ページの先頭

ページ内移動用のリンク

ヘッダーメニューへ移動

グローバルナビゲーションへ移動

本文へ移動

フッターメニューへ移動

事例6:株式会社東京企画

社員一人ひとりが働きやすさを考えて制度化

令和元年度取材

1.企業概要

設立:1976年
所在地:東京都港区芝公園1-7-6 KDX浜松町プレイス2F
従業員数:81名
事業内容:CM好感度調査の実施、CM効果と消費者反応に関する研究分析、各種データ、分析結果に基づく情報提供、コンサルティング、専門誌『CM INDEX』の発行 等

2.取組の背景

 当社は、様々なライフステージの社員が自分の強みを発揮することで、会社のミッション・目標達成に向けて貢献し、さらには自己成長できるルールと体制を考える、「活躍する人が働きやすい会社に!」なることを目標にしています。
 社員の平均年齢は36歳と、子育て世代が多く働いている職場です。これまで子育て中の社員にとっては長時間労働などが理由で両立するのが難しい職場環境でしたが、政府の働き方改革の流れの中で、当社でも「働くこと会議」と称したプロジェクトチームを立ち上げ、全社員が働くことを考えることから始めました。
 ライフ・ワーク・バランスの充実や、子育て中の社員にとっての働きやすい職場環境の整備、直面する介護離職への対応として、自社の現状を把握した上で、「時間と場所の融通」を軸に全社員でディスカッションを行うことにしました。

3.取組内容

①「働くこと会議」
 経営陣が整備した働き方のルールを社員に押し付けるのではなく、社員一人ひとりが将来の働き方も含めた「働くこと」を考え、議論する場として、「働くこと会議」を設けました。働くことの意味や価値、理想の働き方、自身のライフ・ワーク・バランスや仕事のパフォーマンスを上げるための仕組みを考え、社員同士で意見交換を行うものです。
 具体的には、社員を12グループ(1グループ5、6人で構成)に分けてグループディスカッションを3カ月の間に3回実施しました。

  • 1回目:2017年9月に実施。
    ランダムにグループ分け。様々な部署とのディスカッションで様々な角度の意見を把握することができました。
  • 2回目:2017年10月に実施。
    性別、年代、ライフスタイルの近い人々でグループ分け。同世代ならではの共感や悩みが共有されました。
  • 3回目:2017年11月に実施。
    同じ部署の人々のグループ分け。各1時間程度、意見を出し合い、各部署の現状確認を行いました。

 3回のグループディスカッションで出された全社員の発言内容をすべて書き出した議事録をつくり、発言者の名前は出さずに公開し、社員全員で共有しました。さらに、この会議で出された意見は制度検討・導入に向けて、経営会議に提案されました。
 3回目の開催の4か月後、2018年3月には、経営会議で決定された、スライド勤務と時間休の制度を開始しました。

②スライド勤務の実施
 スライド勤務の導入には、社員の心身のパフォーマンスを最大限に発揮し、売上の増加につなげるという狙いがあります。2か月間のテスト運用を経て、6月に本格的に導入しました。
 これまで勤務時間は9時〜18時で固定されていましたが、1日の所定労働時間は固定したまま、社員の出社時間を前か後ろにずらすことができるようにしました。7時から20時の時間の幅の中でスライドすることができるため、所定労働時間を変えずに子育てや介護と両立できるようになりました。1日単位で活用できます。通勤ラッシュのピークを避けた出社、退社ができますし、退社後の時間を自己啓発等に有効利用できます。始業・終業時間をずらすことで、自身の所要で役所への立ち寄りや子どもの通院などにも使うことができます。
 スライド勤務で配慮しなくてはならない点は、同じ部署等で仕事を行う同僚とのコミュニケーションです。自分一人だけで仕事をしているわけではないので、一緒に働いている人とは常に出社時間等を共有しておかないと、円滑に仕事が行えません。このような最低限のマナーは守り、働きやすい環境を整えましょう、必要であれば部署ごとにルールづくりをしましょう、と総務から社員に声をかけています。

