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事例5:プレゼンツコンサルティング株式会社

子育て中の主婦を支援しながら店長に起用

令和元年度取材

1.企業概要

設立:2005年
所在地:東京都千代田区麹町3-5-4
従業員数:社員25名 アルバイト200名
事業内容:飲食店経営、フードビジネスコンサルティング

2.取組の背景

 当社では、子育て中の主婦が多く働いています。以前は、その多くがパート社員として各店舗でサポート役として、店長のアシスタントの仕事をしていました。しかし、2011年に発生した東日本大震災の影響で、その当時アルバイトの大半を占めていた留学生が帰国してしまい、子育て中の主婦が店舗における中心的な立場になりました。また、豊富な経験を積んでベテランとなっていた方が増えていたこともあり、そうした子育て中の主婦に店舗の運営を任せ、店長として活躍してもらいたいと考え、キャリア教育に取り組むことにしました。それに伴い、子育て関係の休暇の充実にも取り組むようになりました。
 また、もともと飲食業界は人材の流動性が高い業界です。キャリアを積んでも辞めてしまうアルバイトやパート社員が多く、後進の育成がままならない状況に歯止めをかけたるためにも、働きやすい職場づくりに取り組もうという社長の思いもありました。

3.取組内容

①子育て中の主婦を店舗運営の中心に
 まず、これまでパート社員として働いていた主婦を、正社員として採用しました。その際、主婦本人たちの希望に合わせた勤務時間(土日休み、朝9時から17時、遅くても18時まで)にしました。
 子育て中の主婦社員の中には、店長職を経て、エリアマネージャーとして活躍している社員もいます。この社員の活躍は、育児中の女性が10人程入社するきっかけにもなりました。
主婦は地域との距離感が近く、接客サービスの質が高いと感じていましたし、子どもを通じた地域の人間関係を取り込んでくれたことで、顧客が増えて、売り上げも向上しました。主婦が店長として働いている店舗は、落ち着いた雰囲気があり、お客さんもゆったり過ごしているように見受けられます。子育てと仕事の両立を支援することが会社としてのメリットにつながることを確信しました。

②子育てや育児が障害にならない労働環境づくり
 結婚や育児が働くうえでの障害にならないように、法律で定められている以上の制度を整備しました。育児休業は法定どおりですが、子どもが小さい時は急に病気になり、通院したり、自宅で看護が必要になることが多くあるため、看護休暇の充実に取り組みました。看護休暇を有給としただけでなく、時間単位に分割して取得できるようにしたほか、小学校3年生までの子を持つ従業員も取得できるようにしました。さらに、子どもが急に病気になった時には事前に申請がなくても有給休暇を利用できることとし、年度内の有給休暇が足りなくなった場合には翌年の有給休暇を使うこともできます。
 看護休暇以外の休暇では、育児を目的とした休暇制度、配偶者が出産したときの休暇制度を整備しました。
 子育て中の店長の勤務時間は平日9時から18時までとし、土・日曜日は完全休日にしています。給料の待遇も他の店長と同等扱いとしました。主婦以外の店長からすると、働き方の違いに不満があるであろうことも承知していましたが、いずれ理解が進み、浸透していくだろうと考えました。  
 3歳以上の子を持つ従業員への短時間勤務制度もあります。短時間勤務の勤務時間は1日7時間です。
 平日夜の時間のシフト責任者を育成したり、日曜日、祝祭日の人材確保についても、近隣の店舗同士でサポート体制をつくり、子育て中の社員が無理なく働くことができる環境づくりを進めています。

③相談窓口・研修
 本社に育児と仕事の両立を行う社員向けの相談窓口を設置しました。副社長が相談にあたっています。育休明けの社員の相談に乗るなどして不安を解消することで、円滑な復職につながっています。
 また、管理職には育児との両立に関する研修を行っています。

④育休中のサポート
 育休中はどうしても子どもと過ごす時間が一日の大半を占めるようになり、社会とのつながりが希薄になります。仕事をしていた経験があるとさらに、疎外感を感じることがあるようです。会社から育休中の社員に定期的に連絡を入れて、子育ての悩みなどの話を聞くようにしています。また、復職に備えてのアドバイスをしています。

4.これまでの効果と今後の課題

 子育て中の女性にとって働きやすい環境を整え支援してゆけば、誰もが活躍できる職場をつくることができます。子育てしながら店長を務める社員は仕事に対するモチベーションが高く、会社としても安心して店の運営を任せられる存在です。
 実際、育休から職場に復帰した店長もいますし、産休に入っている店長も2人います。現在14店舗中4店舗で子育て中の主婦が店長を務めています。子育てしながら働く先輩モデルが増えることで、さらに女性の活躍の場が広がっていくと考えています。
 子育てが理由で退職した人はいません。ただ、「子どもができたら辞めなければいけませんか?」と質問したアルバイトや社員は何人かいました。まだ、女性社員を支援している会社であることが社員に浸透していないことを実感し、これからも事あるごとに話をしていきたいと思いました。
 今後は現在支援を受けている人、受けた人が自分の経験を生かして、相談に乗る側、支援する側に回れるようになることを目指しています。
 会社の発展と事業の継続を支えるのは、社員ですので、社員が長く働き続けられる仕組みが必要になります。社員一人ひとりの生活は異なり、ライフ・ワーク・バランスの実現に必要なニーズは違います。今後は介護と仕事の両立支援等、社員のニーズの変化に対応した新しい制度づくりが必要だと考えています。

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