が整備されてきていると感じます。ワーキンググループ立ち上げの際は、私も育児経験者としてそこに参画し、コミュニティづくりにも携わり、育児に関する相談を受けるようになりました。
 今では、同じ部署の男性社員から育児休業についての相談を受けることが多く、男性社員が2か月の育休取得をするケースも増えてきており、私が初めて育休取得をしたときとは時代が変わったなと感じています。育休取得について、私の経験が次の世代に生かしてもらえて嬉しく思います。
 テレワークに関しては、2016年から週に何日かという形で利用しています。コロナ禍になってからはフルリモートになり、出社はほぼしていません。子どもが3人いますので、テレワークという働き方は仕事と家庭の両立を図る上でとても助かっています。

3.協力者との関係

 仕事と家庭とのバランスを取るために、大きな存在だったと感じているのは、前述した相談相手である会社の上司です。
 妻が3人目を妊娠し、切迫流産で絶対安静となったときの上司は女性でした。「小さい子がいて妻が寝込んでいて大変な状態」をどう説明すればよいかわからなかったのですが、その上司自身が妊娠中に入院した経験を持っていたので、私の家庭での状況を理解してもらうことができ、とても助けられました。
 今の上司は入社時の先輩に当たる男性です。つき合いが長いこともあり、私の考えをよく理解してくれます。上司にも2人のお子さんがいるので私の事情を察し、「無理をしないように」と声をかけてもらっています。
 プライベートで助けてくれるのは、パパ友です。妻が1人目を妊娠中に育児関連の教室に通っていたのですが、そこには私たちと同じように夫婦で参加している家族がいて、パパ同士のネットワークを作ることができました。最近はコロナ禍でなかなか集まれませんが、お酒を酌み交わし、悩みを打ち明けあえる大切な仲間です。年代が同じ子どもの成長やママとの関係など、話すと共感してもらえて気持ちが軽くなります。

4.仕事と育児を両立できた理由

 両立を自然に考えられたのは、幼少期の家庭環境と、育児に対するプラスのイメージだと思います。
 私は関西に生まれ、両親と祖父母がいる家で、3人姉弟の末っ子として育ちました。共働きをしていた両親に代わって祖父母が保育園の送迎をしてくれたり、姉が自分の相手をしてくれたり、大家族として恵まれた環境でした。誰が子育てをするなどという役割分担意識や固定観念はなく、男性が育児を行うことを自然に感じていました。
 いざ自分が家庭を持ち、実家から離れた埼玉で子どもを育てることになったとき、幼少期の自分の環境と比較して、圧倒的に大人の手が足りないと感じました。当時は会社で男性が育児休業を取った例は少なかったのですが、妻と二人で子どもを育てていくためには、まとまった休みが必要だと思ったのはごく自然の流れでした。
 また、夫婦には個性があって、子どもはその色の掛け合わせで多様な色合いを見せてくれます。この部分は妻に似ている、この部分は自分に似ている、など、見ていてとてもおもしろいです。子育ては期間限定のかけがえのない時間です。取り逃すともったいないですし、日々の発見をもっと楽しみたい、そんな気持ちが大きかったので、父親として育児にかかわることに特別な理由は必要ありませんでした。
 私にとって、育児と仕事の両立は、子育てを楽しむための手段の一つですし、親として当然のことだと考えています。将来、もし親の介護をするときが来たとしても、きっと同じように、子どもとして自然なこととして、仕事と介護の両立という手段を考えると思います。

5.仕事と育児の両立の際の苦労

 妻が妊娠中に体調を崩した時期は、とても大変でした。妻の看護と子の世話と家事と仕事、すべてを背負うことになるからです。そういった時期は何度かあり、その都度大きな負担を感じました。
 今は今で、フルリモートで仕事をしているので別の悩みがあります。平日の日中は私が2階、妻と子どもたちが1階で過ごしていますが、下が騒がしくて仕事に集中しづらいときもあります。深刻な打ち合わせをしている最中に子どもが2階に上がってきて「おむつ替えて」「トイレに行きたい」などと話しかけてきたり、オンライン会議の背景に映り込んでくるのを止めたりすることもあります。
 また、以前は、子どもと過ごしている時間にスマートフォンに届く仕事のメッセージを都度確認していました。当然、子どもや妻からは「パパがまたスマホを見てる」と不満の声があがるため、この時間以降は通知を見ない、と決めてメリハリをつけるようにしました。プライベートと仕事を完全に分けるのはなかなか難しいです。
 このほか、自身の育児と仕事の両立に関して、一緒に働く人たちの理解を得るための工夫も必要となります。社内には単身者もいますし、子どもがいない人もいるので、「18時以降の会議には参加しない」などの私のワークスタイルや、家庭の事情で突然休みをとらなければならない状況などは他のメンバーには想像しにくいこともあるかもしれません。例えば家族の1人が胃腸炎になったときも、連絡がつきにくくなったり、家族間で次々にうつってしまったりという状況に陥った時などに、会社にイチから状況を説明することは難しいです。 そのため、「子どもが3人いて、どういう点が大変か」など、自分が置かれている状況をできるだけ言葉にして普段から発信するといった工夫をしています。

6.育児中の人へのアドバイス

 子どもを育てることは、母親にとっても父親にとっても大変なことだと思います。人それぞれ置かれている状況は違うと思うので、一概にがんばれとは言えませんが、ぜひ楽しんで向き合ってください、ということは伝えたいです。子育ては、今しかできない貴重な経験です。母親には母親にしかできないこと、父親には父親にしかできないことがあると思います。
 我が家は夫婦とも実家が遠いですが、日頃から周囲の手を借りられる環境であれば頼った方がいいと思います。頼りたくないと思えばもちろん頼らなくてもいいと思います。そして、がんばらなくてはいけない、ということもない。どんな状況でも、「子育ては今しかない」と思って、楽しんでいただきたいです。

7.あると良かった制度やサービス

 制度とは少し違いますが、これまで以上に父親が育児に参画しやすくなるような仕組みや仕掛けがあるといいと思います。自治体などで父親向けの講座が開催されていますが、座学であることが多いです。そのため、このほかにも、父親としてのレベルアップにつながるようなアプリなどのツールがあれば、新米パパが育児に必要な知識や妻のケア方法などをより身に付けやすくなるのではないかと思います。

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