③時間休の導入
 全社員へのアンケートを精査し、育児・通院・介護など個別の事情に対して会社として柔軟な対応が求められていることを確認しました。企業としても休み方の自由度を高める仕組みが必要だと判断し、時間休を導入することにしました。
 2019年にテスト運用後、本格導入しました。社員の様々なライフスタイルに対応できる制度になっています。

④テレワーク
 テレワーク制度は以前から社内に整備されていましたが、これまで対象者を育児中の社員や、遠方に住む社員に限っていました。現在、より多くの社員が利用できるよう、制度の整備を進め、対象者の幅を少しずつ広げています。
 具体的には、テレワークできる業務の整理、テレワーク環境とセキュリティ対策、コミュニケーションの取り方などについて、2019年の春に復職したばかりの育児中女性社員をリーダーに整備を進めています。この女性社員自身も、テレワークで在宅勤務が行えるようになれば、子どもの急な発熱などにより出社できない時も、会社に迷惑をかけることなく仕事を進めることができると、テレワークに利用価値を感じていたため、時間や労力をかけて、高いモチベーションで取り組んでくれています。
 また、実際にテレワークの体験者を増やすことで、これまで見えなかった課題の整理・解決につながることもあります。今後は幅広い業務でテレワークが実現できるようにしていくことで、在宅勤務できる人を増やしていきたいと考えています。

⑤取組・制度等の社内への周知
 週1回、全社員が参加する朝礼を行っています。社内に働き方に関する新しい制度などが導入される場合、この朝礼の場で、働くこと会議のメンバーが10枚程度のスライドを用いてプレゼンテーションを行い、ルールや導入期日などについて発表します。また、全体朝礼だけでは伝えきれない内容は社内メールを利用して発信しています。意見や質問は、メールで返信される場合と、総務に直接質問が寄せられる場合があります。

4.これまでの効果と今後の課題

①取組の効果

  • スライド勤務の試行期間3か月間は、対前年同月比較で時間外労働時間が、一人当たりの平均時間で約7時間減少しました。
  • スライド勤務導入後のアンケート調査の結果からは、勤務時間がスライドできるようになったことで、子育て世代にとっては子どもの送迎をしやすくなったと好評です。
    子育て中の社員以外からも、時間的な縛りから解放され気持ちが楽になりストレスが軽減、朝の時間帯は業務がはかどる、業務を早く終えようとするモチベーションも生まれた、早く出勤した分早く退社してコンサート、映画、スポーツ観戦などに時間を当てた、ランニングや水泳などの健康増進を図る活動に取り組めた、自己成長のために勉強した等々、制度の導入が社員の健康、仕事のモチベーション向上、生産性の向上につながる多くの感想が把握できました。
  • スライド勤務と時間休を組み合わせることで、保育園などの保護者会に時間休を活用して参加できるようになったり、急な用件が出来た場合にも、会社を休むことなく、対応できるようになったという声も聞かれています。
  • これまでに育休を取得した女性社員は9人いますが、育休取得者全員が復職しています。テレワーク、スライド勤務、時間休などの制度のおかげで、効果的に時間が使えると好評で、これらの制度は子育て世代の社員にとって必要不可欠な制度になっています。子育て世代の女性社員の出産、育休、復職のサイクルができてきたことは大きな成果です。
  • 2019年に会社で2人の男性社員が育児休暇を取得しました。1人は管理職で1か月、もう1人は営業職で2か月取得しました。男性の育休取得が定着するためにはまだ時間を要すると思いますが、管理職や営業職も育児休暇を取得していることを社内に周知することで、育休が取得しやすい風土が生まれてきています。

②今後の課題
 社員一人ひとりにとって働きやすい環境を今後も整えていくために、子育てや介護、病気などと仕事を両立していくためのテレワークのさらなる推進が大事だと考えています。しかし、業務上テレワークがしにくい部署や業務もあり、テレワークが利用できない社員の意見を聞いたり、全社員への説明を心掛けるなどの対応が必要です。システム面でセキュリティレベルを下げずに、どこまで業務効率をあげられるかが重要です。
 これからも社員一人ひとりが能力を発揮し、豊かな人生を送ることができるよう、理想の働き方から、働くことの意味や価値に至るまで、自分たちで考え、提案できる風土づくりを実践していきます。


ここからフッターメニューです