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事例2:株式会社スタイル・エッジ

育児と仕事の両立支援のために事業所内保育所を設置

平成30年度取材

1.企業概要

創立:2008年
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-11アグリスクエア新宿12F
代表取締役:金弘厚雄
従業員数:217名(男女比6対4 平均年齢32歳) *グループ企業全体 2019年3月1日現在
事業内容:士業・師業などに向けたハンズオン型コンサルティング事業
URL: https://styleedge.co.jp/

2.取組の背景

 会社のミッションは「悩む人の明日をひらく。」です。トラブルを抱える人を助け、様々な社会課題にビジネスで取り組み、解決したいと考えています。
 4年程前までは従業員数が100人に満たない会社でした。2008年の創業時から在籍していた女性従業員が結婚・出産後、早期に職場復帰を希望しましたが、待機児童問題で子どもが保育園に入れず、復帰できない現実に直面しました。そこで、子育て中の従業員が働きやすい環境を作るための解決策として事業所内保育所の設置を発案しました。代表者をはじめ、男性従業員の中でも子育て中の人が多く、女性従業員だけの問題ではなかったので、それなら両立できる環境を自分たちで作ろう、ということになったのです。
 育児と仕事の両立を支援し働きやすい職場環境を整備することで、従業員がより良いパフォーマンスを発揮できれば、クライアントへ提供できる価値も高くなり、結果、会社にもプラスになります。
 従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりは短期的に見るとコスト増につながりますが、このように中長期的に見れば会社の成長となり、クライアントのメリットにもつながるため積極的に取組むことになりました。会社の主力メンバーには若い女性が多く、彼女たちの力が発揮できる環境づくりがポイントでした。

3.取組内容

① 実態把握
  これまで育児と仕事の両立に関する従業員の要望は、面談で個別に把握してきました。しかし、従業員が増え、従来の方法では把握が難しくなってきたため、事業所内アンケート調査を2019年度中に実施する予定で準備を行っています。これから結婚、出産、育児を経験する女性従業員も多くおり、ニーズ把握のための事業所内アンケートの実施は重要なものと考えています。

② 制度の設計・見直し
  代表者の指示のもと、女性が活躍できる職場環境づくり、育児と仕事を両立しやすい事業所内制度を整備しています。

●次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画
 第1回行動計画は2014年9月1日から2016年12月31日の2年超、第2回行動計画は2017年1月1日から2021年12月31日までの4年間です。第1回の取組では、産前産後休暇や育児休業、育児休業給付、育休中の社会保険料免除など制度の周知や情報提供、子の看護休暇制度と短時間勤務制度に関する周知を図り、制度を利用しやすい環境づくりを行いました。また、男性従業員が子育て目的で休暇を取得しやすい環境づくり、事業内保育所の施設の広さや利用人数の拡充なども行いました。
 第2回行動計画は運用中で、子育て中の女性従業員のキャリア形成支援、所定時間外労働の削減措置の強化、従業員の年次有給休暇取得促進が目標です。
行動計画の成果を分析し、これからの取組につなげていきたいと考えています。

●女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画
 計画期間は2018年9月1日から2021年8月31日の3年間で、「より良い職場環境の整備を通して、従業員全体離職率10%削減を目指す」、保育士の数を今後増やしていく「シフト勤務者を支える事業所内保育施設の基盤整備」という目標を設定しました。様々な取組が功を奏し、育児と仕事の両立ができないという理由で離職する人はゼロです。

③ 事前の情報提供
  これまでは必要を感じた従業員が管理部に相談し、個々人向けに必要な情報提供を行ってきました。ただし、従業員が増えてきたため、今年度中に従業員ニーズを把握し、要望を整理・分析した上で制度化した情報をイントラネット等で提供していきたいと思います。

④ 育児に直面した従業員への利用支援
  希望に応じたフレキシブルな対応を心がけ、また、事業所内保育施設を設置することで、女性従業員のキャリア形成支援に貢献しています。明るい子どもたちの存在により事業所内保育所は事業所内の雰囲気づくりにも一役買っています。 

●希望に応じて柔軟な対応
 就業規則等に育児休業、子の看護休暇の定めがあり、育児のための短時間勤務制度も導入しています。また、従業員の希望に応じて支援できる形を柔軟に考えていくスタンスです。たとえば妊娠中の従業員の通勤状況に応じて勤務時間を決めることができ、出産後も小学校卒業までは短時間勤務を認めています。このようにフレキシブルな対応を心がけていますが、従業員が増え、全ての従業員に目が届かないこともあるので、これからは会社側から明確な形を提示し、発信していく段階に入ってきたと思っています。

●事業所内保育施設の設置
 2014年2月に出産した女性従業員が早期に職場復帰を希望したものの、保育園に入園できず困っている状況が代表者の耳に入り、そうであれば事業所内に保育施設を作ってはどうか、という話が持ち上がりました。そして、子育て中の従業員や産休中、育休中の従業員の意見を聞き、保育施設の方針やスペースの内装などについても話しあいながら、事業所内保育所を設置しました。設置当初はオフィス内にスペースを確保できず、マンションの1室を別に借りていました。
 現在は本社オフィスの一角に事業所内保育所を併設し、5人の子どもを保育士の資格を持つ専任の従業員が常駐して対応しています。男性従業員の妻が専業主婦でも、月に1回までは妻のリフレッシュのために子どもを預けることができます。
 事業所内保育所の利用時間は、午前9時から午後6時半までで、延長は原則不可で子連れの従業員は定時退社するように会社が定めています。
 通勤電車に子連れで乗る大変さはありますが、一緒にいられる時間が長く、安心して預けられると好評です。保育園に入れないことが社会問題になっていますが、安心して出産でき、子どもたちを身近に置き仕事ができるメリットがあります。職場には和やかな空気が流れ、従業員一同癒されているようです。カートに子どもたちを乗せてお散歩している光景は普通のオフィスではなかなか見られないと思います。

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⑤ 働き方改革
 2015年頃までは恒常的に残業がありました。しかも、事業所内の様々なシステムが未整備で、部下が営業活動や休日出勤などでどのくらい残業しているのかもわからない状況でした。そのため、まず残業時間の把握のシステムを整備し、その量を可視化することにしました。従業員一人ひとりの残業時間をマネージャー陣に公開し、45時間以上はイエローマーク、60時間以上はレッドマークを付けました。残業時間が一目でわかるようになると、本人も上司も意識をするようになるのか、この取組により、2016年6月と2019年1月を比較すると残業時間は半分に削減されました。
 また、女性従業員の割合が高いため、会社としては女性従業員のキャリア形成を出産や子育て中も継続できるよう、育児と仕事が両立できる柔軟な働き方に対応しています。テレワークの取組も今後取り入れようと検討中です。

●加入健康保険組合であるTJK(東京都情報サービス産業健康組合)の子育て支援サービス
 育児関連では、弊社が加入している健康保険組合であるTJK(東京都情報サービス産業健康組合)の子育て支援サービスがあり、民間事業者のベビーシッターサービスを一部会社負担で利用できます。
 急な残業や出張で保育園に迎えに行けない、子どもの急な発熱で保育園や小学校から呼び出しがあったがすぐに行けない、保育園が開いていない土日に出勤しなければならない、子どもが病気の時や回復期、保育園で預かってもらえない等々の際にベビーシッターサービスを受けることができます。

●環境づくりは会社のミッション
 育児と仕事を両立する環境は経営陣だけで決めるのではなく、従業員の主体性を重視し、従業員皆で働く環境を整えています。ですので、取組に際しては都度チームを作り従業員を巻き込んだ形で行います。今では、新設した「ダイバーシティ推進室」にて、環境づくりを会社の付加価値ではなくミッションとして位置付けています。

4.これまでの効果と今後の課題

 育休経験者は約10名。育児経験者が役職者になり、事業所内の育児と仕事の両立への理解が浸透しています。子育てしながら働いている人のモデルが数多く職場にあるので、これから出産する従業員にとっても心強いと思います。子どもが熱を出したら帰らなければいけないと皆が認識していて、男性でも帰りやすい環境です。育児についてマイナスイメージを持つ人はいません。
 取組の効果は会社の内側から外側にも派生しています。たとえば採用活動では事業所内託児所が設置されていることに注目し、魅力を感じ応募してくる人が増えています。キャリア形成を目指す女性の間で、子育てをしながらキャリアアップできる会社だと認知されてきているようです。採用者の中には子どもがいる人も増えています。
 会社として必要性が生じ、取組を行った結果、効果につながる。このような試みに手応えを感じています。振り返りますと、2017年11月に約7,800社の企業の中から「共働き子育てしやすい企業50社」に選定、2017年2月に子育てサポート企業として「くるみんマーク」を取得、2019年2月には女性活躍推進企業として「えるぼし」の認定も受けました。 さらに時を同じくして経済産業省と日本健康会議が共同で行う「健康経営優良法人2019」の認定も取得しています。
 2019年には新たに「ダイバーシティ推進室」を設置しました。今後も育児と仕事の両立支援だけでなく、誰もが働きやすい職場環境の整備に会社のミッションとして取り組んでいきます。

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